―― 時間が育てる、うま味の知恵 ――

乾物は、旬の恵みを大切に使い切るために生まれた、日本の台所の知恵です。
乾かすことで引き出される、やさしいうま味。
水に戻すことで、ふたたび広がる香りと味わい。
和ごころ素材図鑑【乾物シリーズでは、乾物それぞれの背景や使い方を、暮らしに寄り添う目線でご紹介していきます。

巻き寿司の具としておなじみの「かんぴょう」。
甘辛く煮たあの素朴な味は、どこか懐かしさを感じる和食の定番ですよね。

かんぴょうは、夕顔(ゆうがお)というウリ科の実を細くむき、干して作る乾物。乾燥させることで保存性が高まり、戻すとやわらかくなってだしや調味料をよく吸う食材になります。

太巻き寿司だけでなく、煮物や和え物などにも使いやすく、台所にひと袋あると重宝する乾物のひとつです。

この記事では

・かんぴょうとはどんな食材か
・産地や特徴
・戻し方と下処理
・おすすめの食べ方

などを、台所目線でわかりやすく紹介します。


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『かんぴょう』とは

かんぴょう(干瓢)は、夕顔(ゆうがお)の実を細くむいて干した乾物です。

夕顔はウリ科の植物で、実はとても大きく、長さ30〜50cmほどになることもあります。ラグビーボールのような形をした大きな実の果肉を帯状にむき、干して乾燥させたものが「かんぴょう」です。

乾燥させることで保存性が高まり、水で戻すと柔らかくなり、だしや調味料をよく吸う食材になります。

  • 太巻き寿司の具
  • ちらし寿司
  • 煮物
  • 和え物

など、さまざまな料理に使われています。


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かんぴょうの産地と旬

現在、日本のかんぴょうの多くは栃木県で生産されています。

栃木県は全国生産のほとんどを占める産地で、江戸時代からかんぴょうづくりが盛んでした。

原料となる夕顔の収穫は夏(7〜8月)。その後、果肉をむいて天日干しし、乾物として出荷されます。

乾物なので一年中手に入りますが、夏につくられた新物のかんぴょうは香りがよいといわれます。


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かんぴょうの特徴

かんぴょうの魅力は、なんといってもやさしい食感と味のしみ込みやすさです。

戻したかんぴょうは、ほどよい弾力とやわらかさがあり、煮ると調味料やだしをしっかり吸ってくれます。

味そのものは強くないため、

  • 甘辛く煮る
  • だしでさっと煮る
  • 和え物にする

など、料理によってさまざまな味わいに変化します。

また、乾物ならではの保存性の高さも魅力のひとつ。常備しておくと、ちょっとした副菜や巻き寿司の具に便利です。


かんぴょうの栄養

かんぴょうは、食物繊維を多く含む乾物として知られています。

とくに不溶性食物繊維が豊富で、腸の働きを助ける食材といわれています。

そのほかにも

  • カリウム
  • カルシウム

などのミネラルが含まれています。

乾物は量が軽く見えますが、戻すと意外とボリュームがあるので、副菜としても満足感が出やすい食材です。


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かんぴょうの戻し方(基本)

乾物のかんぴょうは、塩でもんでから戻すのが基本です。

STEP1
水で軽くぬらす
STEP2
塩(少量)をふり、軽くもむ
STEP3
水で洗い流す
STEP4
たっぷりの水で10分ほど戻す

STEP5
やわらかくなるまで下ゆでする(5〜10分)

この下処理をしておくと、独特のにおいが抜けて食べやすくなります。

※急ぐ場合は、水で戻さずそのまま下ゆでしても使えます。

乾燥したかんぴょうには、保存のための加工による独特の香りが残っていることがあります。

そのため、このような下処理を行うと、香りがやわらいで食べやすくなります。

この工程は昔から家庭で行われてきた、乾物をおいしく食べるための知恵のひとつです。


定番の食べ方

かんぴょう料理の定番は、砂糖・しょうゆで甘辛く煮たもの。巻き寿司やちらし寿司の具としてよく使われます。

巻き寿司の具としておなじみの、甘辛いかんぴょう。
家庭でも作りやすく、干し椎茸も一緒に仕上げる基本の甘煮レシピを紹介しています。

【 干し椎茸とかんぴょうの甘煮】レシピ記事へ

栃木県で親しまれる煮物

かんぴょうは、煮物の具としてもおすすめ。

例えば

干し椎茸とかんぴょうの煮物🔗
・高野豆腐との煮物
・ひじき煮

など、乾物同士の組み合わせは特に相性がよく、だしの旨みがしっかりなじみます。

また、戻したかんぴょうを結んで煮物に使う場合も。

栃木県では、結んだかんぴょうを煮物にした料理が郷土料理として紹介されることもあります。

おせち料理の昆布巻き

かんぴょうは、料理を結ぶための「ひも」として使われることも多いです。

細長く、煮るとやわらかくなる性質を活かした和食ならではの使い方ですね。

・昆布巻きを結ぶ
・油揚げの巾着を縛る
・その他、様々な食材をまとめる

など、料理の形を整えるために使われます。

このときも、塩でもんで洗い、下ゆでして柔らかくしたかんぴょうを使います。

やわらかくしておくと結びやすく、煮てもほどけにくくなります。


保存方法

乾燥かんぴょうは、湿気を避けて保存することが重要です。

  • 未開封→ 冷暗所で長期保存可能
  • 開封後→ 密閉容器に入れて保存

湿気が多い時期は、冷蔵庫保存にすると安心です。

戻したかんぴょうは日持ちしないため、早めに調理するようにしましょう。


おわりに

かんぴょうは、巻き寿司の具としての印象が強い食材ですが、煮物や副菜にも使いやすい、やさしい味わいの乾物です。

だしや調味料をよく吸うので、少し加えるだけでも料理に深みが出ます。

乾物は扱いがむずかしそうに感じるかもしれませんが、戻してしまえば、意外と気軽に使えるもの。

台所にひと袋あると、和食の献立の幅を広げてくれる食材かもしれませんね。

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甘辛く煮たかんぴょうは、日持ちもしやすく作り置きにも向く副菜です。
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参考元

・農林水産省|うちの郷土料理・食材情報
・栃木県公式サイト|かんぴょうについて
・日本食品標準成分表(文部科学省)

※この記事は、上記資料を参考にしながら、家庭の台所で使いやすい形でまとめています。

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