さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

秋は「実りの秋」と呼ばれるほど、食材が豊富にそろう季節ですよね。
かぼちゃやさつまいも、里いも、ごぼう、れんこん、きのこなど、滋味深い食材が食卓を彩ります。

これらの秋野菜に寄り添って、旨味をさらに引き立ててくれるのが、和食に欠かせない調味料「醤油」。ほんのりとした香ばしさと、奥行きあるうま味が、素材の甘みや香りを引き立ててくれます。

秋の味覚を、より楽しむためのヒントをご紹介します。


しょう油の基本と秋野菜との相性

しょう油にはいくつかの種類があり、使い分けることで料理の印象が大きく変わります。まずは基本的なしょう油の種類と特徴がこちら。

  • 濃口しょう油:全国で最も一般的。うま味と香りのバランスがよく、煮物・炒め物・つけだれなど幅広く活躍。
  • 薄口しょう油:塩分はやや高めで、色が淡い。素材の色を活かしたい煮物やお吸い物向き。
  • 白しょう油:色が薄く、甘みを感じやすい。茶碗蒸しや炊き込みご飯など、素材の色を引き立てたい料理に。
  • たまりしょう油:とろりと濃厚で色も濃い。刺身や照り焼きなど、コクを重ねたい料理に。
  • 再仕込みしょう油:仕込みにしょう油を用いることで、濃厚でまろやか。特別感のある料理に少量使うと印象的。

しょう油との相性でどのような効果をもたらすか、代表的な秋野菜を例にまとめています。

秋野菜特徴しょう油との相性
かぼちゃ甘みが強く、ほっくり食感濃口醤油で照りとコクをプラス
さつまいもやさしい甘み、ホクホク感甘じょっぱい味付けにぴったり
里いもねっとり、粘りのある食感薄口で上品に、濃口でこっくり煮物に
ごぼう香りと歯ごたえが特徴濃口しょう油で風味をしっかり引き立てる
れんこんシャキシャキ、ほのかな甘み照り焼きやきんぴらに相性抜群
きのこ類香りと旨味が豊かしょう油で香ばしさをプラス

秋野菜を調理するとき、しょう油の種類を選ぶ目安をまとめました。料理のイメージや仕上げたい雰囲気に合わせて、ぜひ使い分けてみてください。

料理ジャンルしょう油の種類ポイント
煮物(里いも・かぼちゃ・ごぼうなど)濃口甘みや旨味を包み込み、こっくり仕上げる
色を活かした煮物・吸い物(れんこん・里いも白煮など)薄口素材の色をきれいに残す
炒め物(れんこん炒め・きのこバター炒めなど)濃口/薄口濃口で香ばしく、薄口で軽やかに
ご飯もの(きのこの炊き込みご飯など)薄口/白ご飯の色を淡く仕上げ、具材を引き立てる
照り焼き・蒲焼き風(かぼちゃ、鶏肉とれんこんなど)濃口/たまり照りよく濃厚に仕上がる
特別感を出す一皿(きのこステーキやおもてなし料理)再仕込み深いコクとまろやかさをプラス

ポイント
秋野菜の甘みやほっくり感には、全体をまとめる力のある「濃口しょう油」がよく合います。ただし、料理の雰囲気や色合いを重視したいときは薄口や白を選ぶと上品な印象に。たまりや再仕込みは“隠し味”感覚で取り入れると、一段と特別感が増します。


🍂 秋野菜 × しょう油 おすすめレシピ集

実りの秋には、かぼちゃやさつまいも、里いも、れんこん、きのこなど、ほっくり美味しい野菜がたくさん出回ります。しょう油を合わせると、甘みや香りがぐんと引き立ち、食欲の秋にぴったりのおかずに早変わり。

ここでは、手軽に作れてご飯にもよく合う「秋野菜 × しょう油」のおすすめレシピを集めました。

今回ご紹介する5品はいずれも濃口しょうゆを使っています。ぜひご家庭の基本の一本でお試しください。

ほっくり甘いかぼちゃに、バターとしょう油の香ばしさをからめた一品。副菜にもお弁当にもおすすめです。

かぼちゃのバター醤油炒め

材料(2〜3人分)
かぼちゃ 200g/バター 10g/しょう油(濃口) 大さじ1/砂糖 小さじ1/サラダ油 少々

作り方

  1. かぼちゃを薄切りにしてレンジで軽く加熱する。
  2. フライパンで油とバターを熱し、かぼちゃを炒める。
  3. しょう油と砂糖を加え、香ばしく絡めて仕上げる。

しょう油とみりんで煮含めたそぼろあんを、さつまいもにとろりとかけて。ご飯がすすむ秋らしいおかずです。

さつまいもの甘辛そぼろあん

材料(2〜3人分)
さつまいも 200g/鶏ひき肉 100g/しょう油(濃口) 大さじ2/みりん 大さじ2/砂糖 大さじ1/片栗粉 小さじ2+水 大さじ2

作り方

  1. さつまいもは乱切りにして下ゆでする。
  2. フライパンで鶏ひき肉を炒め、調味料を加える。
  3. さつまいもを加えて煮含め、水溶き片栗粉でとろみをつける。

しょう油とだしでことこと煮込むだけ。ねっとりとした里いもの旨みが広がり、冷めても美味しい常備菜に。

里いもの照り煮

材料(3〜4人分)
里いも 400g/だし汁 300ml/しょう油(濃口) 大さじ2/みりん 大さじ2/砂糖 大さじ1

作り方

  1. 里いもは皮をむき、塩でもみ洗いしてぬめりを取る。
  2. 鍋にだし汁と調味料を入れ、里いもを加える。
  3. 落とし蓋をして弱火で15分ほど煮含める。

※色を淡く仕上げたいときは薄口に置き換えてもOK。薄口しょうゆの場合は塩味が強くなるのでしょうゆの量を少し控えてください。

シャキシャキのれんこんと鶏肉を炒め、仕上げにしょう油をジュッと回しかけて香りを引き立てます。

れんこんと鶏肉のしょう油炒め

材料(2〜3人分)
鶏もも肉 200g/れんこん 200g/しょう油(濃口) 大さじ1.5/みりん 大さじ1/酒 大さじ1/ごま油 小さじ2

作り方

  1. れんこんは薄切りにして水にさらす。鶏肉は一口大に切る。
  2. ごま油で鶏肉を炒め、火が通ったられんこんを加える。
  3. 調味料を加えて強火で炒め、香ばしく仕上げる。

炊き立てご飯にきのことバターを混ぜ、しょう油を少し加えるだけで、秋の香りが広がるごちそうご飯に。

きのこのしょう油バターご飯

材料(2合分)
米 2合/しめじ・舞茸・椎茸など合わせて200g/バター 20g/しょう油(濃口) 大さじ2

作り方

  1. きのこは食べやすくほぐし、バターで炒める。
  2. 炊き立てご飯に炒めたきのことしょう油を加えて混ぜる。
  3. 器に盛り、好みで青ねぎを散らす。

しょう油を上手に使うコツ

しょう油は同じ分量でも、入れるタイミングや種類の選び方で味わいが大きく変わります。香ばしさを立たせたり、素材の色合いを美しく仕上げたりするには、ちょっとした工夫がポイントです。

  • 仕上げに少量加えると、香ばしさが際立ちます。
  • 薄口と濃口を使い分けることで、色や仕上がりの印象が変わります。
  • 炒め物は強火で最後に回しかけると、しょう油の香りが引き立ちます。

栄養と健康面

秋野菜は、食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富で、腸内環境を整えたり免疫力を高めたりするのに役立ちます。また、体を温める効果もあり、季節の変わり目の養生にぴったりです。

一方で、しょう油はうま味が強いため、少量でも料理全体の味がしっかりまとまります。そのため、塩分を控えつつ満足感のある味わいに仕上げられるのも嬉しいポイントです。


おわりに|しょう油で秋の和ごはんを楽しむ

暑かった夏も終わって涼しい風が吹き始めると、秋野菜の甘みや香りを、しょう油がやさしく包み込む香ばしい料理が嬉しいですね。

煮物や炒め物はもちろん、炊き込みご飯や和え物にも活用できるしょう油。

ぜひ、旬の野菜と組み合わせて「秋らしい和の食卓」を楽しんでみてください♪


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