~和ごはん歳時記~
季節がひとつ動くたびに、台所にも小さな変化が訪れます。
昔から受け継がれてきた行事や、その日に食べたい和のおかずたち——そんな“季節のしるし”を、日々のごはんといっしょに楽しんでみませんか。

「和ごはん歳時記」では、その月らしい習わしや、心ほっとする和のごはんをやさしくお届けします。季節の台所に、そっと寄り添うことができますように。

お正月の食卓や床の間に置く鏡餅
毎年なんとなく飾っているけれど、「なぜ丸いの?」「どうして重ねるの?」と素朴な疑問について、意外と知らないことも多いかもしれませんね。

鏡餅は、新しい年を迎えるための祈りのかたち。

この記事では、鏡餅の意味・由来・形に込められた願いを、台所目線でやさしくひもといていきます。


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鏡餅とは?正月に供える理由

まず、鏡餅は、お正月に年神様(としがみさま)をお迎えするためのお供え物。
年神様は、その年の豊作や家族の健康をもたらす存在とされ、松の内( 下記参照)のあいだ各家庭に滞在すると考えられてきました。

そのため本来の鏡餅は、

  • 神様を迎える「目印」
  • 神様が宿る「依り代(よりしろ)」
  • 年の始まりに願いを託す「祈りの象徴」

として、正月のあいだ大切に飾られるものです。

松の内(まつのうち)』とは・・・

年神様をお迎えし、松飾りを飾ってお正月を過ごす期間のこと。
関東では1月7日まで、関西では1月15日までとする地域が多く、松の内が明けると正月飾りを下げ、鏡餅も片付けます。


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鏡餅の丸い形に込められた意味

鏡餅の最大の特徴は、なんといっても角のない丸い形
この形には、次のような意味が込められているとされます。

  • 円満・調和・家庭円満
  • 人間関係が穏やかにおさまる願い
  • 夫婦円満・家族の和

また、鏡餅の形は、古代の青銅鏡を模したものという説が有力です。昔の鏡は丸い形をしており、神聖なものとして祭祀に使われていました。

そのころの鏡といえば、

  • 太陽や月を象徴するもの
  • 神様を映し、招くための道具

と考えられていたため、鏡の形をした餅=神様を迎えるための特別なお供えとなったと考えられます。


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鏡餅はなぜ二段?重ね方の意味

鏡餅は一般的に、大小二つの餅を重ねた二段重ね。この重ね方にも、きちんと意味があります。

  • 「年(歳)を重ねる」象徴
     → 新しい年も、無事に歳を重ねられるように
  • 陰と陽の調和
     → 大小の餅を「月と太陽」に見立てる考え方
  • 福が重なる
     → 良いことが二重に訪れる吉兆のかたち

さらに、上にのせる橙(だいだい)は、「代々家運が続く」という語呂合わせから生まれた縁起物。

鏡餅全体で、家族の繁栄と、途切れない幸せを願う形になっています。


ミニコラム鏡餅の基本的な飾り方

💡鏡餅の基本的な飾り方

鏡餅は、もともと年神様をお迎えするお供え物。そのため、家の中でも清らかで人の目に入りやすい場所に飾るのが基本とされています。

一般的には、次のような場所が選ばれてきました。

  • 床の間(もっとも正式)
  • 神棚の前・下
  • 家族が集まる居間や食卓の近く

鏡餅は、大小二段に重ね、上に橙(だいだい)をのせる形が基本。

三方(さんぽう)と呼ばれる台に乗せたり、紅白の紙垂(しで)や四方紅(しほうべに)、地域や家庭によっては、裏白(うらじろ)やゆずり葉、昆布、干し柿などの縁起物を添えることもあります。

こうした正式な飾り方がある一方で、現代の暮らしでは、住宅事情や家族構成もさまざま。
だからこそ、無理のないかたちで風習と向き合うことも、大切にしたいですね。


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鏡開きの日が地域で違う理由

鏡餅は、松の内が明けたあとに「鏡開き」をしていただきます。この鏡開きの日は、地域によって違いがあります。

  • 関東:1月11日
  • 関西:1月15日 または 20日(地域差あり)

この違いは、江戸時代の制度と風習の名残による影響です。

江戸(関東)では「松の内」を1月7日までと定め、松飾りを片付けたあと、11日に鏡開きを行うようになりました。

一方、京・大阪(関西)では「松の内」を15日までとする風習が続き、そのため鏡開きも15日、または20日に行われる地域が残っています。

つまり、松の内が終わる→ 鏡餅を下げる、という流れは同じでも、松の内の日付が違ったため、鏡開きの日にも地域差が生まれたというわけです。

鏡開きの意味や、お餅の食べ方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
鏡開きの意味・食べ方🔗


現代の暮らしに合う鏡餅との向き合い方

現在は市販の鏡餅や、個包装タイプもたくさん売られていますね。
昔はひとつひとつ手作りをしていましたが、形にこだわらなくても、手軽に取り入れられる方法でいいと思います。

大切なのは、自分や家族、大切な人を想い、新しい年を迎えられたことへの感謝と幸せを願うこと。

現代の暮らしでは、住宅事情や家族構成もさまざまです。肩の力を少し抜くことで、昔からの大切な習わしは、無理なく、長く続いていく。
そんな向き合い方も、今の時代にはふさわしいのかもしれませんね。


おわりに|鏡餅は“祈りのかたち”

鏡餅は、食べる前から役目を終えるまで、ずっと祈りを宿した存在。

形、重ね方、開く日——
そのひとつひとつに、家族を思う気持ちと、穏やかな一年への願いが込められてきました。

意味を知ると、お正月の風景が、少しだけ静かに、深く見えてきます。今年も、そんな思いをそっと重ねながら、お正月を過ごしてみてはいかがでしょうか。

鏡餅をはじめ、七草粥や鏡開きなど、1月の行事食とその意味をまとめてご紹介しています。季節のはじまりを、台所からゆっくり味わいたい方はこちらから。
▶[ 1月の行事食まとめ ]🔗

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