塩麹(しおこうじ)は、米麹と塩、水を発酵させてつくる日本の発酵調味料です。
「どんな味?」「なぜ肉がやわらかくなるの?」「どう使うの?」
この記事では、塩麹の基本・効果・使い方・保存方法まで、はじめての方にもわかりやすくまとめています。
塩麹の基本

まずは、塩麹とはどんな調味料なのか、その成り立ちと味わいの特徴から見ていきましょう。原材料や発酵の仕組みを知ると、なぜやさしいうま味が生まれるのかが自然とわかってきます。
原材料
塩麹の材料は、とてもシンプルです。
- 米麹
- 塩
- 水
この3つを混ぜて発酵させることで、麹菌の酵素が働き、甘みとうま味が生まれます。
米麹は、蒸した米に麹菌を繁殖させたもの。
ここに塩と水を加えることで、発酵の働きがゆるやかに進み、調味料として使いやすい状態になります。
特別な材料は必要ありませんが、塩は精製塩よりも、ミネラルを含んだ自然塩を使うと、味わいがやわらかく仕上がります。
味わいの特徴
塩麹の味わいは、ひと言でいえば「まろやか」です。
- 角のとれた塩味
- ほんのりとした自然な甘み
- だしのようなやさしいうま味
これは、麹の酵素によって生まれたアミノ酸(うま味成分)や糖分によるものです。
塩のように“塩辛さで味を決める”のではなく、うま味と甘みで全体を整えるのが塩麹の特徴です。
塩との違い

塩は、味をはっきりと決める調味料です。
量が少し変わるだけで、味の印象が大きく変わります。
一方、塩麹は、
- うま味が加わる
- 食材の水分を保つ
- たんぱく質を分解してやわらかくする
という“働き”を持っています。
つまり、
塩は「味をつける」もの。
塩麹は「味を引き出す」もの。
同じ塩分を含む調味料でも、役割が異なるのです。
そのため、塩の代わりに塩麹を使うと、味が強くなるのではなく、むしろやわらかく感じられることも多いです。
なぜ食材がやわらかくなるのか。
塩麹を使うと、肉や魚がしっとりやわらかく仕上がる――これは気のせいではなく、きちんとした理由があります。
その鍵を握るのが、麹に含まれる「酵素」の働き。
たんぱく質を分解する酵素の力
塩麹には、「プロテアーゼ」という酵素が含まれています。この酵素は、肉や魚に含まれるたんぱく質を分解する働きを持っています。
たんぱく質は筋繊維を構成しているため、それが細かく分解されることで、
- 繊維がほぐれる
- かたさが和らぐ
- 噛み切りやすくなる
という変化が起こります。
特に鶏むね肉や豚ロースなど、火を通すと硬くなりやすい部位で効果を感じやすいのが特徴です。
水分を保つ働き
塩麹には、食材の水分を保ちやすくする作用もあります。
通常、肉は加熱すると水分が抜け、パサつきやすくなります。ですが、塩麹に漬けることで保水性が高まり、加熱後も水分が残りやすくなります。
その結果、
- ジューシーに仕上がる
- 冷めても硬くなりにくい
といったメリットがあります。
塩麹に向く料理/向かない料理

塩麹は万能に見えますが、実は“得意な料理”と“あまり向かない料理”があります。
特徴を知っておくと、失敗がぐっと減ります。
塩麹に向く料理
■ 肉料理(下味・漬け込み)
やわらかさとうま味を実感しやすい使い方です。
- 鶏むね肉の塩麹焼き
- 豚ロースのソテー
- 塩麹からあげ
- 塩麹ハンバーグ
加熱前に30分〜一晩なじませるだけで、しっとりと仕上がります。
特に、火を通すとかたくなりやすい部位と好相性です。
■ 魚料理(漬け焼き・蒸し物)
魚の臭みをやわらげ、身をふっくらと整えます。
- 鮭の塩麹焼き
- さわらの塩麹漬け
- 白身魚の塩麹蒸し
焼く場合は焦げやすいため、弱めの火加減がポイントです。
■ 野菜・副菜
シンプルな味付けほど、塩麹の良さが生きます。
- きゅうりの塩麹和え
- キャベツの浅漬け
- にんじんの塩麹ラペ
- きのこの塩麹マリネ
塩だけでは出せない、まろやかな味わいになります。
■ 卵・汁物の隠し味
- 塩麹入り卵焼き
- スクランブルエッグ
- 野菜スープの仕上げ
実は卵との相性も◎。少量加えるだけで、味が角なくまとまります。
あまり向かない料理
■ 強いスパイス料理
カレーやエスニック料理など、香りが主役の料理では風味が埋もれやすくなります。
■ 長時間煮込み料理
ビーフシチューや濃い煮込み料理では、甘みが強く出ることがあります。
■ すでに塩分の強い料理
味噌やしょうゆを多く使う料理では、塩分が重なりやすくなります。
手作り塩麹の基本
材料(作りやすい分量)

作り方
保存容器は消毒して乾かしておく。
調理器具や手もよくあらって清潔にしておく。
大きめのボウルに米麹を入れ、固まりをしっかりもみほぐす。

塩を加え、麹と塩がなじむまで、手でさらによく混ぜる。


馴染んでくると、握ったときに固まりになります。
分量の水を加え、全体をよく混ぜる。(手で混ぜるとなお◎)


麹がひたひたに浸る状態が目安。水が足りない場合は、少しずつ足して調整してください。
清潔な保存容器に移し、ふたを軽くのせて常温で発酵させます。
1日1回かき混ぜながら、7〜10日ほど置きます。


夏場はやや短め、冬場はやや長めが目安です。
麹がやわらかくなり、とろりとした状態になればできあがりです。
保存方法
基本は冷蔵保存で
塩麹は発酵が進み続ける調味料です。完成後は必ず冷蔵庫で保存しましょう。
- 保存目安:約2〜3か月
- 清潔なスプーンを使う
- 使ったあとはふたをきちんと閉める
冷蔵することで発酵の進みがゆるやかになり、味が安定します。
時間が経つと色がやや濃くなりますが、これは自然な変化です。
冷凍保存も可能
長く保存したい場合は、冷凍もできます。
- 小分けにして保存すると便利
- 使用時は自然解凍でOK
- 風味はやや落ちる場合があります
酵素の働きは弱まりますが、調味料としては問題なく使えます。
表面に白い膜が出たら?
保存中、表面に白い膜のようなものが出ることがあります。これは「産膜酵母」と呼ばれるもので、強い異臭がなければ取り除いて使えます。
ただし・・・
- 強い酸っぱいにおい
- カビ(黒・緑・青などの斑点)
- 明らかな異臭
がある場合は使用を控えましょう。
塩麹Q&A|よくある疑問
- 塩麹はそのまま食べられますか?
はい、加熱せずそのまま使えます。
ただし塩分があるため、そのまま大量に食べるものではありません。ドレッシングや和え物に少量混ぜる使い方がおすすめです。
- 塩麹はいつ入れるのがいいですか?
下味として使う場合は、加熱前に漬け込むのが基本です。
目安は30分〜一晩。
長く漬けすぎると塩辛くなることがあるため、時間は様子を見ながら調整します。
- 塩麹は毎日食べても大丈夫ですか?
基本的には問題ありません。
ただし塩分を含むため、使いすぎには注意が必要です。塩の代わりとして“置き換える”イメージで使うと、塩分量を増やさずに取り入れられます。
- 塩麹がドロドロになりました。失敗ですか?
とろみが出るのは正常な状態です。
麹がやわらかくなり、発酵が進んだ証拠です。異臭やカビがなければ問題ありません。
- 塩麹と甘酒は何が違いますか?
どちらも米麹を使いますが、
- 塩麹:塩を加えた発酵調味料
- 甘酒:塩を使わず、糖化を生かした飲みもの
用途が大きく異なります。
- 市販の塩麹と手作りは違いますか?
大きな違いはありませんが、
- 手作り:香りがやわらかく、風味が自然
- 市販品:安定した味、手軽さ
という違いがあります。
- 塩麹の塩分濃度はどのくらいですか?
塩麹の塩分濃度は、約12〜13%前後が目安です
(米麹200g+塩60gで仕込んだ場合)。肉や魚の下味には、食材の約10%量が基本です。
(肉200gなら塩麹20g)うま味があるため、塩だけよりも塩味を強く感じにくいのが特徴です。
塩分が気になる場合は、漬け時間を短くするなどで調整しましょう。
- 塩麹は減塩になりますか?
塩麹は塩分を含むため、使うだけで減塩になるわけではありません。
ですが、塩の代わりに使うことで、- うま味が加わる
- 甘みが出る
- 満足感が高まる
ため、塩を強く効かせなくても味が整いやすくなります。
ポイントは、
✔ 追加で塩を足さない
✔ 下味の段階で置き換える塩麹は「減塩調味料」というより、うま味で支える調味料と考えるとわかりやすかもしれません。
おわりに|まずは、ひとさじから

「いつもの鶏肉に」「いつもの焼き魚に」「いつもの浅漬けに」・・・
塩麹は特別な料理のための調味料と考えるのではなく、塩の代わりに、ほんのひとさじ使ってみるところから、はじめてみてください。それだけでも、味のやわらかさや、うま味の広がりに気づくはずです。
台所に発酵のやさしさを取り入れて、日々のごはんの変化を、ぜひ楽しんでみてくださいね。
塩麹を使ったレシピを紹介しています♪
▶【厚揚げのニラもやしあんかけ】レシピ🔗
