さしすせそ歳時記|季節の食材と和の調味料で楽しむ、四季の台所

日本の台所には、昔から受け継がれてきた「さしすせそ」の知恵があります。
砂糖(さ)・塩(し)・酢(す)・醤油(せ)・味噌(そ)
それぞれの調味料は、旬の食材を引き立て、季節の食卓を豊かに彩ってくれます。
このシリーズでは、旬の恵みと和の調味料を組み合わせた、季節感あふれるレシピをご紹介します。

朝晩がひんやりとしてきて、土もの野菜が美味しさを蓄えはじめる秋。
かぼちゃやさつまいも、れんこん、きのこ……台所に並べるだけで、どこかほっとするような“秋の香り”が広がっていきます。

今日は、そんな秋の食卓に寄り添う 「塩×秋野菜」 のお話です。
ひとつまみの塩は、味をつけるというよりも 素材の甘みや香りをふっと押し上げる役目 をしてくれます。
だからこそ、実りが深まる秋にぴったり。

あれこれ調味料を重ねなくても、塩だけで十分おいしい。
そんな“しみじみおいしい秋の香り”を、ゆっくり味わっていただけたらうれしいです。


秋野菜と塩の美味しい関係

秋野菜のおいしさは、甘さの強さ・うま味の濃さ・香りの豊かさにあります。
夏の名残が抜けて空気が乾きはじめると、野菜はゆっくりデンプンを蓄え、味がのっていきます。

ここに塩を合わせると、
・甘さが引き立つ
・香りの輪郭が出る
・食感が締まり、味の流れが美しくまとまる

といった効果が自然に生まれます。

塩は足し算ではなく“引き立て役”。
秋野菜の持つやわらかな甘さには、まさに相性抜群の調味料です。

ニコラム|秋は「甘い×しょっぱい」に惹かれる季節

秋になると、自然と甘さと塩味の組み合わせをおいしく感じるようになります。
涼しくなることで身体がエネルギーを蓄えようとし、甘みへの感度が高まるためです。
ここに塩味が少し加わることでコントラストが生まれ、甘みがよりはっきり感じられる——まさに“秋の味覚の魔法”です。


塩を最初におすすめしたい理由|天然塩の魅力

秋野菜の美味しさを引き出すなら、最初に手にとりたいのは 天然塩(海塩・天日塩など) です。
ミネラルがほどよく含まれるため、味がやわらかく、角がない のが特徴。秋野菜の甘みや香りを邪魔せず、自然な旨みを引き立ててくれます。

精製塩が悪いわけではありませんが、塩味が鋭く出やすいため、野菜料理では天然塩の方が向いています。
ひとつまみで味が決まるのも天然塩のよいところ。


塩と相性のよい秋野菜たち

甘みに塩がすっと寄り添う

秋のさつまいもは、火を入れるほどに蜜のような甘みが増します。
塩をひとつまみ合わせると、甘みがべたつかず、後味がすっと軽くなります。

  • 塩焼きいも
  • 蒸したさつまいもの仕上げ塩
  • 天ぷら+藻塩
  • さつまいもの塩から揚げ(おかず・おやつに)

さつまいもは砂糖を使わずとも、塩だけで立派な一品になります。

ほっくり甘い秋の主役

かぼちゃ特有のほっくりした甘みは、塩でぎゅっと締まります。
煮物でもサラダでも、塩が味の軸になるほど。

  • かぼちゃの塩バター煮
  • かぼちゃサラダ(塩+すりごま)
  • かぼちゃの素揚げ+仕上げ塩

甘口のかぼちゃこそ、塩の使い方が料理を決めます。

焼く・揚げる・蒸す、どれも塩で際立つ

れんこんは火の通し方で味わいが変わり、塩を合わせるとその変化が際立ちます。

  • 香ばしい「れんこんの塩焼き」
  • サクッと「素揚げ+塩」
  • 蒸して塩とごま油で和える

香ばしい風味・もっちり感・軽やかさ…どれも塩でより深まります。

塩だけで香りが立ち上がる食材

しいたけ・舞茸・しめじなどのきのこは、水分が多いぶん、塩をふることで旨みが凝縮します。

  • 塩きのこのソテー
  • グリルきのこ
  • 塩きのこを使った混ぜご飯

香りの立つ秋には、とくに塩がよく合います。

ねっとり感を塩で引き立てる

秋のさといもは水分が多く、ねっとりとした口当たりが魅力。
そこに塩を合わせると、重さが消えてふわりと軽い余韻に。

  • 塩ゆで+ごま油
  • さといもの素揚げ+塩
  • 塩煮(醤油を使わないやさしい味)

素材の味がしっかりわかる食べ方です。


秋野菜をもっとおいしくする “塩使いのコツ”

秋野菜は甘みや香りが強いぶん、塩のふり方ひとつで味わいがぐっと変わります。
いつ、どれくらい塩を使うか——その小さな工夫が、素材のよさを素直に引き出す秘訣です。

焼く・蒸す・揚げる…調理に合わせた塩使いで、秋の野菜がより美味しく仕上がります。

  • 焼く前に塩……水分が引き出され香ばしさが増す
  • 途中で塩……味がなじむ
  • 仕上げの塩……香りの立ち上がりが良く、甘みが引き立つ
  • 粗塩は焼きもの向き、細かい塩は煮物向き
  • 茹で野菜は塩をほんのひとつまみ(甘みの“輪郭”が出る)

ワンポイント|“ひとつまみ”は指3本で軽くつまむ量

料理本でよく見る「ひとつまみ」は、親指・人差し指・中指でつまむ量のことです^^


塩×秋野菜のおすすめレシピ集

れんこんの甘みと香ばしさを、塩ひとつまみでシンプルに引き出す一品です。焼くだけで驚くほど旨みが広がります。

レシピ|れんこんの香ばし塩焼き

材料(2〜3人分)
れんこん 200g/塩 少々/油 少々

作り方

  1. れんこんを7〜8mmに切り、軽く水をふきとる。
  2. フライパンに油をあたため、中火で両面をこんがり焼く。
  3. 仕上げに塩をひとつまみふる。

ポイント
焼き目が甘みと香りを引き立てるので、触りすぎないのがコツ。

砂糖を使わず、かぼちゃ本来の甘さを味わう“やさしい塩煮”。バターのコクが秋のほっくり感をそっと引き立てます。

レシピ|かぼちゃの塩バター煮

材料
かぼちゃ 300g/水 150ml/塩 小さじ1/3/バター 10g

作り方

  1. かぼちゃはひと口大に切る。
  2. 鍋に水・塩・かぼちゃを入れて火にかける。
  3. やわらかくなったらバターを加えて仕上げる。

ポイント
砂糖を使わず、かぼちゃ本来の甘さを味わう“塩煮”です。

弱火でじっくり火を入れ、塩で香りをととのえる定番ソテー。秋きのこの旨みがぎゅっと濃縮されます。

レシピ|塩きのこのじっくりソテー

材料
しめじ 1袋/舞茸 1袋/塩 少々/油 適量

作り方

  1. フライパンに油をひき、弱火でじっくり加熱。
  2. 水分が飛んできたら塩をふる。
  3. 軽く焼き色がついたら完成。

ポイント
弱火で香りを逃さない“秋きのこ”の定番ソテー。

カリッと揚げたさつまいもに塩をふるだけの素朴なおいしさ。おかずにもおやつにもなる万能な一皿です。

レシピ|さつまいもの塩から揚げ

材料
さつまいも 200g/片栗粉 適量/塩 少々/油 適量

作り方

  1. さつまいもは薄切りにし、5分ほど水にさらす。
  2. 水気をふいて片栗粉をまぶす。
  3. 中温の油で揚げ、熱いうちに塩をふる。

ポイント
おやつにも副菜にも使える“止まらないおいしさ”。


おわりに|しみじみ秋のごちそう

秋の野菜は、手をかけすぎなくても、塩ひとつで驚くほどおいしく仕上がります。
焼くだけ、蒸すだけ、揚げただけ——そのシンプルさが、かえって旬の味を際立たせてくれます。

台所にあるふつうの塩で、いつもの秋野菜がぐっと豊かな一皿に。
今だけの“しみじみした美味しさ”を、どうぞゆっくり楽しんでみてください。


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