~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。

「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。

いよいよ夏本番の8月。ジリジリとした暑さが続き、キッチンに立つのも少し億劫に感じる日が増える時期ですね。

でも、昔の人はそんな厳しい暑さのなかでも、お盆をはじめとする行事を通じて、ご先祖さまに感謝したり、旬の恵みで体をいたわったりと、心豊かな食卓を大切にしていました。

「暑い中、何品も作るのは大変…」 そんな風に頑張りすぎなくても大丈夫。火をなるべく使わない工夫や、切るだけのシンプルなアイデアで、8月らしい涼やかな食卓はちゃんと作れます。

今回は、8月に楽しみたい行事食と、手軽に取り入れられるおいしい献立のアイデアをご紹介します。


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8月の行事食カレンダー

2026年・8月の暦と行事の流れ

・8月7日   立秋(二十四節気)
・8月13日  お盆・迎え盆
・8月14日〜15日 お盆(中日)
・8月16日  送り盆
・8月23日  処暑(二十四節気)

※2026年の夏土用は、7月20日(月)〜8月6日(木)。8月6日までが土用期間にあたり、立秋(8月7日)を境に暦の上では秋を迎えます。

時期行事名意味・由来行事食・食の習わし
8月上旬頃
(2026年は7日)
立秋暦の上で秋の始まり。夏土用が明け、季節の節目を迎える日。胃腸をいたわる料理、冷やしすぎない和食
8月13日〜16日頃お盆祖先の霊を迎え、感謝とともに過ごす期間。精進料理、そうめん、夏野菜の煮物、盆菓子
お盆最終日(地域差あり)送り火・灯籠流し迎えた祖先を再び送り出す行事。残りものを活かした食事、慎ましい献立に
8月下旬頃
(2026年は23日)
処暑暑さが和らぎ始める頃。夏から秋への切り替え期。根菜の煮物、具だくさん味噌汁、体を整える食事

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夏から秋へ。暦とともに移ろう9月の行事と、季節を迎える和ごはんをまとめています。


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それぞれの暦と行事、行事食の考え方

8月7日頃「立秋(りっしゅう)」(2026年は8月7日)

~暦のうえでの秋の始まり。夏の疲れを静かに整える節目~

8月に入ってまもなく迎える「立秋」。二十四節気のひとつで、暦のうえではこの日から「秋」が始まるとされています。

「えっ、8月上旬なんて一年で一番暑い時期じゃない?」と思われるかもしれません。確かに実際には厳しい暑さが続きますが、昔の人は、この日を境に吹く風のなかに、ほんの少しずつ秋の気配を探そうとしてきたのかもしれませんね。

また、体調を崩しやすかった「夏の土用」が明け、ひとつの区切りを迎える大切な節目でもあります。

立秋には「決まった行事食」は特にありません。 だからこそ、頑張って特別なものを用意するのではなく、「土用の疲れを残さないよう、胃腸にやさしい食事で体をいたわる日」にしてみませんか?

冷たい麺類やアイスに手が伸びがちな時期ですが、立秋の日は少しだけ「冷やしすぎない料理」や「出汁(だし)の力」を意識して、お腹を休めてみて。

【立秋の和ごころ献立例(一汁三菜)】

  • 主食: あったか白ごはん
  • 主汁: 豆腐とみょうがの味噌汁
    (爽やかなみょうがの香りが、夏の胃腸を優しく刺激してくれます)
  • 主食:豚肉のさっぱり生姜焼き
    (生姜の力で冷えたお腹を温め、夏の疲れをリセットします)
  • 副菜: かぼちゃの含め煮🔗
    (出汁を効かせて優しく煮含めた、ほっこりする甘み)
  • 副々菜: トマトのひんやりお浸し

冷たいおかずだけに偏らず、温かいお味噌汁や出汁の効いた煮物、そして生姜の力を組み合わせることで、夏の疲れが溜まった胃腸を内側からじんわり整えてあげてください^^


8月13日〜16日頃「お盆(おぼん)」

~ご先祖さまを温かく迎え、家族の健康を願う~

8月の大きな行事といえば「お盆」ですね。 ご先祖さまや亡くなった大切な人の魂が、一年に一度、お家に帰ってくる期間とされています。

お盆の行事食としておなじみなのが「精進料理(しょうじんりょうり)」です。 命を大切にする仏教の教えから、お肉やお魚を使わず、お野菜や穀物、お豆腐などを中心に作られます。

また、ご先祖さまが迷わず帰ってこられるように「お迎え団子」をお供えしたり、お盆の終わりには「送り団子」を用意したりする風習もあります。

地域によっては、夏バテ予防も兼ねて、ひんやり冷やした「そうめん」をお供えして、みんなでいただく習慣も根付いています。

落雁やまんじゅうなどの盆菓子を、供えたあとに家族でいただく地域もあります。

お盆は帰省や親戚の集まりなどで、何かと慌ただしくなりがち。

お盆の食卓は、じっくり煮込まなくてもコクが出る厚揚げや、切るだけで美味しいお豆腐を上手に味方につけて、引き算の工夫をしてみましょう。

【お盆の和ごころ献立例(一汁三菜)】
  • 主食: 生姜香る、なすの炊き込みご飯(なすを丸ごと入れて炊くだけ!)
  • 主汁: 季節のお野菜たっぷり、すまし汁
  • 主菜: 厚揚げと夏野菜のサッと煮(旨味の詰まった厚揚げを使えば、短い煮込み時間でも大満足のおかずになります)
  • 副菜: ひんやり、冷奴のオクラたたきのせ
  • 副々菜: きゅうりとワカメの酢の物

★お肉やお魚を使わなくても、厚揚げや大豆製品を主菜に選ぶことで、体に優しく食べ応えのある精進メニューになります。

時間をかけて手作りしなくても、お豆腐を切ったり、夏野菜をそのまま並べたりするだけで大丈夫。ご先祖さまを迎える優しい気持ちはしっかり伝わりますよ。

【ミニコラム】お盆に飾る「きゅうりの馬」と「なすの牛」のやさしい秘密

お盆の時期、お仏壇の近くに、きゅうりとなすに箸の足を刺した可愛い置物が飾られているのを見たことはありませんか? これらは「精霊馬(しょうりょううま)」と呼ばれる、ご先祖さまが行き来するための大切な乗り物です。

  • きゅうりの馬:「あの世からお家へ、馬に乗って一刻も早く帰ってきてね」という願い。
  • なすの牛:「お家からあの世へ帰るときは、牛に乗ってのんびり、たくさんのお土産を積んで気をつけて帰ってね」という願い。

正確には、きゅうりの馬はお家(内側)を向き、なすの牛は外側を向いて飾られるのだそう。

「早く会いたい、名残惜しいけれどゆっくり帰ってね」 そんな、残された人たちのどこまでも優しい、ご先祖さまへの思いやりが詰まった、愛おしい日本のしつらえです。


8月23日頃「処暑(しょしょ)」(2026年は8月23日)

~暑さが和らぐサイン。夏から秋へ、体を優しく着地させる~

8月の終盤に迎えるのが「処暑」です。
「処」という漢字には「おさまる、とどまる」という意味があり、処暑は文字通り「厳しい暑さが峠を越えて、和らいでいく時期」。

日中の日差しにはまだ夏の名残があるものの、朝夕の涼しい風や空の高さに、少しずつ秋の気配を感じられる時期ですね。

この時期の体は、ひと夏を乗り切った疲れがドッと出やすいタイミング。 立秋のときと同じように特別な行事食はありませんが、この処暑の日は「がんばってくれた内臓を、内側からじんわり温めて整える日」にしてみませんか?

冷たいものに手が伸びがちだった日々から、少しずつ秋の食卓へ。根菜やお豆の優しさを借りて、お腹の中からホッとする献立を意識してみましょう。

【処暑の和ごころ献立(一汁三菜)】

  • 主食: 雑穀入りごはん(プチプチした食感が楽しく、栄養も満点です)
  • 主汁: 具だくさんのみそ汁(冷蔵庫の余り野菜を何でも入れて、温かい栄養をスープごといただきます)
  • 主菜: ひき肉と豆腐のトロッとそぼろ煮(フライパンでサッと炒めて煮るだけ。とろみをつけることで、温かさが体にじんわり染み渡ります)
  • 副菜: 里芋や大根の含め煮(ほっこりとしたお出汁の味で、お腹の中からホッと安心させて)
  • 副々菜: 青菜のおひたし(ほうれん草や小松菜など、さっぱりと箸休めに)

★体を冷やしすぎないよう、温かいお汁ものや、お出汁の効いた根菜、トロッとした温かい主菜を組み合わせて、内側からゆっくり整えていく献立です。

夏を乗り切った体は、自分が思う以上にクタクタなはず。処暑の日は、フライパンひとつでできる温かいそぼろ煮とお味噌汁で、がんばった体に『お疲れさま』を伝えてあげてください


~夏野菜の素材別レシピを知りたい方へ~
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おわりに|暮らしに寄り添う、優しい和ごころ

お盆という行事は、普段は忘れてしまいがちな「ご先祖さまとのつながり」や「自分の命のありがたみ」を、そっと思い出させてくれる大切な節目です。

だからこそ、お料理をがんばりすぎて、あなたが疲れてしまっては元も子もありません。できる範囲で暮らしの中に季節を迎え入れること。その心地よい丁寧さこそが、何よりの「和ごころ」です。

今月も、無理せず、おいしく食べて、健やかな毎日をお過ごしくださいね。


※この記事は、以下の資料などを参考に、現代の家庭で手軽に楽しめるアイデアとしてご紹介しています。

【主な参考資料】

  • 日本の歳時記・年中行事事典めています。
  • 農林水産省「うちの郷土料理」

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