さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

秋の恵み「栗」をじっくり煮含めた「渋皮煮」は、手間がかかるけれど完成したときの喜びはひとしお!

渋皮を残すことで独特のほろ苦さと香ばしさが加わり、甘みとの調和が大人の味わいを演出します。贈り物やお茶菓子としても喜ばれる、秋ならではの一品です。


レシピ|栗の渋皮煮

それでは早速、作り方を解説していきますね♪

  • 渋皮付き栗 … 500g
  • 水 … 各回で栗がかぶる量(約1〜1.5L目安)
  • 重曹 … 各回 小さじ1(3回分)
  • 砂糖 … 300g(上白糖またはグラニュー糖)

ミニコラム

砂糖の種類で変わる仕上がり

  • 上白糖:やさしい甘みとまろやかなコク
  • グラニュー糖:すっきりした甘さと透明感のある仕上がり

贈り物用には少し上品にグラニュー糖、家庭用なら上白糖、と使い分けてもいいですね

STEP1
下ごしらえ

栗の鬼皮をむき、渋皮を残す。
(熱湯に10分程つけると、柔らかく剥きやすくなります)

▼詳しい栗のむき方はこちらの記事へ♪▼

STEP2
重曹水で下ゆで(3回繰り返す)
  • 鍋に栗と水、重曹(1リットルに対し)小さじ1を入れて弱火にかける。
  • アクをすくいながら10分煮て火を止め、湯を捨てる。
  • 新しい水+重曹小さじ1で同じ工程を合計3回行う。
STEP3
渋皮の掃除

下ゆでで柔らかくなった渋皮を竹串や指先でやさしくこそげ、筋や毛羽立ちを取る。

STEP4
重曹を抜く

新しい水で2回ほど煮こぼし、重曹をしっかり抜く。

STEP5
砂糖で煮含める
  • 鍋に栗を入れ、栗がかぶる程度の水を注ぐ。
  • 砂糖を3回に分けて加え、弱火で煮る。
    1. 煮立ったら1/3を加える
    2. 10分後に2回目の1/3を加える
    3. さらに10分後に残りを加え、20分ほど煮含める
  • 落とし蓋をして、煮汁が全体に行き渡るように仕上げる。
  • 煮汁が減りすぎたら、ひたひたになる程度まで差し水して調整する。
STEP6
仕上げ

粗熱を取り、煮汁に漬けたまま冷ますと味がよく染みる。

ミニコラム|なぜ重曹を使うの?

栗の渋皮煮に重曹を入れるのは、アルカリ性の力で渋皮をやわらかくし、筋や毛羽立ちを取りやすくするためです。
同時に渋み成分(タンニン)を抜いて、仕上がりをえぐみのない味に整えてくれる役割も。
最後に「重曹抜き」のゆでこぼしをすることで、すっきりと上品な渋皮煮に仕上がります。


美味しく作るコツ

渋皮煮は手間がかかる分、ちょっとした工夫で仕上がりが大きく変わります。失敗を防ぎ、より美味しく仕上げるためのポイントを押さえておきましょう。

重曹水は煮るたびに必ず新しく作り直すことで、渋みや雑味が残りにくくなります。

煮ているときに浮いてくるアクを取り除くと、仕上がりの味が澄みます。

渋皮を傷つけすぎると煮崩れの原因に。筋や毛羽立ちを取るときは、やさしく丁寧に。

砂糖を一度に加えると実が締まって崩れやすくなるため、数回に分けて加えるのがコツ。照りも出やすくなります。


保存方法

保存しておくことで長く楽しむこともできます。用途に合わせて保存方法を選びましょう。

煮汁ごと清潔な容器に入れて冷蔵庫へ。約1週間を目安に食べ切りましょう。

煮汁ごと保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫で保存。約1か月持ちます。解凍は冷蔵庫で自然解凍し、煮汁ごと温め直すと風味が損なわれません。


渋皮煮のアレンジ活用アイデア

そのまま食べるのが美味しい渋皮煮ではありますが…たくさん出来上がったらこんな食べ方も♪贅沢気分を味わえますよ^^/

スポンジやカステラに生クリームを重ね、渋皮煮をトッピング♪
市販のケーキでも、渋皮煮を添えるだけで秋らしいモンブラン風のデザートになりますよ。

バニラアイスや濃厚ヨーグルトに渋皮煮をのせれば、手軽に秋の甘味に。
煮汁を一緒にかけても◎!

刻んだ渋皮煮を生地に混ぜ込んで焼けば、しっとりとした栗の香り豊かなケーキに。
贈り物やティータイムにぴったりです。


おわりに|手間をかけるからこそ特別な味に

栗の渋皮煮は、下処理から煮含めまで少し根気がいります。
ですが、その分だけ仕上がりは格別!
ほろ苦さと甘さが織りなす奥深い味わいは、秋の恵みを存分に感じさせてくれます。

贈り物やお茶の時間のおともに、ぜひ手作りしてみてくださいね。


🌰 栗についてもっと知りたい方はこちら!

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