~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。

「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。

「鬼は〜外!福は〜内!」
豆まきをしたり、恵方巻を食べたり。節分は、どこかにぎやかで、少し楽しい行事のイメージがありますよね。

けれど本来の節分は、季節の変わり目にあたる、大切な節目の日。
まだ寒さの残る二月に、いったん立ち止まり、これから迎える春に向けて、心と暮らしをそっと整えるための日でもありました。

豆をまくこと、行事の料理を囲むこと。その一つひとつに、一年の無病息災を願う気持ちが込められています。

そんな節分の意味や行事食の考え方を、家庭の食卓に寄り添う目線で、ゆっくりと見ていきたいと思います。


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節分とは|立春の前日に行われる「季節の区切り」

そもそも節分とはどんな日なのでしょうか。

節分は、「季節を分ける日」という意味を持ち、もともとは立春・立夏・立秋・立冬の前日を指していました。現在は、節分といえば 立春の前日(2月3日頃) を指すのが一般的です。

暦の上では、立春から新しい一年が始まると考えられてきたため、節分は 一年の締めくくりの日

そのため、災いや邪気を払い、清らかな気持ちで春を迎えるための行事が行われてきました。


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なぜ豆をまくのか|鬼と豆に込められた意味

節分といえば豆まき。
この風習には、古くからの考え方が込められています。

  • 鬼:病気・災い・不安の象徴
  • 豆:生命力のある穀物、邪気を払う力を持つもの

「鬼は外、福は内」という掛け声は、外に追い払うというよりも、暮らしの中のよくないものを手放し、福を迎え入れるという意味合いで受け取ると、ぐっと身近になりますね。


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節分に食べるもの|暮らしに寄り添う行事食

豆まきのあとに食べる炒り大豆は、年の数だけ食べることで無病息災を願う風習があります。

最近では、年の数にこだわらず少しだけ食べたり、料理に使って無理なくいただいたりと、それぞれの家庭の暮らしに合わせた形で福豆を楽しむご家庭も増えています。

恵方巻は比較的新しい習慣で、もともとは関西地方の風習とされています。

◆ 恵方巻を食べる伝統的なスタイル

節分の習慣として広まっている恵方巻きは、その年の「恵方(えほう)」=縁起のよい方角 を向いて、巻き寿司を丸ごと食べると一年の無病息災・福を招くとされています。

2026年(令和8年)の恵方
南南東(やや南寄り)

伝統的なマナー(あくまで楽しみ方の一例)
・ 恵方を向いて食べる
・ 一本丸ごと(切らずに)食べる
・ 食べている間は無言で願い事を心に浮かべる

このスタイルは「縁を切らない」「願いを込める」といった意味合いがあるようです。

ミニコラム恵方巻は、いつから全国的になった?

私が子どもの頃、生まれ育った信州では、節分に恵方巻を食べる習慣は特にありませんでした。豆まきをして、年の数だけ豆を食べるというだけの行事が、節分のごく自然な過ごし方だったように思います。

では、今のように恵方巻を食べるという習慣が始まったのでしょうか。

恵方巻は、もともと関西地方を中心とした風習で、現在のように全国へ広く知られるようになったのは、比較的最近。1990年代後半から2000年代にかけて、コンビニエンスストアなどを通じて紹介され、少しずつ「節分の食べもの」として定着してきたようです。

地域や家庭によって、なじみの深さに違いがあるのも、自然なこと。

恵方巻は、伝統行事というよりも、節分を楽しむための、ひとつの新しい形として受け取ると、無理なく暮らしに取り入れやすくなります。

このような伝統的なスタイルはあるものの、節分は「こうしなければならない」日ではないと、私は考えています。

季節の変わり目を感じ、気持ちを切り替えるきっかけの日として、無理なく、ご家庭に合った方法で愉しんでみてはいかがでしょう。

「今日は節分だね」と話しながら、家族の健康を願う。そんな温かい食卓が生まれたら、うれしいですね。

節分には、いわしを食べたり、焼いたいわしの頭を飾ったりする風習があります。
これは、いわしの持つ強い匂いや煙が、鬼(災い)を遠ざけると考えられてきたためです。

とくに、焼いたいわしの頭に柊の枝を刺して玄関に飾る「柊鰯(ひいらぎいわし)」は、昔から伝わる節分のしつらえのひとつ。

目に見えない邪気を、暮らしの外へ追い出すための知恵でした。

柊鰯(ひいらぎいわし)とは?

柊鰯は、焼いたいわしの頭を柊の枝に刺し、玄関先などに飾る節分の風習です。柊のとげと、いわしの匂いで鬼を防ぐ、昔の人の暮らしの知恵が込められています。

※現在では、飾らずに「食べて味わう」形で受け継がれることも多くなっています。

家庭向けの取り入れ方

とはいえ、「頭を飾るのは少し大変」「匂いが気になる」というご家庭も多いと思います。

いわしを節分の行事食に取り入れるなら、いわしを一品、食卓に取り入れるだけでも十分。

行事食は、そこに込められた意味を知りながら味わうことで、食卓に自然と会話が生まれ、家族で行事を感じる時間へとつながっていきます。

いわし料理の例

  • 焼きいわし(塩焼き)
  • いわしのつみれ汁
  • いわしの蒲焼(匂い控えめ)
  • いわしの梅煮  など

節分は、豆をまいたり、恵方を向いて巻き寿司を食べたり、いつもの食卓に、少しだけ特別な空気が流れる日です。

恵方巻やいわし料理など、行事ならではの一品があるだけで、それだけで十分、節分らしいごちそうになります。

あとは、家族で「今日は節分だね」と話しながら、その特別感を味わえる食卓を整えてみてください。

巻き寿司が主役の日は、まわりを温かい汁物や野菜で整えると、全体がまとまります。

いわし料理を一品添えると、昔ながらの節分らしさが、食卓に静かに広がります。

  • ごはん
  • 主菜(焼きいわし(塩焼き)/いわしの蒲焼 など)
  • 汁物(けんちん汁/豆腐とわかめの味噌汁 など)
  • 野菜の小鉢(青菜のおひたし/温野菜 など)
  • 添え:福豆(少量)

にぎやかな節分の余韻を楽しみながら、体にも少し目を向けたいときの献立です。
翌日の立春を意識して、やさしく整える食卓として取り入れてみてください。

  • 主食(雑炊/おかゆ など)
  • 豆を使った一品(煮豆/豆の炊き込みごはん など)
  • 副菜(湯豆腐/温野菜 など)

節分の食卓に、ひとつの正解はありません。
行事ならではの一品を囲みながら、家族それぞれの楽しみ方で、この日の特別感を味わってみてくださいね。


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おわりに

恵方巻を囲んだり、いわし料理の香ばしさに「節分だね」と話したり。どんな形でも、その日を意識して食卓を囲めば、それだけで節分らしい時間になります。

翌日は立春。まだ寒さは残りますが、行事をひとつ終えた食卓には、気持ちが少し切り替わるような余韻が残ります。

暖かくなる日を心待ちにしながら、暦の上での節目を、穏やかに過ごしたいものですね。

―――最後まで読んでくださりありがとうございました!

‹参考元›

  • 農林水産省(日本の食文化と年中行事)
  • 国立国会図書館(年中行事と暮らし)
  • 全国和菓子協会(節分と豆まきの由来)

※本記事では、日本の年中行事や行事食の考え方をもとに、家庭の食卓で取り入れやすい形でご紹介しています。


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