~和ごころ素材図鑑~
季節の移ろいとともに、旬を迎える日本の食材たち。
そのひとつひとつには、自然の恵みと、昔から受け継がれてきた知恵が息づいています。
「和ごころ素材図鑑」では、そんな和の素材を、旬・産地・調理法・行事との関わりなど、暮らしに寄り添う目線でご紹介します。
春菊(しゅんぎく)は、和の食卓に欠かせない“香り野菜”のひとつです。
冬から春にかけて旬を迎え、しゃきっとした茎と独特の香味が食欲を誘いますよね。
少し苦みがあるけれど、だしやごま、卵などと合わせると驚くほどまろやかに。
おひたしや胡麻和え、天ぷら、かきたま汁――どんな料理にも、春菊らしい香りが食卓に季節感を添えてくれます。
冬の間に旨みをたっぷり蓄え、春先にかけていちばん美味しくなる春菊。
実は「春に咲く菊の葉」という名前の由来を持ち、香り・栄養・見た目のどれもが“春を告げる青み”です。
この記事では、春菊の旬や産地、種類、下処理、美味しい食べ方や保存のコツをはじめ、台所で試したくなる簡単レシピや豆知識コラムを交えてご紹介します。
春菊の旬と出回り時期

春菊の旬は、晩秋から春先(11月〜3月頃)。
寒さにあたるほど葉がやわらかく、香りが増すのが特徴です。
冬の鍋物シーズンに欠かせないのは、この時期がいちばん風味豊かだからです。
近年ではハウス栽培も盛んになり、初秋から出回ることもありますが、
自然の力で育った露地ものは香りが強く、しっかりとした味わいがあります。
主な産地

全国各地で栽培されていますが、出荷量が多いのは次の地域です。
| 地域 | 特徴 |
|---|---|
| 茨城県 | 全国トップクラスの出荷量。関東圏向けの主力産地。 |
| 大阪府・京都府 | 関西では「菊菜(きくな)」の名で親しまれる。香り高い品種が多い。 |
| 愛知県 | 葉幅が広く柔らかい中葉種が主流。 |
| 福岡県・熊本県 | 冬場の温暖な気候を生かした安定出荷。 |
種類と特徴
春菊には、葉の形でおおまかに3系統があります。
| 種類 | 特徴 | 主な産地 |
|---|---|---|
| 大葉種(関東系) | 葉が広くやわらか。香り控えめでサラダ向き。 | 関東・東海 |
| 中葉種(中間型) | 香りと食べやすさのバランスが良い。最も一般的。 | 全国 |
| 小葉種(関西系) | 葉が細かく香りが強い。鍋やおひたしに最適。 | 近畿・九州 |
栄養と効能

春菊は栄養価の高い緑黄色野菜です。主な成分がこちら…
- β-カロテン:抗酸化作用が強く、粘膜や皮膚を守る。
- ビタミンC:免疫力を高め、風邪予防に役立つ。
- カルシウム・鉄分:骨の形成や貧血予防に。
- 葉酸:血液をつくるのに欠かせない栄養素。
- 香り成分ペリルアルデヒド:自律神経を整え、リラックス効果がある。

💡 香り成分は揮発しやすいので、加熱しすぎないのがポイント。
下処理と扱い方
1. 洗い方
根元に土が残りやすいので、水をためてやさしく振り洗いします。
泥が多い場合は根元を切って水に放ち、葉を泳がせるように。
2. ゆで方
おひたし用なら塩をひとつまみ入れた熱湯で10〜20秒。
茎から入れて、最後に葉をくぐらせます。冷水でさっと冷まし、水気を軽くしぼります。
3. 生で食べるとき
若芽や大葉種なら生食もおすすめ。香りをやわらげたいときは、冷水に3〜5分さらすと食べやすくなります。
定番&おすすめ簡単レシピ
春菊の魅力は、なんといっても香りとほろ苦さの調和。
火の入れ方で味わいが変化し、鍋・和え物・汁物・天ぷらまで幅広く活躍します。
🍳おすすめレシピ①|春菊のごま和え

香りと甘みを引き立てる定番おかず
🍳おすすめレシピ②|春菊とかきたま汁
香りと卵のやさしさが広がるお椀
🍳おすすめレシピ③|春菊の天ぷら
衣の中に香りをとじ込めて。
🍳おすすめレシピ④|春菊のサラダ(生食)
フレッシュな香りとほろ苦さをそのままに
保存方法
冷蔵保存
- 湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて立てて保存。
- 野菜室で3〜4日が目安。
- 水に浸ける保存は香りが抜けるためNG。
冷凍保存
- かためにゆでて水気をしぼり、小分けにラップ包み。
- 冷凍で約2〜3週間。
- 汁物や炒め物には凍ったまま入れてOK。
栄養成分(100gあたり)
| 成分 | 含有量 | 主な働き |
|---|---|---|
| エネルギー | 22kcal | 低カロリー |
| β-カロテン | 4500μg | 抗酸化作用、粘膜保護 |
| ビタミンC | 19mg | 免疫力向上 |
| カルシウム | 120mg | 骨の形成 |
| 鉄 | 1.7mg | 貧血予防 |
| 食物繊維 | 2.3g | 整腸作用 |
(出典:文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』)
おわりに|香りで季節をたのしむ
火を止める直前に加えるだけで、ふわっと広がる香り。
その瞬間こそが、春菊ならではのごちそうです。
忙しい日常の中でも、ひと口で季節を感じられる――
そんな“青みの幸せ”を、ぜひ味わってください。
参考元
- 文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』
- 農林水産省「野菜生産出荷統計」
- 京都府農林水産技術センター『京野菜の品種と特性』
- 日本調理科学会誌「春菊の香気成分に関する研究」(2008)
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