~和ごころ素材図鑑~
季節の移ろいとともに、旬を迎える日本の食材たち。
そのひとつひとつには、自然の恵みと、昔から受け継がれてきた知恵が息づいています。
「和ごころ素材図鑑」では、そんな和の素材を、旬・産地・調理法・行事との関わりなど、暮らしに寄り添う目線でご紹介します。
夏が近づくと、八百屋さんやスーパーの野菜売り場にちらりと姿を見せる青唐辛子。
「辛いのは分かるけど、どう使えばいいの?」
そんなふうに、ちょっと身構えてしまう野菜かもしれませんね。
実際、見た目はししとうとよく似ていますが、青唐辛子は、ピリッとした辛みの奥に、ほんのりとした甘みとうまみを持つ、夏ならではの香味野菜です。
刻んで薬味にしたり、味噌と合わせて常備菜にしたり。使い方を知っておくと、夏の食卓がぐっと頼もしくなります。
このページでは、青唐辛子の旬や特徴、基本の下ごしらえ、家庭の台所で無理なく楽しむための使い方をまとめていきます。
そもそも「青唐辛子」ってどんな野菜?特徴や旬、赤唐辛子との違い

青唐辛子は、唐辛子の実が赤く完熟する前、緑色のうちに収穫したものを指します
同じ株から育っても、収穫のタイミングが早ければ青唐辛子に、そのまま熟させれば赤唐辛子になる、いわば「赤唐辛子の若い姿」です。
辛みの強さは品種によってさまざまで、よく見かけるピリッと辛いタイプのほか、万願寺唐辛子やししとうのように辛みのほとんどない甘い品種も、実は同じ青唐辛子の仲間にあたります。
このページでは、薬味や調味料として使われる、辛みのある青唐辛子について紹介していきますね。
旬の時期
青唐辛子の旬は、夏(7月〜9月頃)。なかでも7月後半から8月は、最も多く出回る時期にあたります。
唐辛子は完熟が進むほど辛みが強くなる性質があるため、出始めの頃の青唐辛子は、辛みがまだ穏やかなことも。盛夏に向かうにつれて、ピリッとした刺激が増していく傾向があります。
季節の移ろいで見ると、
- 走り(7月前半):辛みが穏やかで、扱いやすい
- 盛り(7月後半〜8月):出回り量が最も多く、辛みもしっかり
- 名残(9月):実が締まり、香りが強くなる
と、時期によって表情が少しずつ変わります。
主な産地

青唐辛子は全国各地で栽培されていますが、なかでも京都府や高知県は、唐辛子の産地として古くから知られています。
スーパーでよく見かける主な産地には、
- 京都府
- 高知県
- 熊本県
- 千葉県
などがあります。

京都の「伏見とうがらし」は有名ですね。夏の京野菜として、昔から愛されてきた存在です。
ちなみにプランターでも育てやすいので、お庭やベランダで青唐辛子を育てている方も意外と多いです。夏になると、ひょっこり実っている姿を見かけることも♪
特徴と味わい
豊かな風味と、変化する辛み
青唐辛子のいちばんの魅力は、ピリッとした辛みの奥にある、ほのかな甘みと旨みです。
辛みの正体は「カプサイシン」という成分。おもに種や、その周りの白いワタの部分に多く含まれています。
- 生のまま: シャープでキレのある辛さが引き立つ
- 火を通す: 角がとれて、マイルドでやわらかな辛さに変わる
調理法によって表情を変えるのも、青唐辛子ならではの面白さです。
ひとさじで料理が引き締まる、夏の味方
刻んで薬味にしたり、味噌や醤油と合わせて万能調味料にしたり、炒め物のアクセントにしたりと、使い道はバリエーション豊か。
どれも難しい手順は必要ありません。ほんの少し加えるだけで料理の印象をグッと引き立ててくれる、夏にぴったりな頼れる存在です。
【下処理の基本】辛さを調節!青唐辛子の正しい種・ワタの取り方
青唐辛子は、そのまま使うと辛みが強く出すぎてしまうことがあるため、種とワタを取り除くひと手間をしておくと、辛さの調整がしやすくなります。
辛み成分が手につくと、肌がピリピリしたり、目や口に触れると痛みを感じることがあるため、下処理の際はビニール手袋やゴム手袋をはめておくのがおすすめです。
以下は、私がいつもやっている方法をご紹介しますね。
基本の下処理
青唐辛子のヘタの部分を、包丁で少し切り落とす。

ヘタを落としたら、縦に半分に切り開く。

切り口を上に向け、包丁の先やスプーンの背を使って、中の種とワタ(白い筋の部分)をこそげ取る。少量であれば、流水で洗い流してもOK。


種が残っていると辛みが強くなるので、辛さを控えめにしたい場合は、しっかり取り除いておきましょう。
逆に、丸ごと使う料理(南蛮味噌や醤油漬けなど)では、種を残したまま使うこともあります。お好みの辛さに合わせて、加減してみてくださいね。
辛味と香りを引き立てる!青唐辛子をおいしく調理する3つのコツ
青唐辛子は、加熱すると辛みがやわらぐ性質を持つ野菜です。生のままだとシャープな辛さが立ちますが、火を通すことで角がとれ、ほんのり甘みを感じやすくなります。
基本の扱い方
辛みをしっかり効かせたいときは小口切りや粗みじんに、香りづけ程度でよいときは大きめに切るか、丸ごと使う。

生のまま薬味にするか、油でさっと炒めるか、味噌や醤油と合わせて煮るか。料理に合わせて選ぶ。
同じ青唐辛子でも、株や時期によって辛みの強さが変わるため、味見をしながら少しずつ加えるのが失敗しないコツ。

辛みを抑えたいときは、種とワタをしっかり取り除き、短時間の加熱にとどめるのがおすすめです。
【青唐辛子レシピ4選】ピリッとした爽快な辛味を楽しむおすすめの食べ方
青唐辛子は、下処理さえできていれば、辛みの量を加減することを意識するだけで、家庭の味として十分おいしく仕上がります 。
まずは、青唐辛子の魅力をシンプルに味わえる、家庭で作りやすい定番の食べ方から試してみてくださいね。
青唐辛子の醤油漬け(まずはこの一品)

青唐辛子を輪切りにして醤油に漬けるだけの、いちばん手軽な保存食。冷ややっこや納豆、炒め物の仕上げに少量加えるだけで、ピリッとした辛みのアクセントになりますよ。
南蛮味噌
青唐辛子と味噌を炒め合わせる、ご飯のお供にも、お酒のあてにもなる常備菜です。甘辛い味噌のコクと、青唐辛子のピリッとした辛みがよく合います。
青唐辛子と豚バラのピリ辛炒め
コクのある豚バラ肉と、青唐辛子のすっきりとした辛みが好相性。ご飯がすすむ、夏の定番おかずです。
青唐辛子の天ぷら
ヘタと種を除いた青唐辛子に、衣をつけてさっと揚げるだけ。辛みがやわらいで、夏らしい一品になります。
💡ミニコラム「柚子胡椒」の主役は、実は青唐辛子?

お鍋や焼き鳥、うどんの薬味に大活躍の「柚子胡椒」。爽やかな香りとピリッとした辛味が最高ですよね。
でも、この名前にちょっと違和感を覚えたことはありませんか?
そう、名前に「胡椒」って入っているのに、あの黒コショウや白コショウの風味はどこにもありません。
それもそのはず、柚子胡椒の辛みの主役は、まさしく今回取り上げている「青唐辛子」です!
「じゃあ、なんでコショウって言うの?」と思いますよね。
実は、発祥の地である九州の一部地域では、昔から唐辛子のことを「コショウ」と呼ぶ方言があります。そのため、「柚子+青唐辛子+塩」で作ったこの調味料が、そのまま「柚子胡椒」として全国に広まっているというわけです。
熟す前のフレッシュな青唐辛子と、初秋に採れる青柚子。この“青×青”のコンビだからこそ、あの目の覚めるようなキレのある辛さと鮮やかな緑色が生まれるんですね。
美味しさ長持ち!青唐辛子の正しい保存方法(生から加工後まで)
青唐辛子は鮮度が落ちやすいため、買ってきたら早めに使うのが基本。ですが、状態に合わせて保存することで、最後まで無理なく使い切ることができます。
生のまま保存する場合
下処理はせず、乾燥を防ぐことを意識します。
- 洗わずに、ポリ袋や保存袋に入れる
- 口は軽く閉じるか、少し空気を残す
- 冷蔵庫の野菜室で保存
保存の目安は 3〜4日程度。表面にハリと色つやがあるうちに使い切るのがおすすめです。
冷凍保存について
青唐辛子は冷凍にも向いており、まとめて手に入ったときの保存方法としておすすめです。
- ヘタを切り、好みで種とワタを除く
- 洗って水気をよくふき取る
- そのまま、または小口切りにして保存袋に入れて冷凍
保存期間の目安は 2〜3か月程度。凍ったまま炒め物や汁物に加えられるので、使うときに手間がかからないのも嬉しいところです。
加工して保存する場合
すぐに使い切れない場合は、醤油漬けや味噌と合わせて保存食にしてしまうのもひとつの方法です。
- 醤油漬け:冷蔵庫で1〜2週間ほど保存可能
- 南蛮味噌:冷蔵庫で1週間ほど保存可能
少量を仕込んでおくだけで、薬味や調味料として長く活用できますよ。
おわりに|夏野菜は、ピリッとひと品から
辛い野菜と聞くと、少し身構えてしまう方もいるかもしれませんね。でも青唐辛子は、ほんの少しの量から試せる、思っているよりずっと気軽な野菜です。
まずは醤油漬けをひと瓶。冷蔵庫にあるだけで、いつものご飯や冷ややっこが、ちょっと特別な一品に変わります。今日の買い物で青唐辛子を見かけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。
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参考元
- 農林水産省「野菜の旬・基礎情報」
- 東京都中央卸売市場「市場統計情報(野菜の取扱量)」
- 日本食品標準成分表(文部科学省)
※旬や産地、栄養に関する情報は、上記公的資料および生産者団体の公開情報をもとにまとめています。地域や栽培方法により、時期や状態には差があります。
