秋になると、店先に泥付きの里芋が並びはじめます。その中で、小ぶりの里芋を見つけたら、ぜひ作っていただきたいのが「きぬかつぎ」です。
小さい里芋ってむくの大変そう!と敬遠しがちですが、きぬかつぎは、皮ごと蒸して、頭の皮をつるんとむいて、指でつまんで口の中へポン!
とっても簡単にできる上に、ねっとり、ほくほくとした里芋本来のおいしさを、いちばんまっすぐに味わえる食べ方だと思います。
今回は、甘辛くコクのある赤だしの田楽味噌を合わせました。
里芋の選び方や、田楽味噌のアレンジもあわせてご紹介します。
きぬかつぎとは
きぬかつぎは、小ぶりの里芋を皮ごと蒸したりゆでたりして、皮を半分ほど残したまま盛り付ける料理です。
漢字では「衣被ぎ(きぬかつぎ)」と書きます。平安時代、身分の高い女性が外出するときに、顔を隠すために頭から薄い衣をかぶった姿を「衣被(きぬかず)き」と呼んでいたようで、皮を少し残した里芋の姿がそれに似ていることから、この名前が付いたといわれています。
また、里芋は昔から十五夜のお月見にお供えされてきた食材で、十五夜は「芋名月」とも呼ばれます。きぬかつぎは、お月見の定番料理としても親しまれてきました。
レシピ|里芋のきぬかつぎ~赤だし田楽味噌がけ~
材料(2〜3人分)
- 里芋(小ぶりのもの):10〜12個
《赤だし田楽味噌》(作りやすい分量)
- 赤だし味噌:50g
- 砂糖:大さじ2〜3
- みりん:大さじ1
- 酒:大さじ1
- 水(またはだし):大さじ1〜2
《仕上げ》(お好みで)
- 黒ごま、白ごま、ゆずの皮のせん切り、木の芽 など
作り方
里芋をたわしでこすりながら、流水で泥をしっかり洗い落とす。


皮ごと食べるので丁寧に洗いましょう。
付け根(親芋とつながっていた部分)を薄く切り落とし、立つようにする。
上から1/3くらいのところに、包丁で一周ぐるりと浅く切れ目を入れる。


💡ポイント
いろんなやり方があると思いますが、私は・・・
❶包丁を持った手をまな板につけて包丁の位置を固定する。
❷里芋をくるりと回転させて皮に切込みを入れる。
※皮だけ切れていれば、深く入れなくてOK
蒸気の上がった蒸し器に里芋を並べて、中火で15〜20分蒸す。竹串がすっと通れば蒸し上がり。

小鍋に田楽味噌の材料をすべて入れて、よく混ぜてから弱火にかける。木べらで絶えず混ぜながら2〜3分練り、つやが出て、ぽってりとなったら火を止める。


冷めると少し固くなるので、ややゆるめで止めるのがコツです。
切れ目から上の皮をつまんでむき、田楽味噌をのせる。お好みでごまやゆずの皮を添えて完成。
おいしく作るポイント
皮ごと蒸せば、手がかゆくならない
生の里芋の皮をむくと手がかゆくなるのは、里芋に含まれる「シュウ酸カルシウム」という成分のため。きぬかつぎは皮ごと加熱してからむくので、生の里芋に直接触れずにすみ、かゆくなりにくいのもうれしいところです。
蒸すのがおすすめ
ゆでても作れますが、蒸したほうが水っぽくならず、里芋のねっとりとした食感とうまみが残ります。
電子レンジでも作れます
蒸し器がない場合は、電子レンジでも作れます。切れ目を入れた里芋を耐熱皿に並べ、水大さじ1をふってふんわりラップをかけ、600Wで5〜6分加熱します。里芋の大きさや量によって加熱時間が変わるので、竹串で様子を見ながら調整してください。
赤だし味噌は砂糖で調整
赤だし味噌は、豆味噌をもとにした、塩気と渋みのしっかりした味噌です。砂糖を少し多めにするとバランスがよくなります。味を見ながら調整してください。
皮むきはやけどに注意
皮は熱いうちのほうがつるんとむけますが、とても熱いので、ふきんや手袋を使ってください。
2~3分待って粗熱を取ると、手でもむけます。
田楽味噌のアレンジ
白味噌の田楽味噌
赤だし味噌を白味噌(西京味噌)に替え、砂糖を控えめにすると、甘くやさしい味わいの田楽味噌になります。
合わせ味噌の田楽味噌
ふだんお使いの合わせ味噌でも作れます。砂糖は大さじ2程度に、味噌によって塩気が違うので、味を見ながら調整してください。白味噌と赤だし味噌を1:1で合わせて作るのもおすすめです。
柚子味噌
練り上げた田楽味噌に、すりおろしたゆずの皮を加えると、香りのよい柚子味噌になります。黄ゆずが出回る季節にぜひ。

田楽味噌は冷蔵で1週間ほど保存できます。豆腐田楽、ふろふき大根、焼き茄子、こんにゃくにもよく合います。
塩や柚子胡椒しょうゆでも
シンプルに塩やごま塩でいただくのも、きぬかつぎの定番です。ピリッとした辛みがお好みなら、柚子胡椒しょうゆをひとたらしするのもおすすめです。
👉【柚子胡椒しょうゆの作り方はこちら】🔗
里芋の選び方と保存方法
きぬかつぎに向く里芋
きぬかつぎには、ひと口で食べられる小ぶりの子芋が向いています。
「石川早生(いしかわわせ)」、いわゆる石川小芋は、やわらかくぬめりが強いので、きぬかつぎにぴったりです。手に入らなければ、一般的な里芋の小さめのものを選んでくださいね。
保存方法
里芋は寒さに弱いので、冷蔵庫には入れず、泥付きのまま新聞紙に包んで、風通しのよい涼しい場所で保存します。洗うと日持ちが悪くなるので、洗うのは使う直前にしてください。
おわりに|秋の夜、お酒のお供に
きぬかつぎは手間をかけない料理ですが、季節の里芋のおいしさを堪能できる最高の一品です。
秋の夜長、熱燗や冷やおろしと一緒に、指でつまんでひと口。小鉢ひとつで、食卓がぐっと秋らしくなりますよ。
小さな里芋を見かけたら、ぜひ作ってみてくださいね。
