~9月の和ごはん歳時記より~

9月9日は重陽の節句、別名「菊の節句」ともいわれます。古来より菊は「延命長寿」の象徴とされ、重陽の節句には欠かせない花でした。

今では食卓を彩る秋の食材としても親しまれています。今回は、さっと茹でてポン酢をかけるだけで楽しめる「菊花ポン酢」をご紹介します。

9月に入っても暑い日が続いています。ぜひ食卓に菊を並べて、気分だけでも秋の訪れを感じてみてください♪


菊と食文化のつながり

菊は鑑賞用としてだけでなく、食材としても古くから用いられてきました。新潟や山形、長野などでは食用菊の栽培が盛んで、「もってのほか」「延命楽」といった品種がよく知られています。

見た目の華やかさはもちろん、ほろ苦い風味が食欲をそそり、秋の料理に彩りを添えてくれます。


レシピ|菊花ポン酢

調理はとても簡単♪下ごしらえの一工夫で、色鮮やかで香りよく仕上がります。

  • 食用菊 … 1パック
  • 酢 … 少々(茹でるときに使用)
  • ポン酢 … 適量
STEP1
花びらを外す

菊の花から花びらを丁寧に外し、がくを取り除く。がくを残すと苦味が強くなるので注意。

STEP2
酢を加えて茹でる

沸騰した湯に酢を少量加え、花びらを20〜30秒ほどさっと茹でる。酢の効果で菊の色がより鮮やかに保たれる。

STEP3
冷水にさらす

茹で上がったらすぐに冷水にとり、水気をしっかり切る。ここで水気が残ると味がぼやけやすくなるので、手で軽く絞る。

STEP4
盛り付ける

小鉢に盛り付け、食べる直前にポン酢をかけていただく。


美味しく仕上げるコツ

菊花の魅力は、なんといってもその鮮やかな黄色と菊の香り、そして鼻から抜ける風味と歯ざわりです。それらを引き立てるためには、ちょっとした工夫が大切です。

  • 下茹でのお湯に酢を加える:色鮮やかに仕上げるためのポイント。
  • 茹ですぎない:加熱時間が長いと花びらが柔らかくなりすぎて食感が失われます。さっと茹でて歯ざわりを残すのがおすすめ。
  • ポン酢はかけすぎない:菊の風味を楽しむため、控えめにかけると上品な味わいに。
  • 添える具材で変化をつけるしらす大根おろしを添えるとコクや食感が加わり、味わいが深まります。

アレンジのヒント

菊花は彩も良く季節感もあるので、いろいろとアレンジできます。

  • 菊花のおひたし:だし醤油で和えると、より和食らしいやさしく落ち着いた味わいに。
  • 菊花ときゅうりの和え物:きゅうりの食感と菊の彩りが合わさり、箸休めにぴったり。
  • 菊花寿司:ちらし寿司や押し寿司に散らせば、特別感のある華やかな一品に。
  • お吸い物の彩りに:吸い地に浮かべると香りが立ち、食卓に季節感を添えられます。

おわりに|秋を彩る小鉢

菊花ポン酢は、特別な手間がいらないのに食卓がぐっと秋めく一皿です。

重陽の節句や秋の行事の食卓に加えれば、季節を感じながら体を労わることができます。

菊の花を見つけたら、ぜひ旬のうちに取り入れてみてください。


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