~和ごころ素材図鑑~
季節の移ろいとともに、旬を迎える日本の食材たち。
そのひとつひとつには、自然の恵みと、昔から受け継がれてきた知恵が息づいています。
「和ごころ素材図鑑」では、そんな和の素材を、旬・産地・調理法・行事との関わりなど、暮らしに寄り添う目線でご紹介します。

秋になると出回る「零余子(むかご)」。漢字からは想像ができない、不思議な名前の野菜ですよね。

でも、知ってしまうとちょっと得した気分になれる、秋ならではの素朴で趣のある食材です。見た目はかわいらしいですが、食べてみるとほくほくとした食感に山芋らしいほのかな風味が♪

この記事は零余子(むかご)がどんな野菜か、基本の調理法から、おすすめレシピまでをやさしく解説していきます。

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そもそも零余子(むかご)ってどんな食べ物?

零余子(むかご)は、山芋(ヤマノイモ)や自然薯(ジネンジョ)などのつる植物の、葉のつけ根にできる小さな球芽(きゅうが)のことです。植物学的には「肉芽(にくが)」ともよばれ、地中のイモと同じ成分をもっています。

夏から秋にかけて少しずつ大きくなり、秋が深まるとポロポロとつるから落ちてきます。

最近では農産物直売所や道の駅、スーパーの産直コーナーなどでも秋限定で見かけるようになりました。

かつては野山で拾って食べていたようですよ

零余子の旬は9月から11月ごろ、秋のほんの短い期間です。
特に10月ごろが実がしっかりして、味がのっておいしい時期といわれています。

出回る期間が短いので、見かけたときがまさに「買いどき」。農産物直売所や道の駅のほか、ネット通販でも秋限定で取り扱っているところがあります。

価格は100gあたり200〜400円前後が目安で、量のわりに少し割高に感じるかもしれませんが、秋にしか味わえない希少さを思えば、納得のいく一品です。

零余子には、エネルギーになる炭水化物のほかに、食物繊維・カリウム・ビタミンB群が含まれています。山芋の仲間らしく、消化を助ける酵素も含まれており、胃腸にやさしい食材としても知られています。

秋の滋養食として、昔から体にいいものとして食べられてきたのがよくわかります。

たくさん購入しなくても、副菜やご飯のアクセントとして十分活躍します。ちょこっと足すだけで食卓がぐっと秋らしくなりますよ。

【ミニコラム】「零余子」という字の秘密

「零余子」という字には、おもしろい意味があります

読むのにもなかなか苦労する、難しい漢字が使われていますよね。

この「零余子」という漢字は、「余りもの」「おまけの実」といったニュアンスを持っているのだそう。山芋の本体(地下にある太いイモ)に対して、つるにできる”小さなおまけの子”だから、という説があります。なんとも健気で控えめな名前がついているではありませんか^^

俳句の世界では、むかごは昔から「秋の季語(きご)」として親しまれてきました。野山の秋の風景の中に、むかごをひろう様子が詠み込まれることも多く、日本人の暮らしと季節感にしっかり根ざした食材なのだとわかりますね。


 【基本】まずはこれ!零余子のいちばんシンプルな食べ方

零余子の下処理は、とっても簡単。特別なことはなにもありません。

① 水でやさしく洗う
ボウルに水を張り、零余子を入れてやさしく洗います。表面の土や汚れを落とす程度で◎。

② 皮はむかなくてOK
零余子の皮はとても薄く、そのまま食べられます。

③ 傷んだものは取り除く
黒ずんでいたり、やわらかくなっているものは除いておきましょう。

💡ポイント
洗ったあとはペーパータオルでしっかり水気を拭き取っておきましょう。炒めたり揚げたりするときの油ハネが防げますし、焼き色もきれいにつきます。


零余子を初めて食べるなら、「塩炒り(しおいり)」がいちばんのおすすめ。フライパンひとつで作れて、調味料は塩だけ。素材そのものの味を堪能できますよ。

レシピ|零余子(むかご)の塩炒り(しおいり)

① フライパンに薄く油をひいて中火で熱する。
② 水気を拭いた零余子を入れ、転がしながら5〜8分ほど炒める。
③ 皮に薄く焦げ目がついてきたら、塩をふって完成。

💡ポイント:油なしの「から炒り」にして、仕上げに少量のバターと塩をからめるのもおすすめ。香ばしさが増してお酒のおともにぴったりです。


零余子(むかご)を使ったおすすめレシピ

塩炒りに慣れたら、ぜひいろんな料理にも使ってみてください。少量でも存在感があるので、秋の食卓がぐっと豊かになりますよ。

むかごご飯

零余子といえば、やっぱりむかごご飯。秋の炊き込みご飯の定番です。ほんのり山芋の風味がうつって、ご飯だけで幸せになれます^^。

レシピ|むかごご飯

【材料(2合分)】
・零余子 80〜100g
・米 2合
・水 通常より少し少なめ
・酒 大さじ1
・塩 小さじ1/2〜2/3
・薄口しょうゆ 小さじ1(なければ普通のしょうゆ少量)

【作り方】
① 米を洗い、少し少なめの水加減にする。酒・塩・しょうゆを加えてさっと混ぜる。
② 洗ったむかごを、混ぜ込まずそのまま上にのせる。
③ 普通に炊く。炊きあがったら底から大きく混ぜて完成。

💡ポイント:むかごは「のせるだけ」で炊くのがコツ。混ぜ込むと崩れやすくなるので、のせてそのまま炊きましょう。


ころころとした見た目もかわいく、サクッ・ほくほくの食感が楽しめます。秋の天ぷらの一品として添えると、食卓がぐっと季節らしくなります。

レシピ|むかごのかき揚げ

【材料(2〜3人分)】
・零余子 80g
・薄力粉 大さじ3〜4
・冷水 大さじ2〜3
・揚げ油 適量
・塩(または天つゆ)

【作り方】
① むかごに薄力粉をまぶしてから、冷水で軽くまとめる(衣はかために)。
② 170〜180℃の油にスプーンでそっと落とし入れる。
③ 2〜3分揚げてカリッとしたら取り出し、塩や天つゆで。

💡ポイント:衣はさっくり混ぜるだけでOK。ねばらせないのが、カラッと揚げるコツです。


あっという間に作れて、子どもも食べやすい副菜です。バターとしょうゆの香りが食欲をそそります。

レシピ|むかごのバター醤油炒め

【材料(2人分)】
・零余子 100g
・バター 10g
・しょうゆ 小さじ1〜2
・みりん 小さじ1
・(お好みで)青のり・かつお節

【作り方】
① フライパンにバターを溶かし、むかごを中火で5〜7分炒める。
② 皮がパリッとしてきたら、しょうゆとみりんを加えてからめる。
③ お好みで青のりやかつお節をふって完成。

💡ポイント:仕上げにかつお節をたっぷりのせると、風味がぐんとよくなりますよ。冷めてもおいしいのでお弁当にも◎。


零余子の保存方法

零余子は傷みやすいので、購入したら早めに使うのが基本。

【冷蔵保存】
新聞紙やペーパータオルに包んで、冷蔵庫の野菜室へ。3〜5日を目安に使い切りましょう。

【冷凍保存】
さっとゆでてから冷凍すると、1か月ほど保存できます。解凍後は炒め物や炊き込みご飯にそのまま使えます。

💡ポイント:水分に弱い食材なので、洗うのは使う直前に。保存前はよく乾かした状態で冷蔵庫へ入れるのが長持ちのコツです。


おわりに|零余子(むかご)

「むかご」という響き、なんだかほっこりとして好きです 。小さな粒ですが、食べてみると秋のおいしさがぎゅっと詰まっていて、侮れません!

塩炒りひとつでも十分においしく、むかごご飯にすれば秋の食卓がいっきに豊かになります

農産物直売所や道の駅で見かけたときは、ぜひ気軽に手に取ってみてください。きっと、秋のお気に入りの一品になりますよ♪

🔔あわせて読みたい!

むかごと同じく、この時期だけの秋野菜を楽しみたい方はこちらもどうぞ。
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お月見やお彼岸など、秋の行事にあわせた食のヒントはこちらにまとめています。
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参考資料

  1. 農林水産省「ヤマノイモ類(山の芋)」作物統計・品目別情報、農林水産省ウェブサイト
  2. 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」野菜類・やまのいも
  3. 貝原益軒『大和本草』(江戸時代の本草書)※むかごを含むヤマノイモ類に関する記述

この記事は、上記のような資料をもとに、ご家庭で楽しんでいただける形でまとめています。栄養成分は目安であり、産地や個体差によって異なる場合があります。