~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。
「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。
桜が咲き、草木が一斉に芽吹きはじめる4月。
暦の上だけでなく、空気や香り、台所の景色にも「春」がはっきりと感じられる季節ですね。
4月の行事食は、華やかさよりも自然の恵みをそのまま味わうこと、新しい暮らしの節目を、静かに整えることが大切にされてきました。
このページでは、4月にまつわる主な行事と、それぞれの行事で親しまれてきた食べものを、家庭の台所目線でまとめています。
4月の行事食カレンダー
| 日付・時期 | 行事名 | 意味・由来 | 食べるもの |
|---|---|---|---|
| 4月8日 | 花祭り(灌仏会) | お釈迦様の誕生を祝う仏教行事 | 甘茶/草餅・草団子(地域による) |
| 4月上旬〜中旬 | お花見 | 春の訪れを分かち合い、桜を愛でる | 桜餅/花見弁当/三色団子 |
| 4月中旬〜下旬 (2026年は4月17日~5月4日) | 春土用 | 季節の変わり目、体調を整える期間 | 山菜料理/筍/旬野菜 |
※ 草餅・草団子は、花祭りや春の行事にあわせて供されることのある和菓子です。

桜が咲き、野山が一気に色づく4月。
新しい暮らしが動き出す、そんな“スタートの季節”を感じる食卓を楽しみたいですね。
各行事の意味と食文化

4月は、暮らしや気持ちが新しく動き出す季節。
ここでは、4月に行われる主な行事と、その背景にある意味、そして食卓でどのように受け継がれてきたのかを紹介します。
灌仏会(花祭り/4月8日)
春の花に包まれながら、静かにいのちのはじまりを祝う行事です。
時期
4月8日
由来・意味
灌仏会(かんぶつえ)は、お釈迦様の誕生を祝う仏教行事で、一般には「花祭り」として知られています。
花で飾られた花御堂に誕生仏を安置し、甘茶をそそいでお祝いするのが習わしです。
食文化
行事食として決まった料理はありませんが、この日に合わせて甘茶がふるまわれます。また、地域によっては、春の野草を使った草餅や草団子が供されることもあります。
灌仏会(花祭り)の献立例
- 甘茶
- 草餅・草団子(地域による)
- 季節の和菓子

甘茶のやさしい甘さに、春の静けさを感じるひととき。
行事を知るだけでも、心が少し整う気がしますね。
お花見(4月上旬〜中旬)

時期
4月上旬〜中旬(桜の開花時期に合わせて)
由来・意味
お花見は、桜を愛でながら春の訪れを分かち合う、日本ならではの季節行事。
行事としての厳密な決まりはありませんが、人が集い、季節を祝う大切なひとときとして親しまれてきました。
食文化
お花見では、豪華さよりも、見た目や季節感を大切にした食べものが好まれます。
なかでも桜餅は、春を象徴する和菓子として、欠かせない存在です。
お花見の献立例
- 桜餅
- 三色団子
- 花見弁当(筍ごはん、卵焼き、菜の花のおひたし など)

桜を眺めながら食べるだけで、いつものごはんも、少し特別に。春は、そんな時間を楽しむ季節ですね。
春土用(4月中旬〜5月初旬)
時期
4月中旬〜5月初旬(立夏の前日まで)
由来・意味
土用は、季節が切り替わる前の、いわば調整期間。
春土用は、春から初夏へと移る時期にあたり、体調を整え、無理をしないことが大切とされてきました。
食文化
春土用は、夏の土用(うなぎなど)のように「これを食べる」という定番があるわけではありません。
この時期は、春から初夏へと季節が移る途中にあたり、体調を崩しやすいため、無理をせず整える食事が大切にされてきました。
そのため、食卓の中心になるのは、
- 筍や山菜などの旬のもの
- 青菜や根菜を使った、あっさりした煮物やおひたし
- 消化のよい、ごはんと味噌汁
といった、体に負担をかけない和食です。
また、土用の戌の日に「い」の付く食べ物や、白い食べ物が良いとされることがあります。
- 芋類(じゃがいも・里芋など)
- いんげん
- いわし
- 糸こんにゃく(白滝)
- いりごま など
「い」のつく食材は、ゲン担ぎというよりも、胃腸にやさしく、体を整える目安として取り入れられてきました。
春土用の献立例(一汁三菜)
- (主菜)いわしの生姜煮
- (副菜)山菜のおひたし・天ぷら
- (副菜)いんげんの胡麻和え
- (汁物)お芋入りの味噌汁(じゃがいも、さつまいも、里芋 など)
- (主食)ごはん
おわりに|日本の四季を味わう
日本には、季節の移ろいを暮らしの中で感じられる行事や食文化が、今も息づいています。
なかでも4月は、花の色や空気のやわらかさ、食卓に並ぶ旬のものから、季節の始まりをいちばん感じやすい月かもしれません。
忙しい日々の中でも、行事や食べものをきっかけに季節に目を向け、日本の四季を堪能したいものですね。
参考元
- 文化庁|日本の宗教文化・年中行事
- 農山漁村文化協会『日本の行事と食文化』
- 国立天文台|二十四節気・雑節の解説
※本記事では、一般的に知られている風習をもとに、家庭の食卓で取り入れやすい形でご紹介しています
