~和ごころ素材図鑑~
季節の移ろいとともに、旬を迎える日本の食材たち。
そのひとつひとつには、自然の恵みと、昔から受け継がれてきた知恵が息づいています。
「和ごころ素材図鑑」では、そんな和の素材を、旬・産地・調理法・行事との関わりなど、暮らしに寄り添う目線でご紹介します。

シャキッとした歯切れと、みずみずしい口当たりが魅力の水菜。
水菜は一昔前(1980年~1990年代前半)は、現在のように全国的に知られている野菜ではありませんでした。

いつの頃からか、鍋ものやおひたし、サラダまで幅広く使える冬野菜として、日々の食卓に欠かせない存在になりましたよね。

水菜は、一見すると淡白な葉物野菜ですが、火を入れたときと生で食べたときでは食感が変わり、だしや調味料の味をやさしく受け止めてくれる懐の深さも持っています。

この記事では、水菜の特徴や旬、選び方、保存方法から、和食に活かす基本の使い方までを、台所目線でやさしくまとめていきます♪


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水菜とは|どんな野菜?

水菜は、アブラナ科アブラナ属の葉物野菜。
京都を中心に古くから栽培されてきた伝統野菜で、関西では「京菜(きょうな)」とも呼ばれてきました。

細く切れ込みの入った葉と、白くシャキッとした茎が特徴で、クセが少なく、他の食材と合わせやすいのが魅力です。

現在、水菜は特定の一地域に限らず、全国各地で栽培されている野菜です。中でも生産量が多いのは、次のような地域です。

  • 茨城県
     全国有数の生産量を誇り、関東の大消費地を支える産地。サラダ用の小株水菜も多く出回ります。
  • 福岡県
     温暖な気候を活かし、冬場の安定供給を担う九州の主要産地。
  • 京都府
     水菜発祥の地。現在も京野菜として栽培が続けられています。

このほか、埼玉県や兵庫県など、都市近郊を中心に広く栽培されています。

補足 伝統的背景と現代の水菜

水菜はもともと、京都を中心に育まれてきた伝統野菜で、江戸時代には「京菜」「千筋京菜」として、精進料理や家庭の副菜に使われていました。

しかし長らく、その存在は地域の中にとどまり、全国の一般家庭で広く知られる野菜ではありませんでした。

転機となったのは、1990年代後半以降
ハウス栽培や品種改良が進み、やわらかくアクの少ない水菜が安定して出回るようになります。さらに、鍋料理やサラダといった現代的な食卓に合う野菜として評価され、産地も京都から全国へと広がっていきました。

30年前は存在さえ知りませんでした…。
伝統野菜でありながら、現代の暮らしに合わせて姿を変え、全国区になった水菜。その歩みは、日本の食生活の変化を映す一例とも言えそうですね。

水菜の旬は、11月〜2月頃の寒い時期
寒さに当たることで甘みが増し、葉もやわらかくなります。

現在はハウス栽培により一年中手に入りますが、味・香り・食感のバランスが最もよいのは冬の水菜です。

水菜には、はっきりとした品種名よりも、見た目や用途による呼び分けがいくつかあります。スーパーで見かける水菜も、実は少しずつ性格が異なります。

◆青水菜(一般的な水菜)

もっとも広く流通している、緑色の水菜。
細かく切れ込んだ葉と白い茎が特徴で、クセが少なく、鍋・煮びたし・和え物など幅広く使えます。

現在の一般家庭で「水菜」といえば、この青水菜を指すことがほとんどです。

◆赤水菜(あかみずな)

葉の一部や全体が赤紫色を帯びた水菜。アントシアニンを含み、見た目が華やかなのが特徴です。

味わいは青水菜と大きく変わりませんが、色を活かすなら生食やサラダがおすすめ。
加熱すると色が抜けやすいため、使いどころは少し選びます。

京水菜(きょうみずな/千筋京菜)

京都を中心に伝統的に栽培されてきた水菜。葉の切れ込みが細かく、茎がやや繊細で、やわらかな食感が特徴です。

現在流通している水菜の多くは改良種ですが、京水菜は水菜の原型に近い存在として位置づけられています。

◆サラダ水菜(ベビー水菜)

若採りした小さな水菜で、葉がやわらかく、アクが少ないのが特徴。「サラダ水菜」「ベビーリーフ(水菜)」として販売されることもあります。

生食向きで、えぐみが出にくいため、水菜を初めて食べる方にも親しみやすいタイプです。

水菜の魅力は、葉と茎で異なる食感を持ち、調理法によって表情が変わるところにあります。クセが少ないため、生でも加熱しても使いやすく、料理に合わせて役割を変えてくれる野菜です。

調理による水菜の変化

  • :みずみずしく、シャキッとした軽やかな食感
  • さっと加熱:葉はしんなり、茎は歯切れよく仕上がる
  • 鍋に使う場合:仕上げに加えると、香りと食感が引き立つ
  • 火を入れすぎると:水分が出やすく、全体がやわらかくなりすぎる

こうした変化を踏まえると、水菜は「加熱しすぎない」ことがいちばんのポイント。
仕上げに加える、火を止めてから和えるなど、短時間の調理で持ち味が生きてきます。

ミニコラム|料理目線の「水菜を主役にしない理由」

水菜は、料理の中であえて主役に据えすぎないほうが、その持ち味がよく生きる野菜です。
強い甘みやうま味を前に出すタイプではなく、味わいはあくまで穏やか。その分、だしや鍋つゆ、油揚げや肉のコクなど、まわりの要素をやさしく受け止めてくれます。

料理をする立場で水菜を見ると、料理の中心に立って主張するというより、全体のバランスを整える存在として使うことが多くなります。口に入れたときのシャキッとした歯切れが、味の流れを軽くして、次の一口へと自然につなげてくれます。

鍋の仕上げに添えたり、煮びたしで後から加えたりするのも、主役の味を邪魔せず、料理をまとめる役割を期待してのこと。水菜は、目立たずとも一皿の完成度を底上げしてくれる、そんな名脇役のような存在です。

派手さはなくても、使いどころを誤らなければ、料理全体がすっと整う。水菜が全国的にも広く親しまれるようになった理由は、そんなところにあるのかもしれませんね。


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おいしい水菜の選び方

参考までに…
買うときは、次のポイントを目安にすると安心です。

  • 葉先までピンと張りがある
  • 葉の色が濃く、黄ばみがない
  • 茎が白く、みずみずしい

しんなりしているものや、切り口が乾いているものは、鮮度が落ち始めているサインです。


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水菜の下処理と基本の扱い方

水菜は株元に土が入りやすいため、根元を切り落としてから、葉を広げるようにして水を替えながら洗います。

束のままそろえて洗いたいときは、ひもや輪ゴムで中央当たり軽く結んで束ね、根元を切り落としてから、ため水でジャバジャバと根元の汚れを落とすように振り洗いするのがオススメです。

  • 鍋・煮物:4〜5cm程度
  • 和え物・おひたし:3cm前後
  • サラダ:やや長めに

用途に合わせて長さを変えることで、食感が活きます。


水菜の保存方法

  • 洗わずに、湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包む
  • 立てて野菜室へ

この方法で、3〜4日程度は鮮度を保てます。

さっと下ゆでして水気を絞り、小分けにして冷凍保存も可能です。
炒め物や汁物に、そのまま加えられるので便利です。

ミニコラム 水菜の栄養ひとこと

水菜は、βカロテンやビタミンC、カルシウムを含む緑黄色野菜。
クセが少ない分、たっぷり食べやすく、冬の野菜不足を補う一品としても重宝されてきました。

油と合わせることで、栄養の吸収率が高まるのも嬉しいポイントですね。


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水菜を使った定番レシピ

だし・しょうゆ・味噌といった和の調味料と相性がいいので、主役にも名脇役にもなれる万能野菜です。

だしのうま味をまとわせて、水菜の香りとやわらかさを味わう定番の一皿。
さっと火を通すだけで、青くささが抜け、冬の副菜としても食べやすく仕上がります。

材料(2人分)
水菜 1/2束 | だし 100ml | しょうゆ 小さじ1〜2

作り方
さっと下ゆでして水気を絞り、だしとしょうゆに浸す。

油揚げのコクを含んだ煮汁が、水菜によくなじむやさしい煮びたし。
火を止めてから水菜を加えることで、食感を残しつつ、味を含ませます。

材料(2人分)
水菜 1/2束 | 油揚げ 1枚 | だし 150ml | しょうゆ 小さじ2

作り方
油揚げをだしとしょうゆで煮て、火を止めてから水菜を加える。

鍋の仕上げに加えるだけで、シャキッとした歯切れがアクセントに。
煮込みすぎず、軽く火を通すのが、水菜らしさを楽しむポイントです。

材料(2人分)
水菜 1/2束

使い方
鍋の仕上げに加え、ひと煮立ちで火止め。

生の水菜のみずみずしさを、そのまま味わう和風サラダ。
かつお節としょうゆ(またはポン酢)で、さっぱりとした中にうま味を添えます。

材料(2人分)
水菜 1/2束 | かつお節 1パック | しょうゆ or ポン酢 小さじ2 | ごま油 少々

作り方
食べやすく切り、調味料とかつお節を和える。


おわりに|水菜のある、冬の台所

主張しすぎず、けれど確かな存在感を持つ水菜。
冷蔵庫にひと束あるだけで、鍋にも、副菜にも、さっと寄り添ってくれます。

季節の食材を、無理なく、日々のごはんへ。
水菜は、そんな台所のリズムを整えてくれる野菜のひとつです。

参考元

  • 農林水産省|野菜の品目別解説・生産動向
  • JAグループ|旬の野菜・水菜の特徴
  • 独立行政法人 農畜産業振興機構(alic)|野菜の需給・流通情報

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