~さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所~
日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)。
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。
栗、さつまいも、かぼちゃ…。秋の台所には、自然の甘みをもつ食材があふれます。
そこに砂糖をひとさじ加えると、素材本来の甘さがぐっと引き立ち、ほっとする和の深い味わいになります。
今回は和食の砂糖の使い方と、秋野菜との相性、さらに砂糖を活かした秋野菜レシピを3品ご紹介します♪
砂糖の種類とおすすめの使い方

砂糖は種類によって甘さの質や仕上がりが変わります。それぞれの特徴はこちら…
- 上白糖(じょうはくとう)
日本の家庭で最もなじみ深い砂糖。クセのないやわらかな甘みで、煮物やお菓子など幅広く使える万能タイプ。 - 三温糖(さんおんとう)
茶色がかった色で、コクと深みのある甘さ。小豆の煮物や栗の渋皮煮など、味わいに厚みを出したいときにおすすめ。 - 黒砂糖(くろざとう)
ミネラルを含み、濃厚で独特の風味。豚の角煮や田舎風のお菓子、さつまいもやかぼちゃとの相性も抜群。 - 和三盆(わさんぼん)
口どけのよい上品な甘さで、和菓子に欠かせない存在。柿や梨など果物の白和えに少量加えると、ぐっと上品に仕上がる。 - グラニュー糖
すっきりとした透明感のある甘さ。ジャムやコンポートなど、果実の色を生かす料理に最適。

砂糖は「どれでも代用可能」ですが、れぞれの特徴を知って、食材や料理によって使い分けるという楽しみ方もありますね。
秋の食材と砂糖の相性
砂糖は「甘くする」だけではなく、料理を美しく、おいしく仕上げる役割を果たします。
- 照りとつやを与える
煮物や甘露煮に砂糖を加えると、表面に自然な照りが出て見た目も上品に。例:栗の渋皮煮。 - 水分を引き出し、しっとり仕上げる
さつまいもやかぼちゃは砂糖を加えることでしっとり感が増し、口当たりが良くなります。 - 保存性を高める
砂糖の浸透圧で微生物の繁殖を抑えるため、ジャムや煮豆、甘露煮は日持ちが良くなります。 - 甘みで素材を引き立てる
秋の食材の自然な甘みを、砂糖がバランスよく強調してくれます。

秋の食材と砂糖は、まさに相思相愛の関係です。
秋の甘みを味わうおすすめレシピ
秋の実りと砂糖のやさしい関係を楽しめる3品をご紹介します。旬の素材にひとさじの甘みを加えて、ほっとする和の味わいを食卓に。
栗の渋皮煮|上品な甘みをじっくり含ませて
秋の味覚・栗を砂糖でじっくり煮含め、艶やかで奥深い甘みに仕上げます。おもてなしにもぴったりの一品です。
さつまいものレモン煮|すっきり爽やかな秋の甘さ
ほくほくのさつまいもに砂糖のやさしい甘みとレモンの酸味をプラス。色鮮やかで、箸休めにもおすすめです。
かぼちゃのいとこ煮|小豆の甘みが広がる行事食
小豆と砂糖のやさしい甘さをかぼちゃに含ませた、冬至にも食べられる伝統的な煮物。ほっこり落ち着く味わいです。
おわりに|秋の甘みをじっくり味わう
砂糖は、栗やさつまいも、かぼちゃといった、もともと甘味のある秋の食材の持ち味をさらにやさしく引き立ててくれます。
旬の実りにひと手間を加えて、ほっとする秋の甘みをぜひご家庭の食卓で味わってみてください♪
参考文献
- 辻静雄料理教育研究所『日本の料理事典』講談社, 2004年
- 農林水産省「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」
- 『日本国語大辞典』小学館
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