霜が降り始め、冬への移り変わりを感じる11月。実りの秋の名残と、冬に備える食材が揃う季節ですね。

11月は、文化の日や七五三、勤労感謝の日など、行事も多く、食卓に季節を取り入れやすい月です。

この記事では、11月ならではの行事食と、旬の食材を使った献立アイデアをご紹介しています。


11月の行事食カレンダー(2025年)

日付行事行事食・食材例
10月中旬〜11月上旬(11月2日)(※)十三夜(後の月)月見団子 、栗、豆類、月見の供え物/おやつ
11月3日文化の日 ・紅葉をあしらった料理
11月7日立冬大根・かぶ、根菜の料理
11月15日七五三鯛の塩焼き、千歳飴、紅白の和菓子など
11月23日勤労感謝の日感謝を込めたおもてなし料理

(※)2025年(令和7年)の十三夜は11月2日です。

近年の十三夜は10月になることが多いため、今年は双方のカレンダーで紹介しています。


各行事の意味と食文化

「十三夜(後の月)」は10月になることが多いため、「10月の行事食まとめ」でとりあげています。👇こちらへ

  • 意味・由来
    文化の日(11月3日)は、1946年に日本国憲法が公布された日で、翌年から祝日となりました。「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とし、芸術や学問をたたえる式典や展示会などが全国で行われます。
    もともとは明治天皇の誕生日(明治節)に由来し、現在も「文化」「芸術」「学び」を象徴する祝日として親しまれています。
  • 食文化
    文化の日の特別な伝統食はありませんが、ぜひ秋の彩りを食卓に添えてみてください。菊の花をあしらった料理や、紅葉をイメージした盛り付けを添えると、文化的な雰囲気を食卓に演出できます。

「文化の日」の献立例

  • 時期
     立冬は二十四節気のひとつで、2025年は11月7日にあたります。暦のうえで「冬の始まり」とされる節目の日です。
  • 意味・由来
     「立=はじまる」「冬=寒さの季節」という意味。日照時間が短くなり、朝晩の冷え込みが増す頃。農作業は収穫から冬支度へと移り変わり、保存食づくりも始まります。
  • 食文化
     立冬には、体をあたためる根菜や豆類を使った料理がよく食べられます。昔から「冬に備えて栄養を蓄える」ことを意識した食習慣があり、旬の大根・かぶ・里芋などを煮含めた料理や、根菜の味噌汁・鍋料理が好まれます。

「立冬」の献立例

  • 主食:大根葉ごはん
  • 主菜:ぶり大根
  • 副菜:かぶのそぼろあんかけ、里芋の煮ころがし
  • 汁物:根菜たっぷり味噌汁
  • 甘味:柚子ゼリー

江戸時代の暦注解説書『暦便覧』には、立冬を
「冬の気立ち初めていよいよ冷ゆるがゆへ也」
と記しています。

当時の人々は、この言葉どおり「冷え込みが本格的に始まる時期」として立冬をとらえていました。農作物の収穫を終え、保存食を仕込み、冬を越す準備を進める合図でもあったのです。

立冬は単なる暦上の節目ではなく、暮らしのリズムを整える大切な目安として生活に根づいていました。

  • 意味・由来
    子どもの成長を祝う伝統行事。平安時代から「髪置」「袴着」「帯解」など、年齢に応じた節目が祝われていました。
  • 食文化・飾り付け
    千歳飴を結絵(華やかに包装)し、紅白の和菓子や季節の果物を添えます。

「七五三」の献立例

主食:栗ご飯 、赤飯
主菜:鯛の塩焼き
副菜:菊のおひたし、里芋と銀杏の煮物
汁物:かぶと鶏のすまし汁
甘味:羊羹、千歳飴

七五三のお祝いに欠かせないのが 千歳飴。紅白で細長い形は、長寿や健やかな成長を願う象徴です。袋には鶴亀や松竹梅といった吉祥模様が描かれ、飾りの意味合いも込められています。

また、祝いの食卓には 赤飯尾頭付きの鯛 が並ぶのが定番。さらに紅白まんじゅうや栗まんじゅう、羊羹などの和菓子、柿やりんごなど秋の果物も添えられます。

地域によっては郷土菓子や旬の山の恵みを盛り込んだ祝い膳を囲むこともあります。

  • 意味・由来
    労働を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日。
  • 食文化
    普段よりちょっと手間をかけた「もてなし料理」を出す家庭も。秋の恵みを存分に使った献立で感謝を表します。

「勤労感謝の日」の献立例

  • 主食:木の実ご飯(栗・ぎんなん・クルミなど入り)
  • 主菜:鮭の幽庵焼き
  • 副菜:かぼちゃの含め煮、ほうれん草と菊の和え物
  • 汁物:かきたま汁
  • 甘味:焼きりんご、栗羊羹

11月に旬を迎える食材とおすすめ料理

食材特性・旬時期料理例
旬は9〜10月。11月は生栗の流通は減るが、氷温保存や加工品で楽しめる。栗ご飯 栗の渋皮煮 、栗羊羹、栗きんとん
甘味が増し、干し柿も作られる時期柿なます、干し柿、柿と胡麻豆腐
柚子冬至に向け香りが高まる柚子大根、ゆず味噌、ゆず茶
大根身がしまって甘みが出るふろふき大根、ぶり大根、大根ステーキ
かぶやわらかく甘みがあり汁物に最適かぶのそぼろあん、かぶの浅漬け
さつまいも甘さが増し冬の副菜やおやつにぴったり大学芋、さつまいもご飯、いも煮
きのこ類秋の名残を楽しむきのこご飯、土瓶蒸し、きのこ汁

🌰 栗は9〜10月が旬のピークですが、11月には氷温熟成されたものや、渋皮煮・栗きんとんといった加工品として食卓に上ることが多くなります。『秋の名残を楽しむ味わい』として、まだまだ栗は秋の食卓に季節感を添えてくれます♪


おわりに|行事と旬で暮らしに季節感を

11月は、秋の余韻と冬の足音が入り混じる移行の季節。

行事をきっかけに旬の食材を取り入れ、食卓に季節感を添えてみてください。できるところから少しずつ・・・家族や大切な人とともに、「食」を通して季節を味わう時間を大切にしたいですね。

📚 参考文献

  • 国立国会図書館デジタルコレクション『暦便覧』(江戸時代刊)
  • 内閣府「国民の祝日について」
  • 農林水産省「食べもの暦」

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