── 季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所 ──

夏の暑さで食欲が落ちてしまうとき、頼りになるのが「お酢」。
きゅんとした酸味がさっぱりと心地よく、夏野菜のうま味をぐんと引き立ててくれます。

この記事では、お酢を使った夏野菜の和風レシピを3品ご紹介。
火を使わずに作れるマリネから、だしの風味がきいた冷たい副菜、常備菜にもなる炒め物まで、どれも手軽で暑い日にもぴったりの一皿です。

また、酢の種類ごとの特徴や、調理のコツもあわせて解説しています。
「酸っぱいのがちょっと苦手…」という方にも、おいしく取り入れていただけるヒントがたくさん。

夏の台所に、お酢のやさしい知恵を取り入れて。
さっぱり&元気に、旬の野菜を味わいましょう。

「夏のお酢」は、和食の知恵

お酢は、独特の酸味があるので「さしすせそ」の中でも少し異色の存在です。
でも和食の世界では昔から、欠かすことのできない定番調味料!

ほんの少し加えるだけで、暑さで疲れた体も気持ちも、すーっと軽くなるような清涼感が味わえるのもお酢の特徴です。

そのほかにも「夏にこそお酢」といわれる理由があります。

たとえば…

  • さっぱりしていて食べやすい
  • 保存がききやすくなる
  • 彩りがきれいに仕上がる
  • お酢に含まれるクエン酸・酢酸が、夏の疲れた体をサポートしてくれる

また、調理法においても、火を通すと酸味がやわらぎ、まろやかになったり、逆に、冷やすことでシャキッと引き締まった味になったり…。
お酢は扱い方次第で、さまざまな表情を見せてくれます。

酢の種類を使い分けて、味のバリエーションを

ひとくちにお酢といっても、いろいろな種類があります。
料理に合わせて使い分けると、同じ食材でも全く違った味わいに。

酢の種類特徴向いている料理例
米酢まろやかでクセがない酢の物、煮物、寿司飯など
穀物酢すっきりした酸味ピクルスや南蛮漬けに
黒酢コクと深みがある炒め物、甘酢あん、肉料理に
りんご酢フルーティで甘めマリネ、冷菜、ドリンクにも

おうちにもし違う種類があれば、ぜひ試してみてくださいね♪

お酢×夏野菜、相性ばつぐんの組み合わせ

水分たっぷりで、みずみずしい夏野菜。
そこにお酢を合わせると、不思議とどれもピタッと決まるんです。

いくつか、我が家でもよく作るお気に入りの組み合わせをご紹介します。

トマトの自然な甘さと、りんご酢のやわらかい酸味がよく合います。
まるでデザートみたいな、つるんと食べられるマリネに。

(三杯酢の基本は、酢:しょうゆ:砂糖=1:1:1)

王道の酢の物に。
すっきりとした口当たりで、暑い日の箸休めにぴったりです。

揚げびたしや焼きなすに、かつおだしのきいた土佐酢をかけて。
じゅわっとしみる夏のごちそうです。

ピーマン独特の青い香りを、黒酢のコクがまろやかに包んでくれます。
炒め物や常備菜にもおすすめ。


お酢を使った夏野菜の和風レシピ3選

お酢を使った、夏にうれしい和のごはんを紹介しますね♪
どれも少ない食材で簡単にできるので、おすすめです。

慣れてきたら、ぜひ、お酢の種類や量を自分好みに調整してくださいね。

つるんと涼やか、デザート感覚で食べられる!作り置きにもピッタリです。

《レシピ》ミニトマトのりんご酢マリネ

材料(2〜3人分)
・ミニトマト:20〜25個
・【A】りんご酢:大さじ2
・【A】はちみつまたは砂糖:大さじ2
・【A】オリーブオイル:大さじ1
・【A】塩:ひとつまみ

作り方

  1. ミニトマトは湯むきしておく。
  2. ボウルにAを混ぜてマリネ液を作る。
  3. トマトを加えて冷蔵庫で冷やし、よくなじませたらできあがり。


写真付きの詳しいレシピはこちらへ♪
↓↓↓

りんご酢はフルーティで酸味もやさしめ。
米酢はまろやかで、和風のおかずにしっくりきます。
酢が苦手な方には、りんご酢がおすすめ。

なすの旨みをしっかり引き出し、みょうがの香りがふわり。
かつおだしの利いた土佐酢が、涼やかな味わいに仕上げます。

《レシピ》なすとみょうがの土佐酢びたし

材料(2人分)
・なす:2本
・みょうが:1個
・かつお節:適量
・【A】米酢:大さじ1.5
・【A】しょうゆ:大さじ1
・【A】みりん:大さじ1
・【A】だし:50ml

作り方

  1. Aを鍋で軽く温め、土佐酢を作る。
  2. なすは半分に切って焼くか素揚げし、油をきっておく。
  3. みょうがは薄切りにしてさっと水にさらす。
  4. なすとみょうがを土佐酢に浸し、冷やす。かつお節をふって完成。

香ばしく炒めたじゃことピーマンに、黒酢のコクがじんわり。
ごはんにも、お酒にもよく合う一品です。

《レシピ》ピーマンとじゃこの黒酢炒め

材料(2〜3人分)
・ピーマン:4個
・ちりめんじゃこ:大さじ2
・【A】黒酢:大さじ1
・【A】しょうゆ:小さじ1
・【A】砂糖:小さじ2
・ごま油:小さじ1

作り方

  1. ピーマンを細切りにする。
  2. フライパンにごま油を熱し、ピーマンを炒める。
  3. じゃこを加えてカリッとするまで炒める。
  4. Aを加えて、さっと炒め合わせたらできあがり。

夏にうれしい、お酢の健康パワー

「なんだか体がだるい」「食欲がわかない」——そんな夏のお悩みに、昔から頼りにされてきたのが「お酢」です。

お酢に含まれるクエン酸酢酸には、疲労回復をサポートする働きや、胃の働きをやさしく整える作用があるといわれています。

暑さでバテ気味なときや、冷たいものの取りすぎでお腹が重たいときなど、ほんの少し酸味を加えると、体が「ほっ」と軽くなる感覚があるかもしれません。


さらに最近では、お酢には血糖値の急上昇を抑える効果や、腸内環境をととのえる効果にも注目が集まっています。酢酸が腸内の善玉菌を元気にしてくれるともいわれていて、腸活を意識する方にもぴったりですね♪

 

毎日のごはんに少しずつ取り入れるだけで、夏を元気に過ごすためのやさしい味方になってくれるお酢。
むずかしいことは抜きにして、「さっぱりしておいしい」その一皿が、体の内側にまでしみわたっていくような、そんな感覚を楽しんでみてくださいね。

おわりに|「酸味」をたのしむ、夏の知恵

夏になると自然と食べたくなる「酸っぱいもの」。
それは、私たちの体が涼やかさと元気を求めているからかもしれません。

お酢は、そんな季節の台所に寄り添う、やさしい知恵のひとつ。
野菜の色を引き立て、味を引き締め、暑さで疲れた体と心をすっと整えてくれます。

この夏は、「す(酢)」で味わう和のごはんを、ぜひ楽しんでみてください♪

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