みなさん、こんにちは。

年中スーパーの鮮魚コーナーで見かけるおなじみのアジですが、実は1年の中で最もきらきらと輝いて、お口の中でとろけるほど美味しくなるのが、まさに今「夏」の時期

それも、ふっくら丸々と太った「大鰺(オオアジ)」です。

「お魚は冬のほうが脂がのって美味しいんじゃない?」って思われるかもしれませんね。ところが、アジだけはちょっと特別。

なぜ夏の大アジがこんなに美味しいのか?

今日は、そのちょっと面白い生態のひみつから、覚えておくとお買い物が楽しくなるアジの種類、全国自慢のブランド産地まで、「アジのすべて」を優しく紐解いていきますね。


スポンサーリンク

🐟 そもそも「アジ」ってどんな魚?種類と生態のひみつ

日本近海には多くのアジの仲間がいますが、私たちが普段「アジ」と呼んで親しんでいるのは、主に「マアジ」という種類です。

まずは基本として、知っておきたい種類と、マアジの中にある「2つのタイプ」のお話をしますね。

マアジ(真鯵)

流通量のほとんどを占める、今回の主役。旨味と脂のバランスが本当に素晴らしいです。

マアジ

シマアジ(縞鯵)

アジ類の最高峰とされる高級魚。コリコリとした歯ごたえと濃厚な脂が特徴です。

シマアジ

ムロアジ(室鯵)

マアジに比べ脂が少なくあっさりした味わいです。主に「くさや」や干物の原料になる、血合いの多い種類です。

ムロアジ

マアジは、その生き方によって見た目も味も全く違う2つのタイプに分かれます。

  • 回遊型(通称:黒アジ)
    海を広く群れで泳ぎ回るタイプ。体色が黒っぽく、シュッと細長いスマートな体型をしています。よく運動しているから身は締まっていますが、脂は少し控えめ。
  • 居着き型(通称:黄アジ・瀬付きアジ)
    浅瀬や岩礁のまわりに定着して、そこから移動しないタイプ。体色が黄金色に輝いていて、丸々と太ったメタボな体型をしています。今回のテーマである「夏に極上の美味さになるオオアジ」は、まさにこの居着き型(黄アジ)のことなんですよ。

スポンサーリンク

💡 夏の「大鰺(オオアジ)」は、なぜ一番美味しいの?

「大きくなると大味(大雑把な味)になる」なんて言われることもありますが、アジは全くの例外。夏のオオアジは、びっくりするほど美味しくなります。それには、ちゃんとした3つの理由があるんですよ。

春から夏にかけて海水温が上がると、海の中にはアジが大好きなプランクトンや小さなエビがたくさん発生します。

浅瀬に居着いたオオアジは、あちこち泳ぎ回る必要がないので、この栄養満点のごちそうを文字通り「爆食い」します。だから、体に上質な脂がたっぷりと蓄えられるというわけですね。

アジの産卵期は地域によって違いますが、だいたい春から夏にかけて。
魚は、卵や白子に栄養を送るために、産卵の直前が一番体にエネルギーを溜め込むんです。夏のオオアジは、まさに「人生の中で最も栄養を蓄えた状態」。美味しくないわけがないわよね。

水産試験場などのデータを見ても、アジの体脂肪率(脂質含有量)は6月〜8月の夏場にピークを迎えます。冬場は数%しかない脂質が、夏には10%〜15%以上にまで跳ね上がるんですよ。

しかも、夏の青魚の脂はサラッとしていて体に優しい不飽和脂肪酸がたっぷり。夏バテ気味のときでもくどくなくて、爽やかな甘みを感じさせてくれます。


スポンサーリンク

🗺️ お買い物が楽しくなる!全国の有名「ブランドアジ」

せっかくですから、日本の名産地が生んだ素晴らしいブランドアジもご紹介しますね。どれも、激しい潮流や豊かなエサに恵まれた一級品ばかりです。

産地・ブランド名特徴と夏の美味しさ
大分県
「関あじ」
豊予海峡の激流で育ち、一本釣りされる最高峰。夏でも身がダレず、コリコリとした歯ごたえと上品な脂を堪能できる。水産品として日本で初めて商標登録されたブランド魚としても有名。旬は身が締まる秋〜冬だが、年間を通して評価が高い。
島根県
「どんちっちアジ」
山陰沖で獲れるマアジ。夏のアジのポテンシャルを象徴する存在で、旬の時期は脂質が15%を超えることも!旬の4〜9月は「アジの大トロ」と呼ばれるほど脂がのる。
長崎県
「ごんあじ」
五島灘の瀬に居着いた、黄金色に輝くオオアジ。まさに「夏の黄金オオアジ」の代表格で、ふくよかな旨味は絶品です。通年獲れますが、脂ののりが特に良くなるのは夏場(初夏〜秋)
愛媛県
「岬(はな)あじ」
関あじと同じ豊予海峡、四国側の佐田岬漁港に水揚げされたもの。300g以上のものだけが「岬あじ」を名乗れる。旬は関あじ同様秋〜冬
千葉県「黄金あじ」東京湾入り口の潮の流れが速い浅瀬にすみ、栄養を豊富に蓄えた「金アジ」。一本釣りで漁獲され、旬は夏〜秋

🛒 プロの目利き!本当に美味い夏アジの選び方

スーパーや鮮魚店で丸ごと一匹(一尾)のオオアジを選ぶときは、こんな3つのポイントをチェックしてみてください。

  1. 「体高(たいこう)」があるもの
    背中からお腹にかけての幅が広くて、全体的にラグビーボールのように丸々と太っているものを選びましょう。これが「脂がのっている」一番の証拠です。
  2. 体色が「黄色・黄金色」がかっているもの
    全体的に黒っぽいものより、お腹やヒレのあたりが黄色〜金色に輝いているものが、エサをたっぷり食べた「居着き型」の証。
  3. 目が澄んでいて、エラが鮮やかな赤色のもの
    目が濁っていなくて、エラを開いたときに綺麗な血の色(鮮紅色)をしているものが新鮮です。

スポンサーリンク

美味しさを引き出す!オオアジの下処理(三枚おろし)

大きなアジを料理するとき、一番大切なのが「下処理」です。オオアジは骨もトゲも硬いですから、丁寧に行うことで口当たりが格段に良くなって、生臭さも綺麗に消し去ることができますよ。

STEP1
ゼイゴとウロコを取る

尾の付け根から体の中心にかけてある、硬いトゲトゲした鱗「ゼイゴ」を、包丁を寝かせて尾側から頭側に向かって削ぎ落とします。

その後、全体にある細かいウロコを包丁の刃先で優しくこすり落とします。

オオアジのゼイゴは本当に硬いので、手を切らないように気をつけてくださいね!力で押して切り取るのではなく、包丁はキコキコとのこぎりを使うように上下に小さく動かして削ぎ落します。

STEP2
頭と内臓を落として「しっかり水洗い」

胸ビレの付け根から包丁を斜めに入れて頭を落とし、お腹に切れ目を入れて内臓をかき出します。

ここが一番のポイント!
中にある血合い(背骨のところにある赤い血の塊)に包丁で薄く切れ目を入れて、流水で綺麗に洗い流しましょう。魚の生臭さは、この内臓や血合いに残っています。

綺麗に洗ったら、キッチンペーパーで水分をこれでもかと完璧に拭き取ってくださいね。

STEP3
三枚におろす

腹側→背側、裏返して背側→腹側のという順に、中骨に沿って包丁を滑らせるようにして身を切り離します。お腹の「腹骨」はオオアジだとかなり硬いので、包丁を寝かせて薄く削ぎ落としてください。

最初に腹を開く
三枚おろし(腹骨を取る前段階)
STEP4
✨ 旨味を凝縮させる「降り塩」

三枚におろしたら、身全体に高い位置からパラパラと薄く塩を振ります(降り塩)。そのまま10分〜15分ほど置くと、表面にじんわりと水分が浮き出てきます。この水分が、臭みの元です。

  • お刺身・なめろうにする場合
    浮き出た水分をキッチンペーパーで優しく、徹底的に拭き取ります。(※生で食べる場合、おろした後の身は、水洗い✖。旨味や極上の脂が水に溶け出して、水っぽくなってしまいます。拭くだけで十分綺麗になります!)
  • アジフライにする場合
    一度冷水でサッと塩と水分を洗い流し、そのあとキッチンペーパーで完全に水気を拭き取ります。
STEP5
骨を抜く

骨抜きを使って、血合い骨を抜く。

身をおさえ、骨の向きに沿ってゆっくり引き抜く

少し面倒に感じますが、このひと手間をおしまないことが、口に入れたときに『骨が全く当たらない、極上のフワフワ感』を生む一番のひみつです。仕上がりが劇的に変わりますから、ぜひ頑張ってみてくださいね。


🍳 脂がのった夏のオオアジを味わう!絶品定番レシピ

さあ、下処理が完璧にできたら、夏のオオアジだからこそ試してほしい究極の食べ方でいただきましょう。

小ぶりのアジで作ることが多いアジフライですけれど、あえて夏のオオアジを贅沢に使ってみてください。

一口噛んだ瞬間、サクッとした衣の中から、「フワッ、ジュワッ」と肉厚な身と上質な脂のスープが溢れ出します。これまでのアジフライの概念がひっくり返る美味しさですよ。

レシピ|大判アジフライ

  1. 味付け:骨を抜いた半身の水気を拭き、塩・こしょうを軽く振る。
  2. 衣付け:小麦粉 ⇒ 溶き卵 ⇒パン粉の順にしっかりつける。
  3. 揚げる:170〜180℃の油で、きつね色になるまで3〜4分揚げる。

💡半身が大きいので、フライパンに多めの油を引いて「揚げ焼き」にしても手軽で美味しく作れますよ。

なめろう

夏のオオアジは脂がとっても濃厚なので、たくさんの薬味と一緒に食べても負けない旨味があります。

大葉、生姜、みょうが、ネギをこれでもかと言うほどたっぷり刻んで、包丁でトントンと叩きます。お味噌を少し加えて「なめろう」にすれば、夏の最高のビールのおつまみ、あるいは冷たいお茶を注いで「お茶漬け」にしても最高です。

レシピ|たたき&なめろう

  1. 刻む:骨を抜いた半身を、5mm角くらいの細かさに刻む。
  2. 薬味を合わせる:大葉、生姜、みょうが、ネギなど、お好みの薬味をたっぷり合わせる。
  3. 叩く:包丁で全体を好みの粗さになるまでトントンと叩く。(※ここで「たたき」の完成!)
  4. 仕上げ(なめろう):さらに味噌を少々加え、粘り気が出るまで叩き合わせる。

💡オオアジは脂が強いので、薬味は「ちょっと多すぎるかしら?」と思うくらい贅沢に入れるのがおすすめです。


おわりに|旬のマアジを楽しんで

年中手に入る身近なアジですが、「夏のオオアジ」は別格、まさに海の宝物です。

プランクトンをたっぷり食べて丸々と太った身には、夏の暑さを吹き飛ばすほどの旨味と栄養が詰まっています。

スーパーや鮮魚店で、黄金色に輝く丸々とした大アジを見かけたら、ぜひ今夜のおかずに選んで、美味しさを堪能してみてくださいね。

主な参考元

  • 島根県ブランド推進課「どんちっちアジ 水産データ
  • 大分県漁業協同組合「関あじ・瀬付きアジの生態と定義」
  • 日本料理技法研究会「魚の下処理と調理科学」

※この記事は、上記の専門的な水産データや調理科学を参考に、ご家庭で誰もが簡単に楽しめるお料理の知恵としてまとめています


💡 あわせて読みたい:旬を味わうお料理のヒント

夏のアジと一緒に食卓に並べたい、今が一番美味しいお野菜のひみつを集めました。
【素材図鑑】今が美味しい!夏野菜の特集ページはこちら🔗


夏を元気に乗り切るための、日本の大切な食の伝統、誰かに話したくなる面白知恵袋
土用の丑の日に、なぜ「うなぎ」を食べるの?はこちら🔗

スポンサーリンク