さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

冬野菜は、寒さの中でじっくり育つことで、でんぷんが糖に変わり、もともと甘みが強いのが特徴。その自然な甘さをさらにふっくらと引き出し、料理に深みをつけてくれるのが、砂糖の大きな役割です。

照りを出したり、野菜の水分を安定させたり、味の浸透を助けたり——。

寒い季節の台所は、実は「砂糖づかい」がとても頼もしい存在。冬野菜のしみじみとした美味しさが、より“ほっとする味”へと育っていきます。


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砂糖が冬野菜をおいしくする理由

さつまいも・かぼちゃ・れんこん・にんじん・大根…冬野菜はどれも甘みを持っています。
砂糖を少量加えることで、素材が持つ甘さがより際立つ のが冬料理の魅力。「少しだけ砂糖」が味を丸くし、やさしくまとめます。

砂糖には食材の細胞壁を強くする働きがあり、煮崩れしにくくする 効果があります。
特に里芋・かぶ・にんじん・かぼちゃなどは、煮物がきれいに仕上がりやすくなります。

砂糖は塩よりも分子が大きく、先に砂糖→後から塩 が味をしみこませるコツ。
素材が水分を吸いすぎるのを防ぎ、ふっくらした仕上がりを助けます。


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冬野菜 × 砂糖のおすすめ組み合わせ & 料理例

煮物の定番。少量の砂糖で大根の繊維がやわらぎ、甘みが立ちます。

  • 大根のふろふき風
    甘みを引き立てて味噌との相性が抜群
  • 大根の甘辛焼き
    焼きつけた後に砂糖としょうゆで照りを出す
  • 鶏大根の煮物
    下味に砂糖を加えると味が奥までしみやすい

にんじんの甘さが最も引き出されやすい素材のひとつです。

  • にんじんのきんぴら(甘め)
    砂糖の照りが美しい常備菜
  • にんじんの含め煮
    お出汁と砂糖でじっくり含ませる
  • 彩り炒め
    バター+砂糖少しでコクが増す

歯ざわりと甘辛味が好相性。照り焼きやきんぴら、酢の物にも◎。

  • 甘辛れんこん炒め
    少量の砂糖が“つや”の決め手
  • れんこんの甘酢漬け
    砂糖がまろやかさ・保存性をアップ
  • れんこん団子の照り焼き
    もっちり食感と甘辛だれが相性抜群

煮崩れ防止の効果が大きく、味もしみやすくなります。

  • 里芋の煮っころがし
    砂糖のコクが丸い味わいに
  • 白味噌仕立ての煮物
    甘みが調和して上品な仕上がり
  • 鶏そぼろあん
    砂糖を少し加えることで旨みが出る

素材の甘さがあるので、ごく少量の砂糖でも十分です。

  • かぼちゃの甘煮
    定番だが“砂糖少なめ”で現代風に
  • ごま味噌和え
    ほんのり砂糖で味噌が引き立つ
  • かぼちゃの茶巾
    砂糖と塩ひとつまみで味が決まる
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ミニコラム|砂糖は「甘さ」だけじゃない——冬料理の名脇役

砂糖には水分を保持する働きがあり、冷めてもパサつきにくくなります。冬野菜の煮物が“時間が経ってもおいしい”のはこのため。

また、砂糖は照りを生み、料理を美しく見せる効果も。
寒い季節の祝い膳やおもてなし料理で重宝されてきた理由です。


冬にうれしい、砂糖の種類と使い分け

冬野菜の甘みを上手に引き出すためには、砂糖の種類選びも実は大切なポイント♪

同じ“甘さ”でも、コクや香り、照りの出方が少しずつ違うため、料理の仕上がりにやさしく個性が出ます。
ここでは、冬の台所で特によく使う砂糖の特徴と、向いている料理をご紹介します。

クセのないまろやかな甘さで、素材の味を邪魔しないのが魅力。溶けやすく扱いやすいため、煮物・炒め物・和え物まで幅広く使える基本の砂糖です。
冬野菜の自然な甘みを、そのまま引き立てたいときにぴったりです。

サトウキビ由来のミネラルをほどよく含み、やさしい風味と深みのある甘さが特徴。
大根・里芋・れんこんなど、素朴で甘みのある冬野菜と合わせると、味に“奥行き”が出て料理全体がまとまります。

加熱過程で生まれる淡いカラメル色とコクが持ち味。照りがよく、煮物を色よく、ふくよかに仕上げたいときに重宝します。
筑前煮や甘辛炒めのように、ほんのり濃いめの味にしたい料理におすすめ。

独特のコクと風味があり、少量でもしっかり存在感を出します。
里芋の煮物や豚肉を使った甘辛料理に加えると、滋味深い“冬らしい味”に仕上がります。使いすぎると主張が強くなるため、少量づかいがコツ。


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冬に作りたい|砂糖 × 冬野菜のおすすめレシピ3選

素材の甘みがしみしみ♪寒い日にほっとする定番です。

レシピ|大根と鶏のやわらか甘煮

材料(2〜3人分)

  • 大根…8〜10cm(厚めの半月切り)
  • 鶏もも肉…200g(一口大)
  • A 水…300ml
  • A 砂糖…大さじ1
  • A しょうゆ…大さじ1
  • A みりん…大さじ1
  • 生姜薄切り…2〜3枚

作り方

  1. 大根は下ゆで(または電子レンジ加熱)しておく。
  2. 鍋に大根・鶏肉・A・生姜を入れ、落し蓋をして中火。
  3. 15〜20分煮て、大根に味がしみたら火を止める。
    ポイント: 砂糖を最初に入れると味がしみやすい。

砂糖が照りを出し、冷めても美味しい冬の常備菜です。

レシピ|にんじんとれんこんのきんぴら

材料(2〜3人分)

  • にんじん…1/2本(細切り)
  • れんこん…100g(薄切り)
  • ごま油…小さじ1
  • A しょうゆ…小さじ2
  • A 砂糖…小さじ2
  • A 酒…小さじ2
  • 白いりごま…少々

作り方

  1. フライパンにごま油を熱し、にんじん・れんこんを炒める。
  2. A を加えて汁気が少なくなるまで炒める。
  3. 仕上げに白ごまをふる。
    ポイント: 砂糖の量で照りとコクが決まる。

👇詳しいレシピ記事はこちら

まろやかな甘さが味噌とよく合い、冷めてもご馳走。

レシピ|かぼちゃの甘みそ和え

材料(2〜3人分)

  • かぼちゃ…250g(一口大)
  • A みそ…大さじ1
  • A 砂糖…小さじ2
  • A みりん…小さじ1
  • A すりごま…大さじ1

作り方

  1. かぼちゃは蒸すかレンジで柔らかくする。
  2. ボウルで A を混ぜ、かぼちゃが熱いうちに和える。
    ポイント: 温かいうちに和えると味がよくなじむ。

砂糖で煮崩れしにくく、つや良く仕上がる一品。

レシピ| 里芋のほっこり煮っころがし

材料(2〜3人分)

  • 里芋…6〜8個(約400g/皮をむく)
  • A 水…250ml
  • A 砂糖…大さじ1
  • A しょうゆ…大さじ1
  • A みりん…大さじ1

作り方

  1. 里芋を塩でもんで洗い、酢少々を入れた湯で下ゆでして水気を切る。
  2. 鍋で油を少量まとわせるように里芋を炒める。
  3. だし汁・砂糖・みりんを入れて煮て、途中でしょうゆを加えて煮含める。
  4. 汁気が少なくなったら鍋をゆすって照りを出し、器に盛る。

👇詳しいレシピ記事はこちら

砂糖が白菜の甘みを引き立て、驚くほどやさしい味に。副菜にも箸休めにもおすすめ♪

レシピ|白菜のくったり甘煮

材料(2〜3人分)

  • 白菜…1/8玉(ざく切り)
  • 油…小さじ1
  • A だし…100ml
  • A 砂糖…小さじ1
  • A しょうゆ…小さじ1/2
  • A 塩…ひとつまみ

作り方

  1. フライパンに油を熱し、白菜の白い部分から炒める。
  2. A を加えて弱火で5〜7分、くったりするまで煮る。
  3. 葉の部分を加えてさらにひと煮立ち。
    ポイント: 白菜の甘みが強いので、砂糖は控えめでOK。

おわりに|冬の台所に、小さなぬくもりを

冬の野菜は、じんわり心にしみるような甘さを持っています。
さらに、ほんのひとさじ砂糖を加えることで、味わいがぐっとやさしくい一皿になります。

寒さで体が縮こまる季節こそ、台所から生まれる小さな甘みが、心と体をふっとゆるめてくれますように。今日の食卓にも、あたたかな一品を。


参考元

  • 農林水産省「野菜の栄養と特性」
  • 日本食品標準成分表(文部科学省)
  • 全国農業協同組合連合会(JA 全農)「野菜の基礎知識」
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