秋の訪れを告げる9月。涼しい風が吹きはじめ、田畑や山々では実りが色づいてくる良い季節ですね。

この時期の食卓には、古くからの風習に基づいた秋らしい「行事食」がいくつも登場します。

ここでは、9月の行事食カレンダーとして、早見表と詳しい解説をまとめています。
ぜひ日本の四季を楽しんでください♪


2025年(令和7年)9月の行事食カレンダー

日付行事行事食
9月9日重陽の節句(菊の節句)菊酒、栗ご飯、菊花のお浸し、秋茄子料理
10月6日十五夜(中秋の名月)月見団子、里芋(芋名月)
9月20日〜26日秋のお彼岸(秋分の日〈9月23日〉を中日として前後7日間)おはぎ(小豆・きなこ・ごま)、精進料理
9月下旬〜各地秋祭り・収穫祭新米ご飯、栗料理(栗きんとん)、秋刀魚、梨、ぶどう

(※)2025年(令和7年)の十五夜(中秋の名月)は、10月6日です。

近年の十五夜は、2022年は9月10日、2023年は9月29日、2024年は9月17日とその年によってかなり幅があります。9月になることが多いため、9月のカレンダーに加えています。


行事食を詳しく知る

ここからは、9月に行われる行事ごとの由来や食べ物の意味を、ひとつずつ見ていきましょう。

古来より菊は長寿の象徴とされ、邪気を払う花と考えられてきました。

この日は花びらを浮かべた「菊酒」をいただいたり、秋の恵みを取り入れた栗ご飯菊花のお浸しで、健やかな日々を願います。
秋茄子もこの頃おいしく、季節のごちそうとして喜ばれます。


(※) 十五夜は一般的には9月中旬ですが、2025年(令和7年)の十五夜(中秋の名月)は、10月6日です。

一年で最も美しいとされる月を眺め、豊作を祈る行事です。
「芋名月」とも呼ばれ、月見団子里芋料理を供えます。

丸い団子には「家族円満」の意味が込められています。

ミニコラム|知っておきたい豆知識

十五夜の月見団子は、地域によって形が異なります。
関東では小ぶりの団子を15個積むのに対し、関西では丸餅を供えることも。
同じ「お月見」でも土地ごとの違いを知ると楽しいですね。


2025年(令和7年)の秋のお彼岸は、9月20日~26日 です。

昼と夜の長さが同じになる「秋分の日」を中日として、前後7日間をお彼岸と呼びます。
この時期には、祖先を偲び「おはぎ」をお供えするのが習わしです。小豆の赤には魔除けの力があるとされ、感謝と祈りの気持ちを表します。

精進料理で旬の野菜をいただくことも多いです。

ミニコラム|春は牡丹餅、秋はおはぎ

お彼岸にいただく和菓子といえば、春は「牡丹餅(ぼたもち)」、秋は「お萩(おはぎ)」。
呼び名の違いは、季節の花に由来しています。春は大きく華やかに咲く牡丹にちなみ、丸くふっくらした形。秋は野に咲く萩にちなみ、小ぶりで俵型に作られることが多いといわれています。

また、あんこの違いも語り継がれています。春は小豆の皮がまだ固いため「こしあん」が多く、秋は収穫したての小豆を使うため「つぶあん」が多いという説があります。

実際には、地域や家庭によって呼び分けが異なり、どちらも同じものとして親しまれることもしばしば。
それでも「牡丹」と「萩」に季節を重ねて名を変える感性には、日本らしい四季の美しさが映し出されていますよね。


新米の収穫を祝い、神社にお供えしたり、地域のお祭りでふるまわれたりします。
栗ご飯栗きんとん、脂ののった秋刀魚ぶどうといった果物も並び、秋の恵みを満喫します。


9月に旬を迎える食材とおすすめ料理

行事食とともに楽しみたい、9月ならではの旬の食材をご紹介します。

栗ご飯、栗きんとん
秋茄子焼き茄子、煮浸し
秋刀魚(サンマ)塩焼き、寿司
梨・ぶどうそのまま食べても、デザートや和菓子にも

献立アイデア|9月の行事食を食卓に

実際に食卓に取り入れるときの献立例です。行事食を中心に、旬のおかずを組み合わせるとぐっと華やかになります。

  • 十五夜献立:月見団子、里芋の煮物、秋刀魚の塩焼き、梨
  • 秋のお彼岸献立:おはぎ、精進野菜の煮物、きのこ汁

👉 行事食に季節の副菜を添えることで、食卓全体が華やかに。


おわりに|9月の行事食で実りの秋を味わう

9月は、菊・団子・おはぎ・新米といった「秋の恵み」をいただく行事が続きます。
季節の食材がおいしくなるこの時期は、まさに“食欲の秋”の到来!

伝統の行事食を食卓に取り入れることで、自然への感謝や家族のつながりを感じられるだけでなく、旬の味わいを心ゆくまで楽しめます。


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