── 季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所 ──

夏野菜の甘みやみずみずしさを、やさしく引き立ててくれる調味料。それが、日本の台所に欠かせない「味噌」です。

強い塩味や酸味ではなく、まろやかなコクとうま味で素材を包み込む――味噌には、夏の疲れた身体にもやさしく寄り添ってくれる力がありますね。

この記事では、夏にぴったりの味噌料理とその魅力、そして和食ならではの「味噌 × 夏野菜」レシピをご紹介します。

しょうゆやお酢とまた違った、味噌ならではの奥深い味わいを、ぜひこの季節の食卓で楽しんでみてください♪

夏に味噌を使いたくなる理由

暑さで食欲が落ちる日こそ、味噌の出番です!

発酵によるうま味や香りが食欲を刺激し、塩分ミネラルも一緒に補ってくれるのが味噌の良いところ。

さらに、きゅうりやなすなどの水分豊富な夏野菜とも相性がよく、加熱調理にも、生のままでも美味しく使える万能選手なのです。

味噌の種類と使い方のコツ|夏野菜と引き立て合う「味」の選び方

味噌とひとくちに言っても、その種類は実に多彩。原料や製法、発酵期間の違いによって、色も味も香りも異なります。

夏野菜のシンプルな味わいを引き立てるには、味噌の「個性」を上手に選び分けることが、美味しさの決め手に。

ここでは、代表的な味噌の種類と、夏にぴったりの使い方をご紹介します。

数種類の味噌をブレンドした「合わせ味噌」は、家庭の味噌汁にもよく使われる、いわばオールラウンダー。
甘み・塩味・コクのバランスがよく、冷や汁や味噌だれ、ディップなど、どんな夏野菜とも相性抜群です。

特に市販の合わせ味噌は扱いやすく、クセが少ないため、料理初心者の方にもおすすめです。
「どの味噌にしようか迷ったら、まずは合わせ味噌」——そんなふうに覚えておくと安心ですね。

長野県を代表する「信州みそ」は、米麹を使った淡色系の米味噌。ほどよい酸味と塩味のバランスが特徴で、暑い季節にも重たくならず、すっと体にしみわたります。

全国的にも人気があり、多くの合わせ味噌のブレンドにも使われています。
冷や汁のベースや、さっぱりとした和え物にもよく合います。

九州や四国で親しまれている「麦味噌」は、大麦を使った発酵味噌。

ほんのりとした甘みと香ばしさがあり、焼きなすやきゅうりのディップ、田楽などにぴったりです。野菜の自然な甘さと調和し、どこか懐かしい味わいが広がります。

豆味噌をベースにした赤味噌は、発酵期間が長く、うま味も香りも濃厚
冷や汁のコクを深めたり、ナスやピーマンなど香りの強い野菜との組み合わせに向いています。

ただし、暑い日には少し重たく感じることもあるので、合わせ味噌とブレンドするのもおすすめ。

関西地方でよく使われる「白味噌」は、米麹の割合が多く、甘みが強め。淡い色とやさしい味わいで、ディップや冷たい味噌スープなど、火を使わない夏の一品にぴったりです。
生野菜と合わせても塩味がとがらず、まろやかに仕上がるのが魅力です。

素材の味が濃い夏野菜(ナス・ピーマン・トマトなど)には、コクのある味噌を。
 →おすすめ:八丁味噌(豆味噌)や信州味噌(赤系)
 コクと深みがあるので、油との相性も抜群。焼き野菜や炒め物にぴったりです。

みずみずしい野菜(きゅうり・とうもろこし・ズッキーニなど)には、まろやかで甘みのある味噌が◎
 →おすすめ:西京味噌(白味噌)や甘口の麦味噌
 やさしい甘みが、素材の瑞々しさを引き立ててくれます。ディップや和え物におすすめ。

●火を通すかどうかでも変わります。
 - 加熱料理(炒め物・汁物など)にはコク味
  →おすすめ:合わせ味噌(信州味噌×八丁味噌など)
   バランスがよく、熱を加えても香りが立ちやすいです。汎用性も高め。

 - 冷製料理(冷や汁・和え物など)には香りの立つ味噌がおすすめ。
  →おすすめ:麦味噌(特に香りのよい生味噌)や白味噌
   穏やかな香りが冷たい料理に爽やかさをプラスします。

「夏野菜×味噌」和ごはんレシピ5選!

味噌にはさまざまな種類がありますが、使いこなすことができたら料理の幅がぐんと広がります。

とはいえ、種類が多いだけに、何から手を付けたらいいのか迷ってしまうというあなたに…

まずは、旬の夏野菜を使った、暑い日にうれしいレシピを試してみませんか?ここからは、味噌を使った夏の定番&アレンジレシピを5品、ご紹介します。

焼くことで香ばしさが引き立つため、やや塩気のある味噌がごはんとの相性◎です。
お弁当やキャンプごはんにもおすすめ♪

おすすめの味噌:赤味噌系の合わせ味噌信州味噌(中辛口)

焼き味噌おにぎりレシピ

材料(2人分)
・ごはん…茶碗2杯分
・味噌(おすすめ:赤味噌)…大さじ1
・みりん…小さじ2
・ごま油…少々

作り方

  1. ごはんを2等分し、やや小さめの三角おにぎりに握る。
  2. 味噌とみりんを混ぜて、表面に薄く塗る。
  3. フライパンにごま油を熱し、おにぎりを両面こんがりと焼く。味噌が香ばしくなれば完成

■お好みで砂糖を加えても


しっかり炒めたなすとピーマンの香ばしさに、米味噌のコクと塩味が絶妙にマッチ。甘味を加えたタレにすれば、白ごはんにぴったりのこってりおかずに仕上がります。

おすすめの味噌:
合わせ味噌…まろやかでバランスのとれた味に。
赤味噌系の合わせ味噌または信州味噌(米味噌・中辛)…炒め野菜と好相性。ごはんに合うしっかり味。
麦味噌(甘口)…やさしい甘さで、こってりしすぎず食べやすい。

【なすとピーマンの味噌炒め】レシピ

材料(2人分)
・なす…2本(乱切り)
・ピーマン…2個(乱切り)
・サラダ油…大さじ1
・味噌(おすすめ:合わせ味噌)…大さじ1と1/2
・みりん…大さじ1
・砂糖…小さじ1
・しょうゆ…小さじ1

作り方

  1. フライパンに油を熱し、なすとピーマンを炒める。
  2. 野菜に火が通ったら、味噌・みりん・砂糖・しょうゆを混ぜた調味料を加える。
  3. 中火で全体を絡めながら炒め、照りが出たら完成。

きゅうりのさっぱり感に、コクのある味噌だれがよく合います。シャキッと冷やして、夏のおつまみ、箸休めにぴったりです。

おすすめの味噌:信州味噌(やや辛口タイプ)

【きゅうりと味噌だれの冷やしディップ】レシピ

材料(2人分)

  • きゅうり…1本
  • 【A】味噌…大さじ1
  • 【A】酢…小さじ1
  • 【A】みりん…小さじ1
  • 【A】ごま油…小さじ1/2
  • 白ごま…少々

作り方

  1. きゅうりは縦半分に切り、スティック状に切る。
  2. 【A】をよく混ぜて、味噌だれを作る。
  3. 器にきゅうりと味噌だれを盛り付けて、白ごまをふる。

火を通さない料理なので、香りがよくまろやかな甘みのある味噌がぴったり。冷やしてもおいしさが引き立ちます。

おすすめの味噌:麦味噌(甘口〜中辛)や合わせ味噌

【冷や汁そうめん】レシピ

材料(2人分)
  • そうめん…2束(約200g)
  • きゅうり…1/2本(薄い輪切り)
  • みょうが…1個(せん切り)
  • 大葉…4枚(せん切り)
  • 木綿豆腐…1/3丁(手でくずす)
  • 白すりごま…大さじ1

【A】冷や汁のだし

  • 味噌(おすすめ:香ばしさが引き立つ麦味噌信州味噌)…大さじ2
  • だし汁(冷たく冷やしたもの)…400ml
  • しょうが(すりおろし)…小さじ1/2
作り方
  1. フライパンで味噌を軽く焼き香ばしさを引き出す。
  2. ボウルに冷たいだし汁を入れ、焼いた味噌を溶かし、しょうが、すりごまを加える。
  3. きゅうり、豆腐も加え、冷蔵庫でよく冷やす(15〜30分)。
  4. そうめんを茹でて冷水でしっかり冷やし、水気を切る。
  5. 器にそうめんを盛り、冷や汁をかける。みょうが・大葉をたっぷりのせて完成!

とうもろこしの自然な甘みと、白味噌のまろやかさが絶妙に調和。冷やして楽しむ、やさしい味わいの一品です。

おすすめの味噌白味噌(京風白味噌など)・信州白味噌など甘みのあるタイプ

【白味噌ととうもろこしの冷たいすり流し】レシピ

材料(2人分)
・とうもろこし(生でも缶でも)…1本(または粒100g)
・白味噌…大さじ1〜1.5
・だし(冷やしておく)…200ml
・うす口しょうゆ…少々(お好みで)
・塩…少々
・氷…適量(お好みで)

作り方

  1. とうもろこしはゆでて実をほぐす(缶詰の場合は水気をきる)。
  2. ミキサーにとうもろこし、だし、白味噌を入れて撹拌する。
  3. 味を見て、うす口しょうゆや塩で整える。
  4. 冷やして器に注ぎ、お好みで氷を浮かべる。

味噌をもっと自由に楽しむヒント

味噌は、和食のさまざまな料理に使えるとっても便利な調味料。
特に夏は火を使わず手軽に使える味噌レシピが重宝します。ポイントをまとめると…

和え物、ディップ、冷や汁など、火を使わない一品料理はもちろん、煮る、炒める、焼く…と、味噌のうま味は色んな料理で活躍します。

暑い日や疲れた時は、冷や汁や味噌ディップなど、さっと作れて栄養もしっかり摂れる料理が便利です。
例えば、刻んだ夏野菜に味噌・酢・ごま油を混ぜるだけの簡単ディップは忙しい毎日の強い味方。

  • 赤味噌:コク深く力強い味わい。香りの強い野菜や油との相性も◎
  • 白味噌:甘くまろやか、夏の冷やした料理におすすめ。
  • 合わせ味噌・信州みそ:クセがなくさっぱり、どんな料理にも合う万能タイプ。
  • 麦味噌:やさしい甘みが特徴で、和え物や炒め物におすすめ。

八丁味噌、仙台味噌、西京味噌、島原味噌、信州味噌、など、地域性のある味噌を味わうのも楽しいですね。

料理や気分に合わせて使い分ければ、和食の幅が広がり、毎日の食卓が豊かになります。ぜひいろいろと試して、お気に入りの味噌の使い方を見つけてみてくださいね。

コラム|夏こそ摂りたい、味噌の“発酵パワー”

暑さで食欲が落ちたり、体がだるくなりがちな夏。そんなときこそ、発酵食品である味噌の出番です。

味噌には、消化を助ける酵素や腸内環境を整える乳酸菌が豊富に含まれ、食べ物の栄養吸収を助けてくれます。

さらに、アミノ酸やビタミンB群も多く、夏バテ予防疲労回復にもひと役。冷たい料理にしても美味しく、無理なく続けられるのも嬉しいポイントです

おわりに|味噌で広がる、夏の和ごはん

味噌のやさしい塩気と、夏野菜の瑞々しさ。
季節の恵みをまるごと味わうには、味噌はぴったりです!

冷たくしても、温かくしても。
炒めても、のせても、溶かしても。
味噌は、どんなかたちにも寄り添ってくれる和の知恵です。

ひとさじに込められた、和ごころと思いやり。
食べる人の笑顔を思い浮かべながら、今日も台所に立つ。
そんな日々の中で、味噌はきっと、心強い味方になってくれるはずですよ。

私の常備味噌は、信州味噌(合わせ)、白味噌、赤だし(豆味噌をベースにした色の濃い調合味噌)です。あとは自分で仕込んだ手前味噌。

余裕ができたら、手前味噌づくりもいいですよ。手前味噌は、素材や塩加減を自分で選べて、安心して使える“わが家の味”。時間をかけて育てるおいしさは、格別です^^

夏野菜をもっと楽しみたい方は、
「しょうゆ編」「お酢編」もぜひあわせてご覧ください

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