~和ごころ素材図鑑~
季節の移ろいとともに、旬を迎える日本の食材たち。
そのひとつひとつには、自然の恵みと、昔から受け継がれてきた知恵が息づいています。
「和ごころ素材図鑑」では、そんな和の素材を、旬・産地・調理法・行事との関わりなど、暮らしに寄り添う目線でご紹介します。
新玉ねぎが店先に並び始めると、春が来たなあと感じます。
みずみずしく、辛味がやさしい新玉ねぎは、加熱しても生でも楽しめる、この季節ならではの食材。
この記事では、新玉ねぎの旬や特徴、選び方や下処理、定番の食べ方までを、家庭の台所目線でまとめています。
新玉ねぎの基本

新玉ねぎの旬は?
新玉ねぎの旬は、3月〜5月ごろ。
秋に種をまき、春先に収穫された玉ねぎを、乾燥させずに出荷したものが新玉ねぎです。
水分をたっぷり含み、辛味が少ないのが特徴で、春の短い期間だけ味わえる季節限定の玉ねぎです。
種類
新玉ねぎは、特定の品種を指す名前ではありません。
主に早生(わせ)品種の玉ねぎを、乾燥させずに出荷したものを、新玉ねぎと呼びます。
通常の玉ねぎは、収穫後に風通しのよい場所でしっかり乾燥させてから出荷されますが、新玉ねぎはこの乾燥工程を行わないため、水分を多く含み、辛味がやさしいのが特徴です。
産地
新玉ねぎは、温暖な地域から順に出荷が始まるのが特徴です。春の訪れとともに、南の産地から少しずつ、産地がリレーするように切り替わっていきます。
主な産地には、
- 佐賀県
- 兵庫県(とくに 淡路島)
- 静岡県
などがあります。
産地リレーを楽しむという考え方
新玉ねぎは、「どの産地が」というより、「今どの地域の旬が届いているか」を楽しむ素材です。
同じ新玉ねぎでも、出始めの頃は特にやわらかく、時期が進むと甘みやコクが少しずつ増す、季節の移ろいとともに味わいも変わっていきます。
栄養
新玉ねぎには、玉ねぎと同じく、硫化アリルや食物繊維が含まれています。
硫化アリルは、玉ねぎ特有の香りや辛味のもととなる成分で、新玉ねぎはその刺激がやさしいので、生でも食べやすいのが特徴です。
また、新玉ねぎは水分を多く含み、食感もやわらか。重たさがなく、さっぱりと食べられるので、冬から春へと体調が切り替わる時季の食卓にも取り入れたい食材ですね。
新玉ねぎと普通の玉ねぎの違い

新玉ねぎと普通の玉ねぎは、品種がまったく違うわけではなく、主に「収穫時期」と「乾燥の有無」に違いがあります。
① 収穫と乾燥の違い
- 新玉ねぎ
春に収穫され、乾燥させずに出荷されます。
水分を多く含み、やわらかく、みずみずしいのが特徴です。 - 普通の玉ねぎ(保存用玉ねぎ)
収穫後にしっかり乾燥(吊り干し・乾燥処理)され、長期保存向きに仕上げられます。
皮が厚く、水分が抜けて締まった状態です。
② 味わい・辛味の違い
- 新玉ねぎ
辛味が非常にやさしく、甘みを感じやすいのが特徴。
生で食べても刺激が少なく、サラダや和え物に向きます。 - 普通の玉ねぎ
辛味がしっかりあり、加熱することで甘みが増すタイプ。
炒め物や煮込みに向いています。
③ 食感の違い
- 新玉ねぎ
繊維がやわらかく、シャキッとしながらも軽い食感。
火を通すと、とろっと崩れやすい面もあります。 - 普通の玉ねぎ
繊維がしっかりしており、加熱しても形が残りやすいのが特徴です。
④ 保存性の違い
- 新玉ねぎ
水分が多いため、日持ちはしません。
冷蔵庫の野菜室で、なるべく早めに使い切るのが基本です。 - 普通の玉ねぎ
風通しのよい冷暗所で、長期保存が可能。
常備野菜として重宝されます。
⑤ 料理の使い分けの考え方
- 新玉ねぎは
「生・軽く火を通す・素材の甘みを味わう料理」向き - 普通の玉ねぎは
「しっかり火を入れる・コクを出す料理」向き

同じ玉ねぎでも、季節によって役割が変わる野菜と考えると、使い分けがしやすくなります。
選び方|みずみずしさが決め手

新玉ねぎは、水分量が命。次のポイントを目安に選ぶのがおすすめです。
- 表面にツヤがあり、ふっくらしている
- 持ったときに重みを感じる
- 傷やぶよぶよした部分がない
皮が薄く、少し湿り気があるくらいが新玉ねぎらしさの証です。
下処理|辛味を抑えすぎないのがコツ
新玉ねぎは辛味が少ないため、必要以上に水にさらしすぎないのがポイントです。そのために、以下のような方法もあります。
- 繊維を断ち切る方向に切ると甘みが出やすい
- 生食の場合は、切ってから5〜10分ほど空気にさらす
水に長くさらすと、風味まで抜けてしまうので注意しましょう。辛味が気になる場合は、冷水に30秒〜1分ほどさっと浸す程度に。
新玉ねぎに向く定番料理/向かない料理

新玉ねぎは、どんな料理にも万能というより、向き・不向きがはっきりした素材です。
ここでは、新玉ねぎらしさが活きる料理と、そうでない料理を分けて紹介します。
新玉ねぎに向く定番料理
新玉ねぎは、水分が多く、辛味がやさしいのが特徴。そのため、素材の甘みやみずみずしさを活かす料理に向いています。
向いている料理例
- 新玉ねぎのスライス・サラダ
- 新玉ねぎとわかめの酢の物
- 新玉ねぎの味噌汁
- 新玉ねぎの丸ごと蒸し・煮
- 新玉ねぎのかき揚げ
生でも加熱でも、軽やかな甘みが感じられるのが新玉ねぎならでは。火を通す場合も、煮込みすぎず、さっと火を入れるのがおすすめです。
新玉ねぎにあまり向かない料理
一方で、新玉ねぎは水分が多く、日持ちしにくいため、しっかり火を通す料理や保存前提の料理には不向きな場合があります。
あまり向かない料理例
- 長時間煮込むカレー・シチュー
- 玉ねぎを大量に使う飴色玉ねぎ
- 作り置き前提の常備菜
- じっくり炒める炒め玉ねぎ
加熱を重ねると、水分が出て食感が崩れやすく、コクや深みを出したい料理には、通常の玉ねぎの方が向いています。

甘みと香り、みずみずしさなどを楽しむ料理は新玉ねぎで、コクや保存性を重視する料理は通常の玉ねぎで。
保存方法|乾燥させないのがポイント
新玉ねぎは日持ちしません。
- 冷蔵庫の野菜室で保存
- ポリ袋や新聞紙に包む
- できるだけ早めに使い切る
常温保存は避け、1週間程度を目安に使い切るのがおすすめです。
おわりに|短い旬を、じっくり味わう
新玉ねぎは、春の間だけ出会える、みずみずしいごちそうです。
特別な料理にしなくても、切って、和えるだけでも、季節の味が食卓に広がります。
ぜひ、短い旬の間に、春の台所に新玉ねぎを迎えて、やさしい甘みと香りを楽しんでみてくださいね。
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食感と彩りが魅力のスナップエンドウ。新玉ねぎと合わせると、春らしい軽やかな一品に仕上がります。
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参考元
- 農林水産省(野菜の旬・産地・流通について)
- JAグループ(玉ねぎ・新玉ねぎ)
- 全国青果物卸売市場協会(野菜の出荷時期・流通情報)
※この記事は、上記資料を参考に、家庭の台所に取り入れやすい形でまとめています。
