さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

脂ののった鰤と、出汁をたっぷり吸いこんだ大根。
冬の食卓に並ぶと、湯気の向こうからほっと心まで温まるような冬の定番「鰤大根」です。

家庭でも作りやすいように、今回は鰤の切り身を使ったレシピをご紹介します。
下ごしらえのひと手間で、上品な味に仕上がりますので、よかったら参考にしてみてください。


レシピ|ぶり大根

材料分量
鰤(ぶり)切り身3切れ(約300g)
大根1/2本(約500g)
生姜1片(薄切り)
400ml
100ml
みりん50ml
しょうゆ50ml
砂糖大さじ2
ネギ(白髪ねぎ)適量
STEP1
下ごしらえ

ボウルに鰤を入れ、90℃のお湯(※)をさっとかけて霜降りにし、表面の汚れを洗って除く。
大根は皮をむいて2〜3cm厚の半月切りにする(大根が小さい場合は輪切りのまま、大きい場合はいちょう切りにしても◎)。

※霜降りにするお湯は、「沸騰した熱湯にお玉1杯の水を加える」と覚えておくと便利です。

STEP2
大根を下ゆでする

鍋に大根とかぶるくらいの水を入れ、竹串がスッと通るまで下ゆでします(約15~20分)。
やわらかくなったらザルにあげ、水気を切っておく。

STEP3
煮る

鍋に水400ml・酒100ml・みりん50ml・砂糖大さじ2・生姜を入れて火にかけ、大根と鰤を加える。
沸騰したらアクを取り、弱火で10分ほど煮る。

STEP4
味付け

しょうゆを加えて落とし蓋をし、さらに20分ほど弱火で煮含める。
途中で煮汁をスプーンでかけながら照りを出す。

STEP5
仕上げ

煮汁が1/3ほどに煮詰まり、大根にツヤが出たら火を止める。
少し置いて味をなじませると、より美味しくなる。

STEP6
盛り付け

器に盛り付け、白髪ねぎを添えて完成。


美味しく作るコツ

霜降りで臭みを取ることで、しょうゆの香りが引き立ちます。
→ 少々面倒ですが、煮汁の濁りがなくなり、すっきりと上品な仕上がりになります。

早く入れると鰤の身が締まりすぎるため、後から加えるのがポイント。
→ まずは酒やみりんでじっくり煮てから、最後にしょうゆで香りを添えると、身がふっくら柔らかく仕上がります。

煮汁が1/3ほど残るくらいが、ほどよくつややかで大根もしっとり。
→ 火を止めたあとに少し置くことで、余熱で味がなじみ、見た目にも美しい照りが生まれます。

🟤豆知識コラム|ぶりが硬くなる理由と、やわらかく煮る知恵

ぶり大根を作っていて「身がパサッと硬くなった…」という経験はありませんか?
その主な原因は、塩分によるたんぱく質の凝固加熱のしすぎです。

ぶりの身は熱や塩分で身が締まりやすく、早い段階でしょうゆを入れるとたんぱく質が急に固まり、弾力が出すぎてしまいます。
また、強火で長く煮るのも同じ結果を招きます。

やわらかく煮るコツは、まず酒やみりんで下煮してから、最後にしょうゆを加えること
アルコールの効果で臭みが抜け、身がふっくらと保たれます。
仕上げに火を止めてから少し休ませると、余熱でじんわり火が通り、
大根と同じように中まで味がなじみます。


保存方法

密閉容器に入れて2〜3日保存可能です。
→ 食べる前に軽く温め直すと、大根がさらにやわらかくなり、味の深みも増します。翌日はより一層美味しく感じられます。

おすすめしません(大根の食感が変わるため)。
→ 解凍すると大根の水分が抜けてスカスカになりやすく、せっかくの煮含めた旨みが薄れてしまいます。


献立のヒント

脂ののった鰤に、やさしい胡麻の香りと、とろみのある味噌汁を合わせて。
全体の味のバランスがよく、和食らしい落ち着いた組み合わせです。

🍚迷わない今日の献立(例)

  • 主菜:鰤大根
  • 副菜:小松菜の胡麻和え
  • 汁物:なめこと豆腐の味噌汁
  • ご飯:白ごはんまたは雑穀米

🍶 日本酒にもよく合います。寒い夜には、熱燗を片手に味わいたいお父さんも多いのでは^^


ミニコラム|「鰤大根」は冬のごちそう

冬に旬を迎える鰤と大根。どちらも寒いほど甘みが増す食材です。
鰤の脂と大根の甘さが出会う「鰤大根」は、まさに冬の恵みを味わう一皿。
地方によっては正月料理のひとつとしても登場し、祝いの席にもよく用いられます。

おわりに|季節の味を大切に

煮るほどに味わい深くなる鰤大根。
翌日、温め直したときの大根のやわらかさと照りは格別です。

寒い日こそ、じっくり火を入れて「和の煮物の美味しさ」を感じてみてください。


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