毎年お盆の時期になると、私の生まれ故郷である長野県下伊那地域のスーパーの売り場には、山のように「お饅頭」が並びます。

「お盆のお供え物かな?」と思いきや、実はこれ、「天ぷら」にするためのお饅頭です!

外はサクサク、中はふんわり甘い「天ぷら饅頭」。
なかなかの高カロリーにも関わらず、見ると思わず手が伸びてしまう、多くの地元民から愛される伝統料理です。

今回は、南信州ならではのおいしいお盆の風習と、ご家庭で簡単に作れる基本のレシピをご紹介します!


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なぜお盆に「お饅頭」を揚げるの?

南信州では、お盆(8月13日〜16日頃)にご先祖様へのお供え物としてお饅頭を用意し、それを油で揚げて食べる風習があります。

なぜ、お饅頭をわざわざ天ぷらにするのでしょうか…
考えらている理由がこちら…

昔、油や砂糖は大変貴重なものでした。
「貴重な油を使って揚げた温かいお饅頭」は、年に一度帰ってくるご先祖様や、親戚が集まる際のごちそうとして振る舞われていた名残と言われています。

夏の暑い時期、お供えしておいたお饅頭は時間が経つと硬くなってしまいます。「油で揚げることで、硬くなったお饅頭をもう一度柔らかく、美味しく食べる」という、昔ながらの生活の知恵でもありました。

現在は、お盆の時期には、地元の和菓子店はもちろん、スーパーでも「天ぷら用」と書かれた、少し皮がしっかりめの「天ぷら饅頭専用の」お饅頭がずらりとならびます。

この「天ぷら饅頭専用」というのがポイントです!
以前、私の大好きな地元では有名な老舗のお饅頭を、「これならもっと美味しくできるのでは」と天ぷらにしてみましたが・・・これは天ぷらにしたらもったいない、そのまま食べた方が断然美味しいという結論に、あっさりと達しました^^;柔らかすぎる皮のお饅頭には不向きのようです。

もちろん老舗のお饅頭でも美味しい天ぷら饅頭ができるものはあります!


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天ぷら饅頭ってどんな味?

南信州のスーパー「天ぷら用まんじゅう」売り場

「甘いお饅頭を揚げるの!?」と驚かれることも多いのですが、一口食べるとその相性の良さにハマる人が続出します。

  • 食感のギャップ:衣の「サクッ」とした歯ごたえのあと、温かくなった餡子の「とろっ」とした甘みが広がります。
  • 甘じょっぱさがクセになる:天ぷら衣の香ばしさと適度な油分、そして衣に少し塩を効かせる(または天つゆや醤油を少しつける)ことで、餡子の甘さが引き立ち、甘じょっぱい絶妙な味わいになります。

南信州では、「天ぷら饅頭はおかずか、スイーツか」という議論(?)もちらほら…。
なぜなら、お盆の食卓では海老や野菜の天ぷらと一緒に大皿に盛られ、普通にごはんのおかずとして並ぶことも珍しくないからです。


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「お饅頭を揚げる」という風習、実は南信州独特のもののように感じていたのですが、現在は長野県でも広い範囲でみられるようになったほか、実は全国のいくつかの地域にも似た食文化が存在します。

  • 福島県(会津地方)
    こちらも天ぷら饅頭が非常に有名な地域です。お盆や正月にこしあんの饅頭を天ぷらにして、醤油をかけて食べるのが定番。「天ぷら饅頭そば」も人気なのだそう。
  • 山形県(村山・置賜地方)
    お盆のお供え物を美味しく食べる知恵として伝わっています。お蕎麦屋さんの天ぷら盛り合わせに、野菜と一緒に饅頭が入っていることもあります。
  • 岐阜県(飛騨地方)
    信州と隣接する飛騨エリアでも、お盆やお彼岸に饅頭を天ぷらにして食べる文化があります。山間部の貴重な栄養源だった歴史を物語っていますよね。

地域によって「醤油をかける」「お蕎麦と食べる」など食べ方に個性がありますが、いずれも「お供え物を無駄にせず、ごちそうとして美味しくいただく」という温かい生活の知恵から生まれたものです。

【ミニコラム】駒ヶ根・伊那エリア流!「紫蘇巻き×醤油」

同じ南信州の中でも、地域や家庭によって「天ぷら饅頭」のスタイルに違いがあるのも面白いところです。

長野県南部の駒ヶ根市出身の仕事仲間がいるのですが、彼女に教えてもらったのが、お饅頭に「紫蘇(シソ)の葉」をくるりと巻いてから衣をつけて揚げるスタイル。さらに揚げたてには必ず「醤油」をかけるのだそうです。

最初は「お饅頭に紫蘇と醤油?!」と驚いたのですが、勧められるまま試してみて納得!紫蘇の爽やかな香りと醤油の塩気が、温かい餡子の甘さをぐっと引き立て、「甘じょっぱくて爽やか」な絶妙な味わいに変わります。

さらに、彼女のお母様は伊那市高遠町がご出身。ですので、天ぷらにするお饅頭は、駒ケ根市に移った現在も、必ず有名な高遠まんじゅうなのだそうですよ。

作り方は、市販の大葉(紫蘇の葉)を1枚巻いて揚げるだけ。簡単に再現できるので、機会があったらぜひ試してみてくださいね!


自宅で簡単!「天ぷら饅頭」の基本レシピ

お近くのスーパーで買える普通のお饅頭(温泉饅頭や小麦饅頭などがオススメ)を使って、ご家庭でも簡単に作ることができます。
作り方の基本は、普通に天ぷらにするだけです!
揚げたてのアツアツはもちろん、冷めても美味しくいただけます♪

  • お饅頭(こしあん、またはつぶあん):4個
    • ※皮が少し固めの「小麦饅頭」がよく合います。
  • 天ぷら粉:50g
  • 冷水:80ml(天ぷら粉の表示に合わせて調整してください)
  • 揚げ油:適量
  • 塩(お好みで):少々
STEP1
下準備をする

お饅頭は揚げやすいよう、大きければ半分に切ってもOK。

STEP2
衣を作る

ボウルに天ぷら粉と冷水を入れ、サッと混ぜ合わせる。(少しダマが残る程度に軽めに混ぜると、サクッと仕上がります)。

STEP3
お饅頭に衣をつける

お饅頭全体に、隙間なくしっかりと衣をからめる。

STEP4
揚げる

鍋に油を注ぎ、170〜180℃(衣を落とすと途中まで沈んですぐ浮き上がってくる程度)に熱し、衣をつけたお饅頭を静かに入れる。

STEP5
油を切って完成!

しっかり油を切ったら出来上がり!

  • お好みで衣にほんの少しお塩を入れたり、仕上げにパラッと塩(または抹茶塩)を振って食べると、餡子の甘さが引き立っておすすめ。

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おわりに|温かい食文化「天ぷら饅頭」をぜひ♪

南信州のお盆の風習「天ぷら饅頭」は、ご先祖様を大切にする心と、ものを美味しくいただく知恵から生まれた伝統的な郷土食です。

お盆の時期に長野県南部を訪れた際は、ぜひお店やスーパーでチェックしてみてください。また、普段のおやつとしても市販のお饅頭で簡単に作れますので、ぜひ揚げたての美味しさを試してみてくださいね。

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