~和ごころ素材図鑑~
このシリーズでは、季節ごとの食材をていねいに紹介しています。
野菜や魚、乾物やお肉など、和食に寄り添う素材たちの魅力を知って、台所でのひとときをもっと楽しく。

青々とした茎と葉が印象的な「空心菜(くうしんさい)」。

名前のとおり中が空洞になっていて、シャキシャキとした歯ごたえが魅力の夏野菜です。

かつては「ちょっと変わった野菜」と思われがちだった空心菜。最近では夏から秋にかけてスーパーにも並ぶようになり、気軽に楽しめるようになってきました。

クセが少なく、にんにくや油と相性がよいのも特徴。さっと強火で炒めれば鮮やかな緑色が残り、食欲をそそる一皿に仕上がります。

今回は、そんな空心菜の旬や特徴、栄養、そして簡単にできる和食レシピをご紹介します。


空心菜ってどんな野菜?

空心菜(くうしんさい):ヒルガオ科サツマイモ属。原産:熱帯アジア

英語では「ウォーター・スピナッチ」、中国語では「空心菜(コンシンツァイ)」と呼ばれ、アジア各国の家庭料理や屋台料理に欠かせない青菜です。

空心菜には大きく分けて「葉が細長いタイプ」と「葉が丸みを帯びたタイプ」があり、市場に出回るのは細葉型が多く見られます。

茎は淡い緑色で、断面を見るとストローのように中が空洞になっています。これが「空心菜」と呼ばれるいわれです。

日本では沖縄県や鹿児島県など温暖な地域で栽培され、近年は本州でも夏野菜として少しずつ流通が増えてきました。

クセが少なく食べやすいため、炒めものやおひたしなど、和食の食卓にも取り入れやすい野菜です。


空心菜の旬は 初夏から初秋(6月〜9月頃)。高温多湿を好むため、日本では夏の暑さに強い「真夏の葉物」として重宝されています。

国産の主な産地は沖縄県・鹿児島県・熊本県など南九州。関東近郊では千葉県や茨城県でも少量生産されています。

また、オフシーズンには台湾や中国からの輸入品も見られますが、やはり旬の国産はみずみずしく、食感も格別です。

農林水産省の資料でも、夏から初秋にかけて多く流通する夏野菜のひとつとして紹介されています。

また、沖縄県の公式サイトでは、空心菜(エンサイ)は『島野菜』として親しまれ、炒めものや汁物に広く利用されていると紹介されています。


空心菜の一番の特徴は、なんといっても茎のシャキッとした歯ごたえ! そして、葉のやわらかさのコントラストです。クセや苦みが少なく、ほうれん草や小松菜よりもすっきりとした味わいです。

油やにんにくとの相性が良く、炒め物にすると香りと旨味がぐんと引き立ちます。


空心菜はビタミンやミネラルが豊富で、特に βカロテン(ビタミンA)、ビタミンC、カルシウム、鉄分 を多く含みます。(出典:文部科学省『食品成分データベース』)

  • βカロテンは抗酸化作用があり、目や肌の健康に効果的。
  • ビタミンCは疲労回復免疫力の向上に役立ちます。
  • カルシウムや鉄分は骨や血液をサポートし、夏バテしやすい時期の栄養補給にぴったり。

まさに、夏の体を元気に保つ緑の食材ですね!


おいしい空心菜の選び方

新鮮な空心菜を選ぶには、次のポイントをチェックします。

  • 葉の色濃い緑色でツヤがあるもの。黄色や黒ずみがあるものは避ける。
  • 茎の状態:しっかりとハリがあり、折るとパキッと音がするくらいのもの。
  • 切り口:瑞々しく変色していないもの。

購入したらできるだけ早めに調理しましょう!


料理のポイントとコツ

空心菜を、より美味しく食べるためのポイントをおさえておきましょう。

  1. 下処理
    • 茎は斜めに切ると火が通りやすく、食感がやわらかくなります。
    • 葉と茎は火の通り方が違うので、茎を先に、葉を後から入れるのがコツ。
  2. 炒めもののコツ
    • 強火で一気に炒めること。水っぽくならず、シャキッとした食感が残ります。
    • 油との相性が良いので、ごま油・オリーブオイル・ラードなどで風味を変えるのもおすすめ。
  3. 味付けの工夫(例)
    • 和風:しょうゆ+だし、みりん少々
    • 中華風:にんにく+豆板醤+オイスターソース
    • アジア風:ナンプラー+唐辛子+レモン汁

🍳 空心菜のおすすめ和食レシピ3選

空心菜を使った、お手軽にできる簡単レシピを紹介します♪

香ばしいじゃことにんにくの風味で、ご飯が進む夏の定番副菜です。

レシピ|空心菜とじゃこのにんにく炒め

材料(2人分)

  • 空心菜…1束(200g)
  • ちりめんじゃこ…大さじ2
  • にんにく…1片(みじん切り)
  • ごま油…大さじ1
  • しょうゆ…小さじ2
  • 酒…小さじ2

作り方

  1. 空心菜は5cm幅に切り、茎と葉を分ける。
  2. フライパンにごま油とにんにくを入れて弱火で香りを出し、じゃこを炒める。
  3. 中火にし、茎を先に加えて1分炒め、葉を加えてさらに1分。
  4. しょうゆ・酒を回しかけ、強火でさっと炒め合わせて完成。

コツ:茎と葉を分けて炒めることで、食感のコントラストが楽しめます。

\詳しいレシピ記事はこちら♪/

油を使わずさっぱり。お弁当や作り置きにもおすすめです。

レシピ|空心菜のおひたし(だししょうゆ風味)

材料

  • 空心菜…1/2束(100g)
  • だし汁…100ml
  • しょうゆ…小さじ2
  • みりん…小さじ1

作り方

  1. 空心菜を5cm幅に切る。
  2. 熱湯で茎を30秒、葉をさらに20秒ゆで、冷水に取って水気をしっかり絞る。
  3. 器に盛り、だし汁・しょうゆ・みりんを合わせたつけ汁をかける。

コツ:時間をかけずにゆでるのがポイント。青々とした色とシャキッと感を残します。


油揚げのコクがしみて、和のおかずとしてどこかホッとする味わいです。

レシピ|空心菜と油揚げの炒り煮

材料

  • 空心菜…1束(200g)
  • 油揚げ…1枚(短冊切り)
  • だし汁…200ml
  • しょうゆ…大さじ1
  • みりん…大さじ1
  • ごま油…小さじ1

作り方

  1. 空心菜は5cm幅に切り、茎と葉を分ける。
  2. 鍋にだし汁・しょうゆ・みりん・油揚げを入れ、中火で3分煮る。
  3. 茎を加えて2分煮、最後に葉とごま油を加えてさっと煮含める。

コツ:仕上げにごま油を加えると香りが立ち、和風ながらコクが増します。


おすすめ保存方法

  • 冷蔵:湿らせたキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて野菜室へ。2〜3日で使い切るのが目安。
  • 冷凍:さっと塩ゆでして冷水にとり、水気をしっかり切ってから小分けにして冷凍。炒め物や汁物に凍ったまま使える。
  • 常温:夏場は避けたほうが無難。すぐにしおれるため、買ったら冷蔵または調理を。

葉がしおれ、茎が黒ずんできたら鮮度が落ちているサイン。できるだけ早く調理するのが空心菜をおいしくいただくコツです。


おすすめ料理アイデア

和食にも中華にも使いやすい空心菜。いろいろな料理でつかえるので、機会があったら是非ためしてみてください。

  • 和食:おひたし、しょうゆ炒め、味噌和え、煮びたしなど。油揚げやしらすとの組み合わせがおすすめ。
  • 中華:にんにく炒め、オイスターソース炒め、豆板醤を使ったピリ辛炒め。定番の屋台料理。
  • アジア風:ナンプラー炒め、エビとの炒め物、レモン汁を効かせた爽やかな炒め。

和・中・アジアのどの料理にも自然に馴染む万能さが、空心菜の魅力です♪


おわりに

シャキッとした歯ざわりと油との相性の良さで、暑い夏でも食欲をそそる一品です。

今回のように、中華風の炒め物はもちろん美味しいですが、意外にも和の調味料とも好相性。だしやしょうゆと合わせれば、ほっこりと懐かしい和の副菜に早変わりします。

旬の時期にぜひ取り入れて、夏らしい食卓を楽しんでみてください♪


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