さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

夏に旬を迎える白なすは、火を通すととろりと柔らかく、自然な甘みが広がる魅力的な野菜です。
その持ち味をいちばんシンプルに味わえる料理のひとつが「田楽」。

こんがり焼いた白なすに、甘めの味噌をのせれば、見た目も香りも食欲をそそる夏のごちそうになります。
ごはんのおかずにはもちろん、日本酒やビールのおともにもぴったりの一品です。


レシピ|白なすの田楽

・白なす1本(約200g)
・赤みそ(赤だしでも◎)大さじ2
・みりん大さじ1と1/2
・砂糖大さじ1
・白いりごま適量
・ごま油大さじ1
STEP1
下ごしらえをする

白なすは縦半分に切り、切った面と反対側の丸みのある部分を少し切り落として平らにする(安定させるため)。両面に格子状の切り込み(目安:幅1~1.5㎝/深さ5~7㎜程度)を入れる。

STEP2
なすを焼く

フライパンにごま油を熱し、白なすの切り口(半分に切った面)を下にして並べる。弱火でじっくりと焼き、全体に焼き色が付いたら返して裏面を焼く。なす全体がしんなりと柔らかくなるまで火を通す。

STEP3
練りみそを作る

小鍋に赤みそ・みりん・砂糖を入れ、弱火にかけて練り上げる。照りが出てとろりとするまで混ぜ、香りを引き立たせる。

STEP4
盛り付けて仕上げる

焼き上がったなすに練りみそを塗り、器に盛り付ける。好みで白ごまをふりかける。


美味しく作るポイント

白なすの田楽はシンプルな料理だからこそ、ちょっとした工夫で仕上がりに大きな違いが出ます。
下ごしらえや火加減、味噌の扱いを丁寧にすることで、より美味しく仕上がりますよ。

白なすの皮に格子状の切り込みを入れると、火が均一に通りやすくなります。さらに、仕上げに塗る味噌がよく絡み、見た目にも美しく仕上がります

白なすは水分が多いので、強火で焼くと表面だけが焦げ、中が固いままになってしまうことも…。弱火でじっくり焼くのがポイント。全体がとろけるように柔らかくなり、甘みも引き立ちます。

味噌とみりんを混ぜるだけでは香りや味がぼやけやすいですが、弱火にかけてひと煮立ちさせることでアルコール分が飛び、照りとコクが加わります。ほんのひと手間で、味わいに深みが生まれますよ。

ミニコラム|白なすは皮が硬いときもある?

ちょっとした豆知識として覚えておきたいのが「白なすの皮」についてです。料理してみて「思ったより皮が硬い」と感じることはあるかもしれません。

そんなときは、こんな理由が考えられます。

  • 白なすは紫なすに比べて、もともと皮が厚めの品種が多い
  • 成熟が進んだ実ほど皮が厚く、口に残りやすくなる
  • 強火で短時間調理すると、皮だけが硬く残りやすい。

こんな方法で試してみて

  • 縞状に皮をむく:ピーラーで部分的に皮をむけば、見た目を残しつつ食べやすくなる。
  • 切り込みを入れる:皮に浅い切り込みを入れると、火が通りやすく柔らかく仕上がります。
  • 蒸し焼きにするふたをして加熱することで皮までしっとり柔らかくする。
  • 油を塗る:焼く前に皮に軽く油を塗ると、水分が保たれて硬さが和らぐ
  • 品種を選ぶ:「白丸なす」など皮のやわらかいタイプは、そのままでも食べやすい。

白なすは「皮が厚い=扱いにくい」と思われがちですが、少し工夫すれば格段に食べやすくなります。

ただ…
一期一会の季節野菜…どうしても試してみないとわからないところもあります。だからこそ、思いがけない食感や風味との出会いがあったりしますね。まずはシンプルに調理することから初めるのがオススメ。そして自分だけのお気に入りの調理法を見つるのも楽しみのひとつです♪


アレンジアイデア

白なすの田楽は、定番の甘みそ仕立ても美味しいですが、少し工夫を加えることで味わいが広がります。薬味や調味料を変えるだけで、雰囲気の違う一皿に仕上がりますので、ぜひ試してみてください。

今回のレシピの通り、白ごまをふると香ばしさが増し、見た目にも華やかになります。
そのほかに、粉山椒をふるのもおすすめ!粉山椒をふると、爽やかな香りとほのかな辛味がアクセントになり、大人向けのお酒のおつまみにぴったりです♪

柚子の皮を少量すりおろして仕上げに散らすと、さわやかな香りが広がります。甘みそとの相性も良く、こってりとした味に爽やかさが加わるので、夏の食卓におすすめです。

味噌に少量のチーズを混ぜたり、仕上げにとろけるチーズをのせると、発酵食品同士の相性でコクが深まります。ご飯だけでなくワインやビールとも合う一皿になります。


ミニコラム|白なすはアクが少ない?

白なすは、紫なすに比べてアクが少ないといわれています。
その理由は、紫なすの皮に多く含まれる色素「アントシアニン」が、白なすにはほとんど含まれていないため。

切ったあとに変色しにくく、水にさらさなくても調理しやすいのがうれしいポイント。忙しい日の料理でも下処理の手間が省け、すぐに加熱調理へ進めることができます。

より白さをきれいに保ちたいときや、煮物などに使う場合には、軽く塩水にさらすと安心です。
「アク抜き不要」という扱いやすさは、白なすならではの魅力ですね。

おわりに|白なすで楽しむ夏の一皿

現代では年中食卓にのぼる紫のなすとは違い、白なすは夏にしか目にすることがありません。季節の移ろいを食卓で感じることができる旬の食材は、とても貴重です。

白なすのとろけるような柔らかさと、甘めの味噌が合わさった田楽は、まさに和食ならではのごちそう。
季節を感じる一皿として、ぜひ食卓に加えて楽しんでください。


参考文献
農研機構「ナスの品種と特徴」
・農林水産省「野菜の図鑑」なす類


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