~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。

「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。

寒さの中にも、少しずつ春の気配を感じる2月。
節分や立春といった節目を迎え、季節は静かに冬から春へと移ろい始めます。

2月の行事食は、派手さよりも「整える」「備える」といった意味合いが強く、日々のごはんを通して体と暮らしをゆるやかに切り替えていく知恵が詰まっています。

このページでは、和ごころごはん帖の視点から、2月に受け継がれてきた行事と食の関わりを、月間カレンダーとともにわかりやすくご紹介します。

忙しい毎日の中でも、季節を感じるひと皿のヒントとしてお役立ていただければ幸いです。


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2月の行事食カレンダー(2026年)

日付行事・季節意味・由来行事食・食卓のヒント
2月1日(日)初午(はつうま)2月最初の午の日。稲荷神をまつり、五穀豊穣・商売繁盛・家内安全を願う油揚げ/いなり寿司/赤飯/紅白団子
2月2日(月)節分立春の前日。季節の分かれ目に邪気を払い、福を招く行事恵方巻き/福豆(大豆)/いわし料理
2月3日(火)立春暦の上での春の始まり。一年の節目菜の花/春キャベツなど春野菜を少し取り入れる
2月中旬梅見(観梅)梅の花を愛で、春の訪れを感じる梅干し/梅茶/梅を使った和の甘味
2月14日(土)バレンタインデー感謝の気持ちを伝える日(近代以降の習慣)和素材の甘味/いちご・抹茶のおやつ
2月下旬冬から春への端境期体を整え、春に備える時期根菜の煮物/汁物/消化のよい献立

※行事の日付は地域や年によって前後する場合があります

寒さの中で、少しずつ春に備える月。
体と心をととのえるごはんを、大切にしたいですね。


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各行事の意味と食文化

初午(はつうま)は、2月最初の「午の日」に行われる行事。
五穀豊穣や商売繁盛、家内安全を願い、稲荷神をまつる風習として各地に伝わっています。

初午とは ― 稲荷信仰と暮らし

初午は、稲荷神が降臨した日とされ、農家だけでなく、商家や家庭でも大切にされてきました。

各地稲荷神社では赤いのぼりが立てられ、油揚げや赤飯、紅白団子などが供えられます。

初午の行事食

初午の食卓には、意味を持つ料理が静かに並びます。

代表的な初午の行事食

  • 油揚げ・いなり寿司
     稲荷神の使いとされる狐の好物
  • 赤飯
     祝いと感謝の気持ちを表すごはん
     👉土鍋で炊く赤飯レシピ記事はこちら
  • 紅白団子
     ハレとケをつなぐ、縁起のよい甘味

地域によっては、いなり寿司やけんちん汁、煮しめを添えることもあり、家庭ごとの形で受け継がれてきました。


節分は、立春の前日にあたる「季節の分かれ目」。
冬から春へと移るこの時期に、邪気を払い、新しい季節を迎えるための行事です。
2月の行事食の中でも、特に暮らしに深く根づいてきた節目といえるでしょう。

豆まきに込められた意味

節分といえば「豆まき」。「鬼は外、福は内」という掛け声とともに豆をまくのは、穀物の力で邪気を祓うという考え方に由来します。

使われる炒り大豆は、

  • 魔を滅する(=まめ)
  • 五穀の恵み
    を象徴する存在。

まいた豆を年の数(または年の数+1)だけ食べるのは、一年の無病息災を願う意味が込められています。

節分の行事食

節分の食卓には、行事にちなんだ食べものが並びます。いずれも「厄除け」「健康」「福を招く」意味をもつものです。

代表的な節分の行事食

  • 恵方巻き:その年の恵方を向いて無言で食べる太巻き
  • 福豆(炒り大豆):邪気払いと健康祈願
  • いわし料理:強い香りで邪気を遠ざけるとされる
     (いわしの生姜煮、つみれ汁など)

ささやかな節目でも、ひとつ区切りをつけることで、毎日の暮らしが少し前向きに整っていく気がします。


立春は、二十四節気のはじまりにあたる日。一年の中で「春の始まり」とされる、静かな節目です。
まだ寒さは厳しくても、暦の上ではここから新しい季節が動き出します。

立春とは ― 春を迎える心の切り替え

立春は、冬至・春分・夏至・秋分と並ぶ節目のひとつ。特に立春は、一年の始まりを意味する日として、大切にされてきました。

旧暦では、立春の前後で年が改まる考え方もあり、節分と立春はひと続きの行事として捉えられてきました。
「豆まきで邪気を払い、立春で新しい季節を迎える」――そんな流れが、暮らしの中に自然と組み込まれていたのです。

立春の食卓に込められた考え方

立春にこれを食べる…といった特別な行事食はありません。が、せっかくなのでぜひ意識してたいのが、季節の変わり目を意識した、穏やかな食卓です。

例えば、冬の名残を感じる煮物や汁物に、ほんの少し春の気配を添える。それだけで、立春らしい食卓になります♪

立春」の食卓のヒント

  • 菜の花のお浸しや辛子和え
  • 春キャベツを使ったやさしい煮物
  • ふきのとうなど、ほろ苦さを楽しむ料理
  • 消化のよい汁物で体を整える

春の兆しを、ひと皿から

立春は「春らしい料理を張り切って作る日」ではなく、春に向かう準備を始める日

冬の疲れをいたわりながら、少しずつ旬を先取りしていくことで、身体も心も自然と次の季節へと整っていきます。

立春の食卓は、春を祝うというより、春を感じて、前を向くためのもの。小さな兆しが、日々の力になります。


厳しい寒さの中で、ひと足先に春を告げてくれる梅の花。
梅見は、華やかに楽しむ行事というよりも、季節の移ろいを静かに感じ取る、日本らしい春の迎え方です。

梅見とは ― 花と香りで春を知る

梅は、桜よりも早く咲き、寒さの残る季節にほのかな香りを届けてくれる花です。

そのため梅見は、「春を祝う」というよりも、春の訪れを感じ取り、待つ時間として親しまれてきました。

花の色や姿は控えめでも、近づくとふわりと広がる香り。そんな梅の性質そのものが、日本の暮らしに寄り添ってきた理由なのかもしれませんね。

梅に込められた意味と暮らし

梅は、古くから

  • 邪気を払う
  • 体を整える
  • 長寿や健康を願う

といった意味を持つ植物とされてきました。

食の面でも、梅干し梅酢、梅茶など、体調を気づかう知恵として日常に取り入れられています。

梅見のころの食卓

梅見の時期の食卓は、香りや味で春を添えるのがポイントです。

梅見の頃」の食卓のヒント

  • 梅干しを添えた白いごはん
  • 梅茶でほっと一息
  • 梅ジャムや梅風味の和え物
  • 酸味をきかせたさっぱりした副菜

春を待つこの時間も、梅の香りひとつで、ふっと潤うものであったらうれしいですね♪


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2月に旬を迎える食材まとめ

食材旬の特徴台所での使い方
菜の花早春を告げる代表野菜お浸し・辛子和えで香りを楽しむ
ほうれん草 冬越しで甘みが増すお浸し・胡麻和え・汁物に
水菜 霜に当たりやわらか鍋物・さっと炒め・和え物
春キャベツ巻きがゆるく甘い煮物・浅漬け・蒸し料理に
大根 冬大根の名残ふろふき ・煮物・汁物
ごぼう香りがよく滋味深いきんぴら・煮物・汁物
ふきのとうほろ苦さが旬の合図天ぷら・味噌和えで少量使い
食材旬の特徴台所での使い方
いちご本来の旬は冬〜春和菓子・白和え・甘味に
みかん(晩生)酸味と甘みのバランスデザート・サラダにも
はるみ・デコポン香りがよく食べやすい食後の果物・おやつ
食材旬の特徴台所での使い方
いわし脂がのり節分にも縁生姜煮・つみれ汁
ぶり寒ぶりの終盤照り焼き・大根と煮物
たら淡白でやさしい味鍋・汁物・蒸し物
牡蠣旨みが濃い土手鍋・蒸し牡蠣

おわりに|冬から春へ、台所で季節をつなぐ

2月は、節分や立春といった節目を迎えながらも、日々の暮らしそのものは、まだ冬の延長にあります。

行事食は特別なごちそうよりも、暮らしを整え、次の季節に備えるための食が中心です。どれも大きな行事ではありませんが、ひとつひとつが、日常の流れの小さな節目ですね。

まだまだ寒さが残る時季、根菜や汁物で体をいたわりながら、菜の花や梅など、少しずつ春の兆しを食卓に添える―――そんな台所の積み重ねが、自然と気持ちを前を向かせてくれるのかもしれません。

【参考元・出典】
・農林水産省「日本の食文化」
・文化庁「年中行事と日本の暮らし」
・暦生活(二十四節気・年中行事解説)ほか

※行事の日付・風習は、地域や年によって異なる場合があります
※本記事では、一般的に知られている風習をもとに、家庭の食卓で取り入れやすい形でご紹介しています


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