~和ごころ素材図鑑~
季節の移ろいとともに、旬を迎える日本の食材たち。
そのひとつひとつには、自然の恵みと、昔から受け継がれてきた知恵が息づいています。
「和ごころ素材図鑑」では、そんな和の素材を、旬・産地・調理法・行事との関わりなど、暮らしに寄り添う目線でご紹介します。
春の終わりから初夏にかけて、店先に並ぶそら豆。
その存在は知っていても、料理の仕方がよくわからず、なかなか手が伸びにくいと感じる方も多いかもしれませんね。
ですが、そら豆は、さやから出して塩ゆでするだけで、季節を感じる立派な一品になります。
この記事では、そら豆の旬や選び方、下処理の基本から、家庭で取り入れやすい食べ方までを、やさしくまとめていきます。
そら豆の基本

そら豆は、春から初夏にかけて旬を迎える豆類のひとつです。
ふっくらとした粒と、ほくほくした食感、ほんのりとした青い香りが特徴で、塩ゆでにするだけでも季節を感じさせてくれます。
植物としては、マメ科・ソラマメ属に分類される作物で、未熟な豆を食べる「青豆」として利用されます。
さやが上向きに空へ伸びる姿から、「空豆(そらまめ)」と呼ばれるようになった、ともいわれています。
旬の時期
そら豆の旬は 4月下旬〜6月ごろ。
出回り始めの若いものは香りがやさしく、粒が大きくなるにつれて甘みとコクが増していきます。
出回り始めの頃は粒がやや小ぶりで、香りがやさしく、みずみずしさが感じられます。5月に入ると粒がふっくらと育ち、甘みとコクが増して、そら豆らしい味わいに。
旬の終わりが近づくと皮がやや厚くなりますが、焼き料理や加熱調理に向くようになります。
旬の短い食材なので、市場に出回るうちに、ぜひ味わっておきたい季節の食材ですね。
主な産地
そら豆は、温暖な気候を中心に全国各地で栽培されています。なかでも 千葉県・鹿児島県・茨城県・香川県 などは、主要な産地として知られています。
早い時期は温暖な地域から出荷が始まり、春が深まるにつれて産地が北へ移っていくのが特徴。
そのため、地域ごとに少しずつ旬が重なり合いながら、店先に並ぶ期間が続いていきます。
そら豆の選び方

そら豆は、さやに包まれているため、買うときには中の豆の状態を直接見ることができません。
そのため、選ぶ際は さやの色や張り、全体のふっくら感 を目安にするのがポイントです。
新鮮なそら豆には、次のような特徴があります。
- さやが鮮やかな緑色で、ハリがある
- さやの上から触ると、中の豆の形がはっきり感じられる
- さやに対して豆がしっかり詰まっており、軽すぎない
見た目と手触りを頼りに、元気のあるさやを選ぶと、中の豆もふっくらとしたものに出合いやすくなります。
下処理の基本
そら豆は、下処理を少し丁寧にするだけで、味わいがぐっと良くなります。
薄皮を付けたままゆでる
調理の直前にさやを開き、豆を取り出す。
(時間が経つほど風味が落ちやすいため、使う直前に外すのが理想です。)

豆の黒い部分(へそ)に沿って、縦に1本、1〜2mmほど浅く切り込みを入れる。
(火の通りが均一になり、ゆでた後に薄皮もむきやすくなります。)

たっぷりの湯に塩(お湯1Lに対し、塩大さじ1弱)を加え、2〜3分ほどゆでる。
(蒸す場合は強めの中火で5〜7分。さやごと蒸すと甘みが逃げにくいです。)

ザルに上げて冷ます。

薄皮をむく
そら豆は薄皮ごと食べることもできますが、薄皮が硬い場合や、料理によっては、薄皮をむいた方が口当たりがよくなります。
◆ 薄皮をむくとよい料理
- 和え物
- そら豆ごはん
- 白和えやすり流し
- 前菜など、見た目をきれいに仕上げたいとき
やわらかな食感になり、色味もより鮮やかに仕上がります。
◆ 薄皮のむき方
- そら豆を塩ゆで(または蒸す)する
- 粗熱が取れたら、黒い部分の切り込みから指で押し出す
- つるっと中身が出てきます
熱いうちにむくとやけどしやすいので、少し冷ましてから作業するのがおすすめです。
◆ 茹でる前にむく場合
揚げる場合など、下茹でが必要ない場合は、あらかじめ薄皮をむいておく方法もあります。

黒い部分の先端の膨らんだ部分からむくと、むきやすいです。
そら豆のおすすめ定番レシピ
そら豆は、手をかけなくても十分おいしい素材です。まずは気軽に作れる、定番の楽しみ方から。
塩ゆでそら豆
いちばんシンプルで、そら豆本来の甘みと香りを楽しめる基本の食べ方です。初めて扱う方にもおすすめの一品。
塩茹での方法は、先述の「下処理の基本」のそのままです。
焼きそら豆
さやごと焼くことで、豆の甘みがぎゅっと凝縮され、ほくほく感と香ばしさが楽しめます。おつまみにもぴったり。
そら豆ごはん
炊きたてのごはんにそら豆の彩りを添える、季節感たっぷりの一品。食卓が一気に初夏らしくなります。
揚げそら豆
外はさくっと、中はほくほく。シンプルながら、そら豆の甘みがぐっと引き立つ一品です。おつまみにもおすすめ。
そら豆の栄養

そら豆は、豆類らしくたんぱく質を含みつつ、食物繊維も豊富な食材です。
特に注目したいのは、葉酸やカリウムを含んでいること。
葉酸は体づくりに関わる栄養素のひとつで、成長期や妊娠期にも大切とされています。カリウムは体内の余分な塩分を排出する働きがあり、むくみが気になる時期にも心強い存在です。
旬の食材は、その時期の体に合うともいわれます。
春から初夏にかけての疲れやすい時期に、そら豆のやさしい甘みを取り入れたいものですね。
保存方法
そら豆はとても鮮度が落ちやすい食材。できれば購入したその日〜翌日に使うのがおすすめです。
生のまま保存する場合
- さや付きのまま
- 新聞紙やキッチンペーパーで包む
- ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ
さやが乾燥すると風味も落ちやすくなります。密閉しすぎず、軽く包んで湿度を保つのがポイントです。保存の目安は2〜3日以内です。
※さやから出してしまうと、一気に鮮度が落ちるため注意しましょう。
ゆでて保存する場合
- やや固めにゆでる
- 水気をよく切る
- 薄皮をむいて冷蔵または冷凍
冷蔵保存なら1〜2日、冷凍保存は約1か月を目安に、風味が落ちる前に使い切りましょう。
冷凍する場合は1回分ずつ小分けにして保存すると便利です。
冷凍したものは、凍ったまま料理に加えるか、自然解凍で使えます。
ただし、食感は少しやわらかくなるので、和え物や混ぜごはん向きです。
おわりに
そら豆は、手をかけなくても「季節」をしっかり感じさせてくれる、とても贅沢な素材だと思います。
旬の短さも含めて、春から初夏の台所を楽しむひとつの合図のような存在。見かけたら、食卓に取り入れてみてくださいね。
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参考資料
・農林水産省|野菜の生育・産地情報
・文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)
・JAグループ|そら豆の栽培・旬情報
※この記事は、上記資料を参考に、家庭の台所で取り入れやすい形にまとめています。
