~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。
「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。
新緑がまぶしく、風に初夏の気配を感じる5月。
ゴールデンウィークもあり、行楽や集まりなど、楽しみや予定が増える季節でもありますね。
そんなにぎやかさの一方で、暦の上では春から夏へと移り変わる節目の月。
端午の節句や八十八夜など、昔から受け継がれてきた行事には、季節の変わり目を健やかに過ごすための知恵が、さりげなく込められています。
このページでは、5月の主な行事と行事食を一覧で紹介しながら、忙しい日々の中でも無理なく取り入れられる、季節を感じる和の食卓をまとめました。
5月の行事食カレンダー

【2026年 5月の主な行事】
・5月2日(土) 八十八夜
・5月5日(火・祝) 端午の節句
・5月10日(日) 母の日
・5月15日(金) 葵祭(京都・例年通り)
・5月下旬 走り梅雨の頃(時期の目安)
5月の行事食一覧表
| 日付・時期 | 行事名 | 行事の意味・由来 | 行事食・風習 |
|---|---|---|---|
| 5月5日 | 端午の節句 | 五節句のひとつ。邪気を払い、子どもの健やかな成長を願う日 | 柏餅・ちまき・筍料理 |
| 5月上旬 | 八十八夜 | 立春から数えて88日目。季節の節目とされる | 新茶・茶飯 |
| 5月第2日曜 | 母の日 | 母への感謝を伝える日 | 赤飯・ちらし寿司・季節の和菓子 |
| 5月中旬 | 葵祭(地域行事) | 五穀豊穣や厄除けを願う伝統行事 | 精進料理・旬の野菜料理 |
| 5月下旬 | 走り梅雨の頃 | 季節の変わり目、体調を崩しやすい時期 | さっぱりした和食・保存食 |
※地域差のある行事も含め、代表的なものを紹介しています。

風や光にふれると、5月はやっぱり気持ちのいい季節だと感じますね。
4月の行事食はこちらの記事でまとめています。
▶ 🔗4月の行事食まとめ
入梅・父の日・夏越の祓など、6月ならではの行事食がこちら。
▶ 🔗6月の行事食まとめ
各行事の意味と食文化
5月は、節句のような伝統行事と、母の日のように暮らしに根付いた行事が並ぶ月。
それぞれの行事に込められた意味を知ることで、食卓のかたちも自然と整っていきます。
端午の節句(5月5日)

時期
5月5日
由来・意味
端午の節句は、五節句のひとつ。
もともとは季節の変わり目に邪気を払い、無病息災を願う行事でした。
現在では、子ども、特に男児の健やかな成長を願う日として親しまれています。
食文化
柏餅やちまきには、家系の繁栄や厄除けの意味が込められています。
また、春から初夏に旬を迎える筍も、まっすぐ伸びる姿に成長への願いを重ねて食べられてきました。
端午の節句の献立例

・柏餅 または ちまき
・筍の煮物
・若竹汁
・旬野菜のおひたし
八十八夜(2026年は5月2日)

時期
5月上旬
(立春から数えて88日目にあたる日)
由来・意味
暦の上では春から初夏へと移り変わる節目とされてきました。
農家にとっては、霜の心配がほぼなくなり、種まきや茶摘みを始める目安の日として大切にされてきました。
とくにお茶の世界では、八十八夜頃に摘まれる新茶は、冬を越えて養分を蓄えた葉であることから、香りがよく、滋味深いとされています。
「八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きする」という言い伝えも、こうした自然のリズムと暮らしの経験から生まれたものです。
八十八夜の食文化
この頃に出回る新茶は、香りが高く、やさしい味わいが特徴。
特別な料理でなくても、お茶の時間そのものを楽しむことが行事につながります。
八十八夜|楽しみ方の一例
・新茶
・軽めの和菓子
・茶飯(余裕がある日には)
母の日(2026年は5月10日)
時期
5月の第2日曜日
由来・意味
母の日は、日頃の感謝を伝えるための日。
日本では戦後に広まり、現在では家庭ごとのかたちで大切にされています。
食文化
決まった行事食はありませんが、「ありがとう」の気持ちを込めた食卓が、何よりのごちそうになります。
赤飯やちらし寿司など、少しだけ特別感のある料理が選ばれることも多いようです。
母の日の献立例
・ちらし寿司 または 赤飯🔗
・季節の吸い物
・旬野菜の副菜
・和菓子
葵祭(地域に残る祭りと行事)

時期
5月15日(例年)
由来・意味
5月は、地域ごとに小さな祭りや行事が行われる時期でもあります。京都の葵祭をはじめ、五穀豊穣や無病息災を願う行事が各地で行われてきました。
葵祭は、京都で行われる伝統的な祭りで、五穀豊穣や厄除けを願う行事です。古くから続く行列や装束は、初夏の訪れを告げる風物詩として知られています。
食文化
祭りの日は、精進料理や旬の野菜を使った料理など、自然の恵みに感謝する食事が意識されてきたようです。
葵祭の頃の食卓例
・旬野菜の煮物
・豆料理
・青菜のおひたし
・ごはんと味噌汁
走り梅雨の頃(季節の目安)
時期
5月下旬〜6月初め頃
由来・意味
本格的な梅雨の前に、雨が続く時期を「走り梅雨」と呼びます。体調を崩しやすい季節の変わり目でもあります。
食文化
さっぱりとした味付けや、保存のきく料理を取り入れ、身体を整えることが大切にされてきました。
走り梅雨の頃の献立例
・冷奴(薬味添え)
・酢の物
・常備菜
・具だくさん味噌汁
おわりに|楽しみの多い5月、食卓にも季節の余韻を

ゴールデンウィークをはじめ、行事や予定が重なり、どこか気持ちも外へ向かいやすい5月。
にぎやかな時間が増える一方で、季節は静かに、春から初夏へと歩みを進めています。
端午の節句や八十八夜、母の日。
それぞれの行事に目を向けてみると、「がんばる」よりも、健やかに、やさしく整えることが大切にされてきた月なのだと気づかされます。
遠出をする日も、家で過ごす日も。
ごちそうでなくても、ひと皿に季節の意味を添えるだけで、食卓の景色は変わるものです。
楽しみの多い5月だからこそ、少し立ち止まって味わう時間も、大切にしたいですね。
参考元
・『日本の食生活全集』(農山漁村文化協会)
・国立国会図書館「日本の暦・年中行事に関する資料」
・農林水産省「和食文化・食文化の継承に関する解説」
※本記事では、一般的に知られている風習をもとに、家庭の食卓で取り入れやすい形でご紹介しています
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