~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。

「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。

朝夕の風に秋の気配を感じる9月。実はこの時期、美味しい伝統がぎゅっと詰まった「行事食の宝庫」だってご存じでしたか?

月を愛でるお団子に、ほっとする甘さのおはぎ、風流な菊酒まで……。古くから日本人は、秋の実りに感謝しながら食卓を楽しんできました。

今回は、見るだけでちょっとワクワクする9月の行事食カレンダーと、旬の味覚をたっぷりお届け!今日の献立に取り入れたくなる秋のヒント、ぜひ覗いてみてください。

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9月の行事食カレンダー

時期行事名意味・由来行事食・食の習わし
9月9日重陽の節句
(菊の節句)
奇数の最大値「9」が重なるめでたい日。菊の香りで邪気を払い、長寿を願う五節句の一つ。菊酒・栗ごはんなす料理
(食用菊を浮かべたお酒や、この時期採れる「初栗」「秋なす」を楽しむ)
9月中旬
(旧暦8月15日)
十五夜
(中秋の名月)
一年で最も美しい月を愛でる行事。秋の収穫(特に芋類)に感謝を捧げる。お月見団子里芋さつまいも
(月に見立てたお団子や、収穫されたばかりの芋類をお供えしていただく)
9月20日前後〜26日頃
(秋分挟む7日間)
秋のお彼岸昼と夜の長さがほぼ同じになる秋分の日を中心に、ご先祖様に感謝し供養する期間。おはぎ
(秋に咲く萩の花にちなむ。小豆の赤色で邪気を払い、ご先祖様へお供えする)
9月下旬〜各地秋祭り・収穫祭実りの秋を迎え、無事に作物が収穫できたことを神様に感謝・報告する地域行事。赤飯栗ごはん・さんま・秋の味覚
(おめでたい赤飯や、採れたての秋鮭・新米などを地域みんなで味わう)

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行事食を詳しく知る

ここからは、9月に行われる行事ごとの由来や食べ物の意味を、ひとつずつ見ていきましょう。

~菊の香りで長寿を願う。大人の風流を楽しむ秋の五節句~

菊は古くから「長寿の象徴」とされ、その強い香りには邪気を払う不思議な力がある信じられてきました。

重陽の節句では、食用菊の花びらをそっと浮かべた「菊酒」を傾け、心身を清めるのが風流な嗜み。食卓には、ほくほくの「栗ご飯」や、鮮やかな黄色が映える「菊花のお浸し」を添えて、無病息災を願います。

また、「秋なすは重陽に食べると病気にならない」という言い伝えも。とろけるように美味しい秋なすも取り入れて、大人の豊かな秋を味わってみませんか?

重陽の節句は、五節句のしめくくりとなるおめでたい日。 鮮やかな黄色の「菊」をあしらい、ほくほくの「栗」や旬の「秋なす」を取り入れることで、初秋の訪れを五感で楽しめる食卓になります。

重陽の和ごころ献立例(一汁三菜)

  • 主食: ほくほく栗ご飯🔗
  • 主汁: 豆腐と菊花のお吸い物
    (澄んだお出汁に鮮やかな黄色い菊の花びらを浮かべた、上品な一杯)
  • 主菜: 秋なすと豚肉の生姜味噌炒め
    (「重陽に食べると病気にならない」と言われる秋なすを、スタミナ抜群の味付けで)
  • 副菜: 春菊とえのきの菊花和え (▶きのこと菊花の和え物レシピ🔗
  • 副々菜: さつまいもの甘露煮(▶さつまいものレモン煮レシピ🔗
    (黄金色のさつまいもで、彩りと秋らしい甘みをプラス)

「菊を食べる」って少しハードルが高そうに思えますが、少し散らすだけで、いつもの食卓が一気に料亭っぽくなるから不思議です!

💡【重陽の節句(菊の節句)の意味・由来、「栗ごはん・菊酒」の行事食豆知識まで、さらに詳しく解説しています!
 ▶『9月9日は重陽の節句』の意味・由来と行事食🔗

💡 食用菊の下処理&美味しい食べ方はこちら

鮮やかな色を残す茹で方のコツや、手軽に試せる絶品レシピをまとめた「食用菊の素材図鑑」をチェック!
【食用菊の素材図鑑】下処理のコツ&美味しい食べ方まとめ🔗


~澄んだ夜空に輝く満月。秋の実りに感謝を捧げるお月見の夜~

一年で最も月が美しいとされる「十五夜(中秋の名月)」。
もともとは中国から伝わった月を鑑賞する風習ですが、日本ではそこに「秋の収穫への感謝」を重ね合わせる独自の文化として定着しました。

十五夜は別名「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれ、この時期に収穫される里芋やさつまいもをお供えして祝うのが伝統です。

満月に見立てたお月見団子はもちろん、今がまさに旬の芋類や秋の味覚を食卓に並べて、美味しいお月見の夜を楽しんでみてください。

十五夜の食卓は、「芋名月(いもめいげつ)」の由来でもある旬の芋類(さつまいも・里芋)や、実りの秋を迎えた旬の食材をたっぷり取り入れるのがポイント。季節の恵みに感謝しながらいただく、風情豊かな献立です。

十五夜の和ごころ献立例(一汁三菜+甘味)

虫の声を背景に、澄んだ夜空に浮かぶ満月を眺める……そんな風情ある日本の秋を過ごしたいものですね♪


2026年(令和8年)の秋のお彼岸は、9月20日~26日 (秋分の日は9月23日(水))です。

「暑さ寒さも彼岸まで」。季節の深まりとともに心を通わせる1週間~

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉通り、夏の厳しい暑さが和らぎ、朝夕の涼しさに秋の訪れを実感する時期。秋分の日(9月23日頃)を挟んだ前後3日間、合わせて7日間を「秋のお彼岸」と呼びます。

お彼岸は、ご先祖様を供養し感謝を伝える大切な日本の伝統行事。 お供えものとして欠かせないのが「おはぎ」です

春は牡丹(ぼたん)の花にちなんで「ぼたもち」、秋は萩(はぎ)の花にちなんで「おはぎ」と呼ばれています。旬の食材を味わいながら、心穏やかに季節の節目を感じてみませんか。

お彼岸には、心を落ち着かせてご先祖様に感謝を捧げる「精進料理」の考え方を取り入れた、体に優しい和食がよく合います。

甘いおはぎと一緒に召し上がれるよう、お出汁の効いたやさしい味付けの一汁三菜を組み合わせてみました。

秋のお彼岸の献立例(一汁三菜)

ミニコラム|春は牡丹餅、秋はおはぎ

お彼岸にいただく和菓子といえば、春は「牡丹餅(ぼたもち)」、秋は「お萩(おはぎ)」。
呼び名の違いは、季節の花に由来しています。春は大きく華やかに咲く牡丹にちなみ、丸くふっくらした形。秋は野に咲く萩にちなみ、小ぶりで俵型に作られることが多いといわれています。

また、あんこの違いも語り継がれています。春は小豆の皮がまだ固いため「こしあん」が多く、秋は収穫したての小豆を使うため「つぶあん」が多いという説があります。

実際には、地域や家庭によって呼び分けが異なり、どちらも同じものとして親しまれることもしばしば。
それでも「牡丹」と「萩」に季節を重ねて名を変える感性には、日本らしい四季の美しさが映し出されていますよね。


▶秋のお彼岸のしつらえと行事食のヒントを紹介しています♪
 👉秋のお彼岸】何をする日?しつらえと行事食のヒント🔗



~新米や初物が揃う実りの秋!地域の恵みと実りに感謝するにぎやかな宴~

この季節、どこからともなく太鼓や笛の音が聞こえてきて、お祭りムードに包まれる…そんな地域もあると思います。

全国各地で開かれる「秋祭り」や「収穫祭」は、春から大切に育ててきたお米や野菜が無事に収穫できたことを感謝する日です。

つやつやの新米にホクホクの芋類、香ばしいきのこや栗など、この時期の食卓は豊かな秋の恵みでいっぱいですよね。

昔からお祭りの日には、お赤飯やちらし寿司などを囲んで家族みんなでごちそうを味わってきました。ぜひおうちでも、旬の味覚をたっぷり並べて賑やかなお祝いの時間を過ごしてみませんか。

旬の味覚をふんだんに盛り込み、お祝い感のある和風のごちそう献立をまとめました。

秋の実りを祝うお祭りごちそう献立例(一汁三菜)

  • 主食: 鮭とキノコの彩りちらし寿司
    (酢飯に香ばしく焼いた鮭、旨みたっぷりのきのこ、錦糸卵を散らした見た目も華やかなお祝いご飯)
  • 主菜: 鶏肉と根菜のホクホク筑前煮
    (れんこん、人参、ごぼうなど秋の根菜を甘辛く煮込んだ、おめでたい日の定番おかず)
  • 副菜: 春菊とまいたけの白和え
  • 副々菜: 秋ナスの香ばしポン酢浸し
    (ごま油でサッと焼いた香ばしい秋ナスに、ポン酢と薬味を和えた、さっぱり口直しのひと品)
  • 汁物: 具だくさん豚汁

私の生まれ育った地域(長野県飯田市)も秋祭りが根付いていて、子供のころから一大イベントでした。そのせいか、今でも、秋祭りの気配を感じるとワクワクします♪


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9月に旬を迎える食材とおすすめ料理

行事食とともに楽しみたい、9月ならではの旬の食材をご紹介します。

栗ご飯栗きんとん
秋茄子味噌田楽、煮浸し
秋刀魚(サンマ)塩焼き、寿司
梨・ぶどうそのまま食べても、デザートや和菓子にも

おわりに|9月の行事食で実りの秋を味わう

秋風が心地よい9月は、十五夜やお彼岸、秋祭りと、季節の移ろいを感じる行事が続きます。

そして、季節の食材がおいしくなるこの時期は、まさに“食欲の秋”の到来!

行事食に込められた「旬の恵みへの感謝」を知ると、いつもの食卓もぐっと味わい深く豊かなものに変わります。

お団子やおはぎ、新米など、旬の恵みを囲みながら、心なごむ秋のひとときを楽しんでみてくださいね♪


💡あわせて読みたい♪

【9月9日重陽の節句】重陽の節句ってどんな節句??


菊花の魅力と楽しみ方を知る♪🔗


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