~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。

「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。

暦の上では夏。けれど6月の空気は、まだどこか重たく、湿り気を帯びていますね。

梅雨に入り、気温も湿度も上がるこの時期は、体も心も、知らないうちに疲れがたまりやすい季節。

そんな6月の行事食は、華やかさよりも 「整えること」「無事を願うこと」が大切にされてきました。

梅雨に備えて保存食を仕込み、一年の折り返しに、半年分の穢れを祓う。どれも、日々の暮らしを穏やかに続けていくための知恵です。

このページでは、入梅から夏越の祓まで、6月を静かに味わう行事と、その食文化をまとめています。

食卓から、少しずつ夏への準備をはじめてみませんか。


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6月の行事食カレンダー

2026年 6月の主な行事

6月1日(月)   衣替え
・6月11日(木)頃  入梅(時期の目安)
・6月21日(日)  父の日
・6月21日(日)  夏至
・6月30日(火)  夏越の祓

日付・時期行事名主な意味・由来食文化・食べるもの
6月11日頃入梅梅雨入りの目安。季節の変わり目を知る節目梅仕事(梅干し・梅シロップなど)
6月第3日曜父の日日頃の感謝を伝える家庭行事好物料理・少し特別な献立
6月30日夏越の祓半年の穢れを祓い、無病息災を願う水無月、小豆・雑穀(雑穀粥)

※このほか、地域によっては6月に田植えを終え、「早苗饗(さなぶり)」と呼ばれる食の習わしが行われることもあります

鬱陶しく感じる梅雨の合間にこそ、行事食を愉しむ余裕を、大切にしたいですね。

👉 季節ごとの行事食をまとめたページもあります。
暦と食卓を行き来しながら、四季の流れを味わってみてください。
🔗1月~12月年間行事食まとめ


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6月の主な行事と食文化

6月は、季節の移ろいを静かに感じる行事が続く月。それぞれの行事に込められた意味と、行事食の背景を見ていきましょう。

◆ 時期

6月11日頃(年によって前後します)

◆ 由来・意味

入梅とは、暦の上で梅雨に入る目安とされてきた節目です。ちょうどこの頃、梅の実が熟し始めることから「梅」の字が使われています。

本格的な雨の季節を前に、昔の人は天候の変化に備え、暮らしの準備を整えてきました。

入梅は、自然のリズムを感じ取り、先回りして備えるための合図でもありました。

◆ 食文化

入梅の頃に行われてきたのが、梅干しや梅酒、梅シロップづくりといった「梅仕事」
湿気が増す季節に備え、保存性の高い食材を仕込む知恵が、食文化として根づいています。

また、さっぱりとした味付けや、酢を使った料理が好まれるのもこの時期。重くなりがちな梅雨の食卓を、軽やかに整える工夫が見られます。

入梅の頃の献立例

・梅ごはん
・きゅうりとわかめの酢の物
・豆腐とみょうがの味噌汁


◆ 時期

6月第3日曜日

◆ 由来・意味

父の日は、日頃なかなか言葉にできない感謝の気持ちを、あらためて伝えるための日。

日本では母の日ほど形式が定まっていませんが、近年は家族で食卓を囲み、労いの気持ちを伝える日として定着してきました。

6月は一年の折り返しにあたる時期。
忙しい日常の中で、立ち止まり、家族の存在を見つめ直すきっかけにもなる行事です。

◆ 食文化

父の日に決まった行事食はありませんが、「少しだけ特別な一品」や「好物を用意する」など、家庭ごとの形で楽しまれています。

豪華な料理でなくても、旬の食材を使った和食や、お酒に合う小さな副菜を添えるだけでも、気持ちは伝わるもの。

気負わず、無理せず、一緒に食べる時間そのものを大切にしたい行事です。

父の日の献立例

・旬魚の塩焼き
・冷やし茶碗蒸し
・小鉢(枝豆・冷やしトマト など)
・季節のごはん


茅の輪

◆ 時期

6月30日

◆ 由来・意味

夏越の祓は、一年の折り返しにあたる6月の終わりに、この半年間で知らず知らずのうちに身についた穢れを祓い、残りの半年を無事に過ごせるよう願う神事です。

神社では「茅の輪(ちのわ)」をくぐる風習があり、心身を清め、新たな気持ちで夏を迎える節目とされてきました。

梅雨の重たさや、日々の疲れがたまりやすいこの時期に、立ち止まって自分を整える——
夏越の祓は、そんな意味合いも持つ行事です。

◆ 食文化

夏越の祓の行事食として知られているのが、和菓子の水無月(みなづき)

三角形の外郎(ういろう)生地に小豆をのせた菓子で、小豆の力で邪気を祓い、暑気払いを願う意味が込められています。

地域や家庭によっては、小豆を使った料理や、雑穀ごはんなどを食卓に取り入れることも。身体に負担をかけない、やさしい食事が好まれてきました。

夏越の祓の献立例

水無月

・水無月
・雑穀ごはん(雑穀粥)
・小豆入りの副菜
・野菜中心の汁物


ミニコラム6月の行事食が教えてくれること

6月の行事食には、「特別なごちそうを用意する日」は、あまり多くありません。

そのかわりに見えてくるのは、季節の変わり目に備え、心や体をそっと整えるための食のかたちです。

梅雨に入る前に保存食を仕込み、家族への感謝を食卓で伝え、一年の折り返しに、無事を願って身を清める。

どれも、派手さはなくても、日々の暮らしを穏やかに続けていくための知恵。

湿り気の多い季節だからこそ、食べるものや食卓の時間が、気持ちのよりどころになることもあります。

6月の行事食は、「無理をしないこと」「整えること」を思い出させてくれる、やさしい節目なのかもしれませんね。


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おわりに|梅雨の季節を、やさしく乗り越える

雨が続き、空も気持ちも重たくなりがちな6月。
ですが暦をたどってみると、この月には、暮らしを整えるための節目がいくつも用意されていることがわかります。

梅雨に備えて仕込みをし、家族への感謝を食卓で伝え、一年の折り返しに、無事を願って身を整える。

どれも大げさなことではなく、日々を続けていくための、ささやかな区切りですね。

鬱陶しく感じる梅雨の合間でも、行事食を愉しめる心の余裕があれば、季節の見え方は、きっと少し変わってくるはず。

6月の行事食が、夏へ向かう準備のひとときとして、食卓にそっと寄り添ってくれますように。

最後までお読みくださりありがとうございました。

参考元

  • 国立天文台「暦計算室」
    (二十四節気・入梅・夏至などの暦情報)
  • 神社本庁 公式サイト
    (夏越の祓・茅の輪くぐりの由来)
  • 農林水産省「和食文化・行事食」関連ページ
    (季節の食文化・行事と食の関係)

※この記事は、上記資料を参考にしながら、家庭で親しまれてきた行事食や食文化をもとに構成しています。


夏を迎える7月の行事食については、七夕土用の丑の日を中心に、別の記事でまとめています。
👉🔗7月の行事食まとめ


月ごとの行事と食文化を、一覧でまとめています。
👉 🔗一年を通して楽しむ行事食はこちら

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