~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。

「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。

冬の名残と、春の気配が入り混じる三月。日差しや風の中に、少しずつ季節の変わり目を感じる頃ですね。

三月は、ひな祭りやお彼岸、春分の日など、行事の数こそ多くはありませんが、学校や会社では節目を迎え、暮らしの中では何かと変化の多い月でもあります。

環境が変わったり、気持ちを切り替えたりと、知らず知らずのうちに、心も身体も動いている時期ですよね。

そんなときだからこそ、行事食をきっかけに、少し立ち止まり、季節の移ろいをゆっくり味わえたらいいなと思います。

このページでは、三月の主な行事と行事食を、暮らしに取り入れやすいかたちでまとめました。忙しい日々の中でも、季節を感じるひとときのヒントになればうれしいです。


スポンサーリンク

3月の主な行事と行事食一覧(2026年)

日付行事名意味・由来行事食
3月3日桃の節句・ひな祭り女の子の健やかな成長と幸せを願う節句ちらし寿司/はまぐりのお吸い物/菱餅/ひなあられ/白酒・甘酒
3月17日〜23日春のお彼岸ご先祖を敬い、自然と命に感謝する期間ぼたもち/精進料理/旬野菜のおかず
3月20日春分の日・お彼岸の中日昼と夜がほぼ同じ長さになる季節の節目。お彼岸の中心日ぼたもち/春野菜料理/煮しめ・和え物

※行事の日付は地域や年によって前後する場合があります

冬の名残と春の気配が行き交う三月―――。
3月は、行事は少ないですが、暮らしの中に変化が重なる月ですよね。


スポンサーリンク

🌸 ひな祭り(桃の節句)|3月3日

三月のはじまりを彩る、ひな祭り。
上巳の節句(じょうしのせっく)とも呼ばれ、女の子の健やかな成長と幸せを願う行事として、今も暮らしの中に息づいています。

ひな祭りの行事食は、華やかさの中にも、健康や良縁、穏やかな日々への願いが込められてきました。ちらし寿司やはまぐりのお吸い物、菱餅など、見た目にも春らしい料理が並ぶのも、この日の特徴ですね。

行事として構えすぎず、春の訪れを祝う気持ちを、無理のないかたちで。ひな祭りは、そんなやさしい節目の日なのかもしれません。

ひな祭りは(桃の節句)は、もともとは、厄を払い、健やかな成長を願う行事として伝えられてきました。現在では、女の子のお祭りとして親しまれ、その思いは、行事食のひとつひとつにも込められています。

ひな祭りの行事食は、華やかさが目を引きますが、大切にされてきたのは、見た目よりも「願い」。
食べることで健やかさを祈り、春の訪れとともに、新しい季節を迎えるための知恵でもありました。

代表的なひな祭りの行事食

ちらし寿司
 海老やれんこんなど、縁起のよい具材を散らした祝いのごはん。
 具材を「散らす」ことで、将来の幸せが広がるようにとの願いも込められています。

はまぐりのお吸い物
 一対の殻がぴたりと合うことから、良縁や健やかな成長を願って。
 ほかの殻とは合わないことになぞらえ、夫婦円満の象徴ともされています。

菱餅・ひなあられ
 色や形に、健康・清らかさ・厄除けの意味を重ねて。
 白・緑・桃色には、それぞれ季節や生命力への願いが表されています。

白酒・甘酒
 桃の節句にちなんだ、春を祝う飲みもの。
 もともとは厄を払う意味を持ち、現在では甘酒が親しまれることも多いですね。

桜餅(春の和菓子)
 ひな祭りの頃から親しまれてきた、春を告げる和菓子。
 関東風・関西風など地域によって形が異なるのも、春菓子らしい特徴です。

※ 桜餅は、ひな祭りの正式な行事食ではありませんが、桃の節句の頃から春にかけて親しまれてきた和菓子として、季節を感じる一品です。

ひな祭りは、春のはじまりを祝う、やさしい行事。
食卓から、少しずつ季節を迎えていきたいですね。


スポンサーリンク

🌿 春分の日・お彼岸|3月20日(2026年)

3月の後半に迎える、春分の日と春のお彼岸。一年の中でも、季節の流れが静かに切り替わる頃です。

~季節が切り替わる節目の日~

※2026年の春分の日は3月20日です。

春分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日。自然をたたえ、生きものをいつくしむ日として定められています。暦の上でも、この日を境に、季節は本格的に春へと向かっていきます。

冬から春へと移り変わる、そのちょうど境目にあたることから、昔から「立ち止まり、これからを見つめる日」として大切にされてきました。

【2026年の春のお彼岸】

・彼岸の入り   3月17日
・中日(春分の日)3月20日
・彼岸明け    3月23日

春のお彼岸は、春分の日を中日として、前後三日ずつ、合わせて七日間にわたる期間を指します。ご先祖を敬い、命や自然に思いを向ける時間として、暮らしの中に受け継がれてきました。

彼岸の入りは、お彼岸が始まる日。
この日から、少しずつ心を整え、ご先祖や家族のことに思いを向けて過ごす期間に入ります。

中日(ちゅうにち)は、春分の日にあたる日。
昼と夜の長さがほぼ同じになることから、この世とあの世がもっとも近づく日と考えられてきました。お墓参りや供養が行われることが多いのも、この日です。

彼岸明けは、お彼岸の最終日。
静かに区切りをつけ、また日常へと戻っていくための節目の日とされています。

春分の日は、自然の節目
お彼岸は、心の節目

意味合いは少し異なりますが、どちらも「立ち止まり、整える」ための時間として、暮らしの中に受け継がれてきました。

一日だけで終わる行事ではなく、始まり・真ん中・結びを大切にするところに、日本らしい時間のとらえ方が感じられますね。

この時期に食べられてきた行事食は、
華やかさよりも、素朴さを大切にしたものが中心です。

ぼたもちや、旬の野菜を使った煮物・和え物など、
身体に負担をかけず、
季節の移ろいを静かに感じられる料理が並びます。

代表的な「春のお彼岸」の行事食

ぼたもち
 春の彼岸に食べられる代表的な行事食。
 小豆の赤色には、厄を払う意味があるとされ、ご先祖への供え物としても親し まれてきました。

精進料理
 肉や魚を使わず、野菜や豆、穀物を中心にした料理。
 命をいただくことに感謝し、心と身体を整える食事として受け継がれています。

旬の野菜の煮物・和え物
 菜の花や根菜など、その時季に採れる野菜を使ったおかず。
 派手さはなくても、季節の移ろいを感じられる一皿です。

ごま和え・白和え
 素材の味を生かした、やさしい味わいの和え物。
 精進料理の一品として、家庭の食卓でも取り入れやすい料理です。

汁物(すまし汁・野菜の味噌汁など)
 具だくさんにせず、あっさりと。
 食事全体を落ち着かせる役割を担ってきました。

お彼岸は、七日間続く行事。
毎日きちんと整えようとすると、かえって負担になってしまうこともありますよね。

そんなときは、「一品だけ」「一日だけ」を意識してみるのもおすすめです。

  • 市販のあんこで作る、簡単ぼたもち
     ごはんにあんこをのせるだけでも、お彼岸らしい一皿になります。
  • 旬の野菜のおひたし・和え物を一品
     菜の花やほうれん草など、季節の野菜を一品添えてみましょう。
  • 手軽な市販の精進料理を取り入れる
     精進料理は植物性食材を活かした料理です。市販の胡麻豆腐・こんにゃくの煮物・白和えの素などを取り入れても〇。

行事食は、暮らしを縛るものではなく、日々を整えるための、やさしい目安。
できるかたちで、取り入れて取り入れてみてください。


おわりに|春を迎える、食卓の小さな目印

3月は、行事の数は多くなくても、暮らしの中では、進学や異動など、さまざまな節目が重なる月です。

そんな3月の行事食は、華やかに祝うためというよりも、季節の変わり目に訪れる気忙しさの中で、ふと落ち着きを取り戻す存在かもしれません。

忙しい日々の合間に、食卓を通して季節と向き合う時間が、少しでも持てたらいいですね。この3月が、新しい年度を迎えるための、やさしい助走の時間になることを願って。

4月の行事食もぜひチェックしてみてください♪
🔗4月の行事食まとめ

一年を通して、行事食をまとめた一覧ページもご用意しています。
▶︎ 年間(1月~12月)の行事食まとめ🔗

春を迎える前の2月には、節分や初午、梅見など、冬から春へと気持ちをつなぐ行事が並びます。2月の行事食については、こちらの記事でまとめています。
2月の行事食まとめ🔗


参考元

  • 内閣府「国民の祝日について(春分の日)」
  • 国立天文台「二十四節気・春分」
  • 農林水産省「和食文化・年中行事と食」
  • 文化庁「年中行事と日本の食文化」

※本記事では、一般的に知られている風習をもとに、家庭の食卓で取り入れやすい形でご紹介しています

スポンサーリンク