さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

冷え込みが深まり、湯気のたつ煮物や鍋が恋しくなる季節。
冬は、野菜の甘みがいっそう増し、しょうゆの香ばしさが心にしみる季節でもあります。

じっくり火を入れる料理が多い冬こそ、しょうゆの深い旨味が生きてきます。
今回は「冬野菜×しょうゆ」をテーマに、そのおいしい関係をたっぷりご紹介します。


冬のしょうゆ使いの魅力

しょうゆは、発酵と熟成によって生まれる複雑な香りと旨味が魅力の調味料。寒い季節になると、煮物・焼き物・鍋物など、ゆっくり加熱する料理が増えます。
火を入れることでしょうゆの香りが引き立ち、香ばしい風味とともに食材の甘みを包み込みます。

冬は、空気が乾燥し、温度も低いため、香りが立ちやすい季節。

煮汁がとろりとしみ込んだ大根や、焼きねぎの焦げ目。
その一つひとつが、冬のしょうゆ料理の醍醐味ですね。

火入れのコツ

しょうゆは、煮物の仕上げに加えると香りが飛びにくく、味に丸みが出ます。
焼きものや炒め物では、最後にさっと絡めて香ばしさを引き立てるのがおすすめです。


しょうゆの種類と味わいの違い

しょうゆと一口にいっても、実は全国でさまざまな種類が作られています。
使う原料の比率や熟成期間によって、色・香り・味わいが変わり、料理の印象を左右します。
代表的なしょうゆの特徴を知っておくと、季節や素材に合わせた使い分けができるようになります。

種類特徴向いている料理
濃口しょうゆ(こいくち)全国で最も一般的。香り・旨味・色のバランスがよく、煮物や焼き物など万能に使える。煮物、炒め物、焼き魚、すき焼き
薄口しょうゆ(うすくち)色が淡く、塩分はやや高め。素材の色や風味を生かしたい料理に。関西地方で多用される。お浸し、煮びたし、茶碗蒸し、吸い物
たまりしょうゆ大豆の割合が多く、とろみと深いコクが特徴。刺身や照り焼きなど、照りを出したい料理に最適。刺身、照り焼き、佃煮
再仕込みしょうゆ一度仕込んだしょうゆを、さらにしょうゆで仕込む「二段仕込み」。濃厚でまろやか。ぶり大根、煮魚、ステーキソース
白しょうゆ小麦を主原料にした淡い色合い。上品な香りと軽い塩味で、素材の色を損なわない。吸い物、卵焼き、炊き込みご飯
生(なま)しょうゆ火入れをしていないため、フレッシュで香り高い。仕上げやつけだれに少量使うと風味が際立つ。かけしょうゆ、冷奴、刺身、カルパッチョ風料理

冬料理では、濃口しょうゆの香ばしさ再仕込みしょうゆのまろやかなコクが特に活躍します。
一方で、薄口しょうゆを使えば、煮物の色合いを明るく保ち、上品な仕上がりに。

料理によってしょうゆを選び分けることで、同じ食材でも風味が変わります。
寒い季節の台所に、いろんな「しょうゆの香り」を楽しんでみてください。


しょうゆと相性のよい冬野菜

寒さの中で育つ冬野菜は、じっくり時間をかけて甘みを蓄えています。
しょうゆの塩味と香りが加わることで、その甘みがより際立ち、奥行きのある味わいに。
代表的な冬の組み合わせをまとめてみました。

野菜特徴・味わい相性のよいしょうゆ調理例
大根煮るほどに甘みが増し、だしをよく吸う濃口・再仕込みぶり大根、ふろふき大根
ごぼう香り高く、土の香を感じる力強い味濃口・たまりきんぴら、しぐれ煮
白菜やわらかく、甘みのある葉野菜薄口・濃口鍋、煮浸し
ほうれん草旨味とコク、鮮やかな緑が魅力薄口お浸し、胡麻和え
長ねぎ火を通すととろりと甘い濃口焼きねぎ、すき焼き
里芋ねっとりとした食感と優しい甘み濃口・再仕込み煮っころがし、揚げ煮
かぶやさしい甘みで、煮るととろける薄口かぶのそぼろあん、浅漬け
しいたけ・舞茸香りと旨味の濃いきのこ類濃口炊き込みご飯、照り焼き風

しょうゆは、素材の「旨味をまとめる役」。
特に冬野菜は甘みや香りが強いので、塩分よりも香りと旨味で調整するとバランスが良くなります。


冬の定番しょうゆレシピ

しょうゆで味わう、体の芯から温まる和のごはんを紹介します♪

寒ぶりの旨味を、しょうゆがしっかり包み込む冬の定番。
再仕込みしょうゆを使うと、まろやかで深い味わいに。

レシピ|ぶり大根

材料(2〜3人分)
ぶり切り身…3切れ(約300g)
大根…1/2本(約500g)
しょうゆ…50ml
みりん…50ml
酒…100ml
砂糖…大さじ2
生姜(薄切り)…1片分

作り方

  1. 大根は2cm厚に切り、下ゆでする。ぶりは熱湯をかけて臭みを取る。
  2. 鍋に水2カップ、しょう油以外の調味料、生姜を入れて煮立る。ぶりと大根を加え弱火で10分煮る。
  3. しょうゆを加え、落とし蓋をして中火で20分ほど煮る。
  4. 火を止めて10分ほどおくと、味がしっかり染み込む。

\詳しいレシピはこちら/

白菜の甘みとしょうゆの香ばしさが広がる、冬のあったか鍋。

レシピ|白菜と鶏団子のしょうゆ鍋

材料(2人分)
白菜…1/4株(約400g)
鶏ひき肉…200g
ねぎ(みじん切り)…5cm分
しょうが(すりおろし)…小さじ1
しょうゆ…大さじ2
みりん…大さじ1
だし…3カップ

作り方

  1. ボウルに鶏ひき肉、ねぎ、しょうが、しょうゆ小さじ1を入れて混ぜ、団子状にする。
  2. 鍋にだしを沸かし、鶏団子を入れて火を通す。
  3. 白菜を加え、しょうゆ・みりんで味を整える。
  4. 仕上げに好みで柚子こしょうを添えても。

ご飯がすすむ、濃口しょうゆの香ばし常備菜。

レシピ|ごぼうと豚こまの甘辛しぐれ煮

材料(2〜3人分)
豚こま切れ肉…200g
ごぼう…1本(約150g)
しょうが(千切り)…1片
しょうゆ…大さじ2
みりん…大さじ2
砂糖…大さじ1
酒…大さじ1

作り方

  1. ごぼうはささがきにして水にさらす。
  2. フライパンに油少々を熱し、ごぼうとしょうがを炒める。
  3. 豚肉を加えて色が変わるまで炒め、調味料を加える。
  4. 汁気が少なくなるまで中火で煮詰める。冷めてもおいしい。

香ばしさと酸味が絶妙な、箸休めの一品。

レシピ|焼きねぎのしょうゆマリネ

材料(2人分)
長ねぎ…2本
しょうゆ…大さじ1
みりん…大さじ1
酢…大さじ1
ごま油…小さじ1

作り方

  1. ねぎを5cm長さに切り、フライパンで全面に焼き色をつける。
  2. ボウルにしょうゆ・みりん・酢・ごま油を混ぜ、熱いうちにねぎを漬ける。
  3. 粗熱が取れたら冷蔵庫で30分ほど冷やすと味がなじむ。

  • 煮物や常備菜は、最後にしょうゆを加えると香りが残ります。

🍶 ミニコラム|寒の季節と発酵の知恵

一年で最も寒い「寒の時期」(小寒〜大寒)は、昔から味噌やしょうゆを仕込むのに適した時期とされてきました。
低温でゆっくり発酵が進むことで、香りが穏やかに、味がまろやかになります。
「寒仕込み」という言葉には、自然の力を借りて、じっくり育てるという知恵が込められています。

冬の台所には、静けさとともに、こうした“待つ時間の豊かさ”があります。
しょうゆの香りもまた、そんな季節のゆとりを感じさせてくれますね。


おわりに|冬のしょうゆは「ぬくもりの味」

冬の台所に立つと、しょうゆの香りがふわりと立ちのぼり、心までやわらかく包んでくれる気がします。

旬の野菜と、ほんの少しのひと手間で、食卓にぬくもりを。

寒い冬の日こそ、しょうゆの香りをまとった一皿で、心も体もほっとする時間を過ごしてみませんか。

📚 参考元

  • 農林水産省「旬の食材」データベース(2024年)
  • 日本醤油協会『しょうゆの科学と文化』(2023)
  • JAグループ 野菜出荷カレンダー(長野・宮崎・北海道)

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\和ごころ素材図鑑|冬野菜/

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