さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

秋の実りを代表する栗。栗の料理はたくさんありますが、ほっくりとした甘さを長く楽しむなら、丁寧に炊き上げる「甘露煮」がおすすめです。

くちなしの実を加えることで、自然の力でやわらかなツヤのある黄金色に仕上がります。料亭でも使われる手法ですが、家庭でも意外と簡単。

じっくりと煮含めた栗は、おせちや和スイーツにもぴったりです♪

レシピ|栗の甘露煮

  • 生栗 … 約500g(皮つきで)
  • 重曹 … 小さじ1(水1リットルに対し)
  • くちなしの実 … 1個
  • 砂糖 … 250〜300g(栗の正味量の60〜70%目安)
  • 水 … 適量(下茹で・煮汁用)
  • 塩 … ひとつまみ(色止め・風味整え用)
STEP1
鬼皮と渋皮をむく
  1. 熱湯に栗を10分ほど浸けて柔らかくする。
  2. まずは鬼皮をむき、続いて渋皮をむく。渋皮は、底の部分を切り落とし、平らな面もストンと切り落とす。丸い面は底から頭に向かってむく。
STEP2
下茹でしてアクを抜く
  1. 鍋に栗がかぶるくらいの水を入れ、重曹小さじ1(水1リットルに対し)を加える。
  2. 弱火で10〜15分ほど茹で、アクが出てきたらこまめにとる。
  3. 冷水で数回ゆすぎ、重曹のぬめりをしっかり落とす。
     ※栗が割れやすいので、やさしく扱うのがポイント。
STEP3
くちなしの実で色づけ
  1. くちなしの実を割ってガーゼで包む。(お茶パックでもOK)
  2. 鍋に栗を並べ、栗がかぶる程度の水とくちなしを加えて火にかける。
  3. 弱火で10〜15分ほど茹でて、自然な黄金色になったらくちなしを取り出す。
  4. ザルに上げ、余分な色を洗い流す。
STEP4
甘く煮含める
  1. 再び栗がかぶるくらいの水を加える。
  2. 砂糖を3回に分けて加え、弱火でゆっくりと煮含める(合計30〜40分)。
  3. 最後に塩ひとつまみを加えて火を止め、そのまま一晩おいて味をなじませる。

美味しく作るコツ

  • 🌰 くちなしは長く煮すぎない:苦味や渋みが出るので、色がついたら早めに取り出します。
  • 🌰 砂糖は3回に分けて:一度に入れると栗が締まるため、じわじわと浸透させましょう。
  • 🌰 加熱中は沸騰させない:ぐらぐら煮ると表面が割れる原因になります。
  • 🌰 冷ます時間も味のうち:火を止めたあともゆっくりと味を含ませると、つややかに仕上がります。
  • 🌰とにかく丁寧に扱う:栗は扱いによって、ほろほろと簡単に崩れてしまいます。とにかく扱うときには丁寧に。グラグラと煮立たせず静かにコトコト、水で洗う時もそーっと優しく扱いましょう。

保存方法

冷蔵で約1週間、煮汁ごと密閉容器に入れて保存します。

長期保存したい場合は、熱湯消毒した瓶に詰めて「煮沸密封(15分程度)」すれば、常温で1〜2か月ほど保存可能です。(開封したら冷蔵庫に入れ1週間で食べきる)

冷凍保存も可(解凍は自然解凍で)。

ミニコラム|くちなしの実の色づけ

くちなしの実は古くから天然の着色料として使われ、栗のほかにもたくあんやおこわなどに用いられてきました。

鮮やかな黄色のもとになるのは「クロシン」という色素で、サフランに似た成分。人工着色料を使わず、やさしい黄金色を引き出せるのが魅力です。


おわりに|秋の保存食として

くちなしで染めた栗の甘露煮は、見た目も香りもやさしい秋の恵み。

おせちの一品や、栗きんとん・羊羹などに展開しても美しく映えます。
手間の分だけ、瓶を開けたときの黄金の輝きがひときわうれしい——そんな秋の手仕事です。


\「栗」について詳しく知る♪/

\旬食材で楽しむ行事食はこちら/